厚生労働省の労働政策審議会は、昨日13日、長時間働いても残業代などが


払われない新しい働き方を創設する報告書をまとめました。労働側が、残業代


ゼロになると、働きすぎの歯止めがなくなるなどと反対して、昨年9月から10回を


超える審議をしてきましたが、最後は、座長の岩村東大大学院教授が報告書を


まとめることを宣言し、押し切られた形です。残業代ゼロの働き方は、アメリカに


似た制度があり、ホワイトカラーに残業代の支払い義務の適用を除外


(エグゼンプション)することから、ホワイトカラー・エグゼンプションと呼ばれていて、


第一次安倍政権で提案されましたが、反対が強く、一度は断念したものです。


今回は、労働の岩盤規制を崩すという安倍政権の肝いりで、名前を、「高度


プロフェッショナル制度」として、年収1075万の賃金で、アナリスト、コンサルタント、


研究開発などの業務の人を対象としています。しかし、企業側は、使える範囲が


狭いとしていて、一度そういう制度を導入すれば、更に範囲が広がっていく恐れが


あります。また、裁量労働制(企業業務型)を対象に提案型営業を追加して拡大します。


働きすぎ防止のために、年次有給休暇の年5日以上の取得を企業に義務付け、


中小企業の月60時間超分の割増賃金を25%から50%に増やします。働きすぎを


防止する項目を盛り込んだことは評価しますが、実際には、サービス残業が過労死の


原因になっているケースも多く、監督が行き届いていない中で、どれだけ実効性が


あるかは疑問です。


これまでは、働いた時間に見合った賃金が払われていましたが、新しい制度では、


「脱時間給」ということで、夜遅くまで働いても残業代は支給されず、仕事を効率的に


終わらせることができなければ、働く時間がどんどん長くなることになります。


似た制度が導入されているアメリカでは、ホワイトカラー・エグゼンプションの対象者の


労働時間は、対象外の人より長くなる傾向にあると指摘されています。また、イギリス


やフランスでは、時間外労働も含めて働く時間を、週48時間を上限としていますし、


終業と始業の間に11時間の休息を義務付ける、インターバル規制が、ILOの条約


でも定められていて、労働者を守るようになっています。労働規制は、人を守る


会的規制で、企業にとっての都合だけで、岩盤規制は撤廃という対象には、


なり得ないと考えます。政権与党が圧倒的多数を占めている国会ですが、徹底的に


審議を尽くしてほしいと思います。