イギリス下院(定数650)総選挙は、8日、投開票され、メイ首相が率いる与党
保守党が、第一党を維持はしましたが、議席を減らして過半数割れに追い
込まれました。最大野党の労働党が躍進しました。メイ首相は、北アイルランド
の地域政党「民主統一党(DUP)」(10議席)や無所属議員と連携して、過半数
の確保を目指すとみられますが、不安定な政治状況になることは、間違いない
とみられています。どの政党も単独では過半数に届かない「ハングパーラメン
ト」(宙づり議会)に、2010年の総選挙以来7年ぶりに、なりました。メイ首相
は、2020年の予定を前倒しして総選挙を行い、強い政権として、EUからの
離脱交渉を有利に進めようとしましたが、もくろみが外れ、責任問題も浮上する
のではないか、と報じられています。選挙公約で保守党は、在宅介護の自己
負担額引き上げを打ち出して、高齢者の反発を招きました。また、ロンドン橋
周辺で3日に起きたテロで、メイ氏は、キャメロン前政権の警察などを統括する
内相として、約2万人の警官と予算の削減を続けたことが、治安の悪化をもた
らした、という批判も出ていました。日本とは違って、若者が、コービン党首
率いる野党の労働党を支持したことは、アメリカのサンダース現象と似て
います。昨年のEU離脱か残留かの国民投票では、若者の多くが残留を
支持した、とされています。離脱への反発の意思表示ともみられ、イギリス
社会の亀裂の深さもあらわした結果ともいえます。19日に開始予定のEUから
の離脱交渉の先行きは、不透明になっています。メイ氏は、欧州単一市場から
の完全な離脱を主張し、国として結束して離脱交渉を成功させ、EUとの新たな
協力関係を確保すると表明しました。しかし、協力しようとしているDUPは強硬
な方針に反対姿勢を示してきていて、軌道修正を迫られる可能性もおおいに
あります。EUからの離脱の進め方については、国民の意向も聞きながら、丁寧
に進める必要があると思います。イギリスの選挙結果、EUからの離脱の進め
方は、日本にとっても関係ないことではなく、イギリスに進出している多くの企業
はもちろん、EUとの関係強化に努める方向にも影響があり、注視していきたい
と思います。