ノーベル平和賞の授賞式が、10日、ノルウェーの首都オスロで開かれ、広島、
長崎の被爆者などと連携して、核兵器禁止条約の採択に尽力したNGO「核兵器
廃絶国際キャンペーン(ICAN)」に記念メダルが送られました。ICANのフィン
事務局長、活動に協力してきたカナダ在住のサーロー節子さん(85)が被爆者
として初めて授与式で演説しました。ICANは、約100ヶ国の450余りのNGOが
集まって作られていて、20~30代の若い人が中心になっている、とのこと。未来
に希望が持てると感じられます。核兵器禁止条約の採択に至った行動力は、
新たな活動として高く評価され、受賞は、非核保有国が主役になり、主体的に廃絶
へ導こうという流れを核廃絶の一歩に、という期待もこめられている、とされて
います。フィン事務局長は、「核兵器が使われるリスクは冷戦末期より高い」と
述べ、「唯一の理性的な行動は、突発的なかんしゃくによって、私たちが互いに
破壊されてしまうような状況で生きることをやめることだ」と述べ、大きな拍手を
浴びました。サーロー節子さんは、広島で13歳の時に被爆し、「都市は1発の
爆弾に消し去られ、住民は黒こげに焼かれた。私の家族と級友351人も。」
と述べ、4歳の甥が肉が溶けた、とも語りました。そして、「核兵器は必要悪で
なく絶対悪だ」と強調しました。現実には、1万5千発近くの核弾頭のうち、9割
以上を持つ米ロの交渉は、進んでいません。核兵器禁止条約は採択されました
が、核保有国と非核保有国の分断が進み、平和賞の授賞式にさえ、核保有国の
米ロ英仏中の駐ノルウェー大使は欠席した、ということです。日本は、安倍総理
が、今年8月、広島で「(核兵器禁止条約には)署名・批准は行わない」と語り、
廃絶に向けた新たな動きに背を向けています。北朝鮮の核の問題などがあり、
アメリカの核の傘に守られているから、ということは理解はしますが、核保有国
と非核保有国の橋渡しをするのでは、なかったのですか。唯一の被爆国なのに
消極的な対応で、日本が国連に毎年提出している核廃絶の決議案に賛同する
国が、今年は大幅に減ったことは、日本の対応への反発とも受け止められます。
ノーベル文学賞を受賞した、長崎生まれの英国人作家カズオ・イシグロさんは、
スウェーデンのストックホルムで開かれたノーベル賞の晩さん会で、長崎で被爆
した母(91)から「ノーベル賞は、ヘイワを広めるためにつくられた」と聞いたと
日本語を交えて挨拶した、ということです。また、「文学という分野がそうである
ように、ノーベル賞は、互いを分断する壁を越え、人類として何に立ち向かっていく
べきなのかを思い出させてくれる」と話し、穏やかな語りに、1000人の聴衆の
温かい拍手に包まました。そうであることを願います。