成人年齢を18歳とし、相続で配偶者を優遇するなどの民法改正案が、先日、

 

閣議決定されました。成人年齢の見直しは、明治以来で、相続制度も約40年

 

ぶりの大改正になります。上川陽子法相は、「少子高齢化が急速に進む我が国

 

で、若年者の積極的な社会参加を促し、自覚を高める」と閣議決定後の会見で

 

改正の意義を強調しました。成人年齢を20歳から18歳に引き下げる議論の

 

きっかけは、2007年に成立した国民投票法です。投票年齢を18歳以上と定める

 

とともに、付則でいずれも20歳だった公職選挙法の選挙権年齢と民法の成人

 

年齢の引き下げを検討するよう求めました。選挙権年齢と成人年齢が異なる国も

 

海外にはありますが。選挙権などに合わせて18歳を民法上の成人とする国が

 

多く、イギリス、ドイツ、フランス、アメリカの多くの州などがあります。法制審議会

 

の部会での議論ももとに、改正後、18歳以上とするものと20歳以上とするものが

 

あると報じられています。20歳以上で変わらないのは、養子をとることができる、

 

飲酒・喫煙、馬券・車券・舟券の購入です。少年法の適用の20歳未満をどうする

 

かは検討中。また、結婚年齢が男性18歳、女性16歳だったものが、男女とも

 

18歳になり、これは男女平等の点から国連の女性の地位委員会からも指摘され

 

ていたので、よかったと思います。取引なども18歳でできるようになるので、若い

 

人を保護できるように、消費者教育などが一層必要になると思います。また、相続

 

制度の見直しのきっかけは、2013年の最高裁決定でした。最高裁は、結婚して

 

いない男女間の子の相続を、結婚している男女間の子の半分とする民法の規定

 

を憲法違反と判断しました。これを受けて、法務省が規定を廃止する際、伝統的な

 

家族のあり方を重視する自民党の保守派が、法律婚の保護強化を求めました。

 

そのため、法務省が法制審議会に、故人の配偶者への配慮の検討を依頼し、

 

夫の死後も妻が自宅に住み続け、十分な生活資金を確保できる方策を検討しま

 

した。その結果、結婚して20年以上の夫婦で配偶者が生前贈与などを受けた

 

場合、分割する遺産の総額に自宅を含めないという案をまとめました。自宅に

 

住み続け、預貯金など自宅以外の遺産も十分に相続できる仕組みになりました。

 

これについては、家族のあり方が多様化しているので、法律婚以外の立場の人

 

にも配慮してほしいと思います。相続の権利がない親族が介護などに尽力した

 

場合、相続人に金銭を要求できる制度も改正案に含まれていて、これから介護が

 

一層大きな課題になる中で、よいことだと思います。この国会で審議をし、政府

 

は、2022年4月からの施行を目指しています。