映画「ハンナ・アーレント」を見てきました。皆に観てほしい。

誰もがナチス戦犯アイヒマンになりうるということ。それは「悪の凡庸さ」。
思索することを辞めることが悪につながると彼女は言う。

被害者(ユダヤ人)リーダーにもそうとは知らず、悪の手助けをした者がいるという衝撃的なレポート。
それはやはりアイヒマンと同様に人間が思索することを辞めた結果。

ハンナ自身が、ユダヤ人であり、捕まった経験がある。
そして友だちはモチロンほとんどがユダヤ人だ。
だが、彼女は哲学をする。友だちがどんなに責めても。
哲学者とは情をいっさいはさまず、ただ真実と向き合う存在。
思索するということのなんと孤独なことか。

この映画を観終わってから、はたしてハンナ役のバルバラ・スコヴァに匹敵する日本の女優がいるだろうか、と思った。
欧米ならば思いつく。バネッサ・レットグループ、ジュディ・リンチ、少し若くてエマ・トンプソン、ジュリアン・ムーアとすらすらでてくる。
最後の8分間のスピーチ。哲学を詩的に語れる女優が日本にはいない。
情念を演じるなら名女優といわれる人はいっぱいいるのだけれど。