香港政府トップの林鄭月娥行政長官は、昨日4日、テレビで演説し、中国本土
への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案の撤回を正式に表明
しました。林鄭氏は、すでに廃案の方針を示していましたが、改正案の完全撤回
を求める若者などの過激なデモが収まらず、さらなる譲歩に追い込まれた、と
報じられています。若者などの抗議行動に対して武力介入まで示唆し、香港
政府による譲歩を断じて認めなかった中国の習近平指導部が、一転妥協しま
した。強硬姿勢をとったものの、国際社会からの批判も強く、来月1日の建国
70周年の記念行事を成功に導くため、路線変更を余儀なくされた、といわれて
います。今回の混乱の根底には、高度の自治を約束した「一国二制度」が崩壊
しつつあるという市民の強い危機感や、強権的な中国の習近平指導部に対する
不信があり、香港政府は、こうした市民感情を見誤った、ということになります。
林鄭行政長官の支持率は、8月に、歴代最低の17%を記録した、とのこと。
昨日の逃亡犯条例撤回は、遅すぎ、3ヶ月にも及んでいる大規模な抗議デモは、
要求が5項目に拡大したこともあり、長期化する見通しです。抗議が長引くに
つれ、デモの要求は改正案の撤回に加えて、〇林鄭氏の引責辞任 〇警察の
暴力に対する調査 〇拘束されたデモ参加者の釈放 〇民主的なふつう選挙の
実施の5項目になっています。今回の条例案撤回は、一番実現しやすいもので、
その他の要求は、譲歩が難しいものばかり、ということです。林鄭氏の表明を
受けて、民主派の立法会(議会)議員などは、4日夜、記者会見し、「5つの要求は
1つたりともかけてはならない」と書かれたパネルを掲げ、「林鄭氏の反応は
遅すぎた」と批判しました。著名な民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏は、
ツイッターで「私たちは5つの要求を求めています。これからも戦い続けます」
と宣言しています。今朝の日本のニュースショーでの生インタビューでも、彼女は、
「穏やかな手段と強硬な手段を使い分けて、戦い続けます。」と話していました。
重ねての質問に、穏やかな手段だけでは実現しないことを経験してきた、として
いますが、強硬な手段が激化すると、犠牲者が出るのではないかと懸念します。
民主活動家が襲われたり、中国政府の意向を受けて香港行政庁が身柄を拘束
することなども考えられます。しっかりした考え方を持った彼女たち民主活動家の
要求が、平和裏に受け入れられることを願っています。