東京都目黒区で、船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5)が、昨年3月に虐待死した事件
の裁判員裁判で、東京地裁は昨日15日、父親の雄大被告(34)に懲役13年の
判決を言い渡しました。守下裁判長は、児童虐待事件で「最も重い部類」とし、
「しつけの観点からかけ離れ、自らの感情に任せて行われた理不尽なものだった」
と厳しく批判しました。検察側が求刑した懲役18年に対しては「従来の量刑傾向
から踏み出した重い求刑だ。虐待のひどさが社会の耳目を集めたことを踏まえて
も、最も重い部類を超えた刑を科すべき根拠は見いだせない」と判断しました。
弁護側は懲役8年が相当と主張していました。この事件は、結愛ちゃんが、「もう
ゆるしたください」などと書いたノートが、衝撃的で、許せないものでした。裁判長
は、虐待の発覚を恐れて病院に連れて行かなかった点も「身勝手な保身目的で、
生存確保への思いは二の次だった」と非難し「結愛ちゃんの苦痛、悲しみ、絶望感
は察するに余りある」と述べています。その通りだと思います。児相に長く勤め、
家庭相談を続けている女性は「虐待をしている親ほど自分を正当化する」「児相に
個別の対応を任せるだけでなく、こうした親の心理も含めて国が事例を集めて
研究し、児相のプログラムに生かしていくべきだ」と話しています。この事件も
含めて、関係機関が情報を共有していれば救えた機会があったものが、後を絶ち
ません。全国の児童相談所で、児童虐待の疑いがある家族の情報を警察とどう
共有するかで、対応が割れている、と報じられています。重大な虐待を見逃さない
よう情報をすべて提供して共有するか、保護者との信頼関係を重視して警察には
伝えないケースを設けるかで、ジレンマを抱えている、とのこと。厚生労働省に
よると、今年2月時点で児相がある計69の都道府県と政令指定市、一部の中核
では、10府県市が警察と全件を共有しています。一方、警察との情報共有は
強化するが、全件の共有については未定という所もあります。政府は、児相と警察
との間の全件共有まではルール化していず、現場の判断に任せています。児相
が、子どもを強制的に保護する面と親子を支援する面を持ち、なるべく家族に
虐待を受けた子どもを戻す再統合を目指していることから、親との関係を気にして
連携をとらないと考えられます。国は、児相の職員の役割を分ける方針ですが、
それには、もっともっと職員を増やさないと実現しません。関係機関が連携をする
ことで救える命は、予算をつぎこんででも救ってほしいものです。