こむぎ畑 お: 『よーし!こむぎ!心機一転、がんばるぞー!』


こ: 『おっ!いよいよ復活ですね!』


お: 『アナログおやじにしちゃあ 頑張っただろー』


こ: 『あっぱれでございますぅ。ははぁ~』


こ: 『それではみなさん!こむぎ(長野県天然記念物 川上犬)の出産物語の はじまり はじまりぃ~ パチパチ』




こむぎ畑 お: 『あれは忘れもしない 3/17の昼のこと、過去ログにもあるように、布団に潜り込んだり、ハアハアといつにも増して荒い息づかいでパソコン机やせがれの勉強机の下に入ったり、不安なのか おやじの背中にお座りの状態でピタッとくっついてみたり、オシッコへウロウロ、ハアハアの連続』


こ: 『我を忘れていました』


お: 『例の床をボリボリとほじくったり、お産箱の敷物を鼻で寄せたり・・・おっ!いよいよだな!とは思ったものの、それはそこ、前回の教訓 (夕方から明け方までずーっと振り回されて、うたた寝してしまった2時間ほどの間でお産は終わっていた。という情けない経験がある) を活かして、どうせ明け方までこのまんまだし!とスタッフのスエくんとおでかけ!』

こむぎ畑 こ: 『ちょっと!それ、ひどくありません?』


お: 『まあまあ。でも、おまえ あん時は人が呼んでも見向きもしないでウロウロしてたじゃん!』


こ: 『かなり テンパってました』


お: 『スエくんとパチンコ行って、白樺湖のエミナンス(ここがまた良心的で居心地がいい癒しスポット)で焼肉ジュージューしてスタミナを蓄えていざ出産立会いへ!』


こ: 『あたしがハアハアしてんのに そんなイイコトしてたんですかっ!』


お: 『ごめん!』

こむぎ畑 お: 『お産に付き合う勢いだったスエくんに 「どうせ出産は朝だから」と休んでもらい、 こむぎに変化が出始めたのが 夜中の1時半頃から・・・お産箱・オシッコ・机の下・せがれが寝ている布団の上・むすめが寝ているベッドの上(飛び上がった時におなかがサイドガードに当たってんだろーがぁ!状況をわきまえよっ!)をずーーーっと立ち止まることなく小走りで繰り返している。しかも、周りのことは見えていない様子でハアハアと荒い息のまま 何かにとり憑かれたように・・・ 眼差しも尋常じゃなかったし、「ひえ~!これはもはや こむぎではない!何か別のモンじゃぁぁ!ヒイィー!」 と思わざるを得なかったよ』


こ: 『まったく余裕ありませんでした』



こむぎ畑 お: 『同じ行動を繰り返し、2時過ぎからオシッコに至っては5分おきに行っている。小さい体でよくもまあ、こんなに出るもんだ と感心したりして。その都度換えるわけじゃないのにトイレシートの交換に追われるくらいに。』


こ: 『だってぇー』


お: 『解ってるって!その辺はおやじだって事前に出産行動を調べて承知してたし。調べた情報どおりオシッコは徐々に少量になりウンチを搾り出すようにヒッている。犬も出産時に向けて体内のオシッコとウンチをクリアにしておくそうです。』



こむぎ畑 こ: 『すげー!』


お: 『おまえのことだっつーの!でも、本能の行動だと思うから すげーよな!相変わらず同じ行動を繰り返しながらも、お産箱へ行く回数が増えていく。開けっぴろげのお産箱で落ち着かない感じだったから、急遽 使っていないコタツを地下倉庫から引っ張り出してきて、お産箱の脇に横向きに立てて、足の部分に毛布を掛けて簡易テントのできあがり!これで完璧!・・・のはずだったよな!』


こ: 『すみませ~ん。ほんと、余裕が無かったんです。』


お: 『この会話の意味は後でわかります』


こむぎ畑 お: 『簡易テントと化したお産箱へ頻繁に行っては巣作りをしているらしく、外からは見えない中でゴソゴソと物音をさせている。時折、ヒー!ヒーン!って声をあげるもんだから 「始まったか?」 と思いそーっと中を覗いて見てみると 振り向いたその顔は、「なんか用ですか?」 ってな顔。こっちゃあ、そのたんびドキドキしてんのに! 「そんな声をだすんじゃねーよっ!」 って緊張の中にあっても イラッ!とする瞬間。』


こ: 『だって、いっぱい いっぱいだったんですよぉ。振り向いたその顔が般若みたいに おっかないよりはいいでしょ!おやじさん!』


お: 『まっ、まあな』

こむぎ畑 お: 『エミナンスのおいしい焼肉が消化しかけてきた明け方5時頃、こむぎの行動は4時間あまりこれといった変化の無いままだった。ちょっとやそっとじゃ動じねーゼ!と決めていたおやじは、子供が寝ている部屋のジュウタンをこむぎがボリボリとほじくっていたので 「こらっ!こっちに来いっ!」って呼んでみたが机の下からイヤそうに出てはくるものの せがれの布団の上でリラックスムード。はぁ~。まっいーか。と部屋に戻った途端、またボリボリボリボリ・・・あんのヤロー!・・・子供部屋へ行ってみると、また机の下に!怒ろうとしたその時、「キューキュー!」 と赤ちゃんの鳴き声が。おおおぉ!遂に生まれたかぁ!でも、その場所じゃあ・・・「こむぎ、こっちおいで」 と今度はやさしく声をかけてみた。ほとんど見えない薄暗い部屋の中をこむぎは、いそいそと机の下から出てきた。』


こ: 『その瞬間!薄暗い中、目を凝らしておやじさんが見たものわぁぁ!』

こむぎ畑 お: 『うおぉぉぉぉ!おまえ何やってんだあぁぁぁぁ!赤んぼ!まだへその緒がくっついたまんまじゃねえかあぁぁぁ!』


こ: 『だって、おやじさんの声聞いたら吸い寄せられるように・・・』


お: 『そういう問題じゃ ねえんじゃねえ?』

『こむぎは、そのまま赤ちゃんを引きずってきて せがれの寝ている布団の上でへその緒を噛み切り始めた。3月18日早朝5:45 1匹目の誕生です。』


こ: 『パニック状態って、あんな感じなんですね』


お: 『赤ちゃんが泣き声あげてたからいいけど俺だって一瞬真っ白んなったもん』

こむぎ畑 お: 『おい!生まれたぞ!ってカミさんを起こして、念のためのタオルをもって出産現場へ。こむぎは、生まれたての まだ真っ黒に濡れた赤ちゃんをしきりに舐めている。薄暗い中、そーっと顔を近づけて観察!っと、その瞬間!こむぎ赤ちゃんを舐めるために折り返した首の下から 「キューキュー!」 おおぉ!舐めていたのは2匹目か!いつの間に。早っ!!おやじが あたふたと駆けずり回っていた間、約5:50 2匹目の誕生です。こむぎは、生まれてきた赤ちゃんを舐めるのに全力で既に生まれている赤ちゃんをかまっている余裕はまったく無いようだ。初めに生まれた赤ちゃんは、なかば押し潰された状態で声をあげている。しかも、ここは せがれが寝ている布団の上。このままでは こむぎ一家が危険だー。協議の結果、せがれを起こすことに。寝ぼけまなこで辺りを見回し、状況を把握したせがれの第一声は 「ここで 生むなよぉ」 ・・・確かにそうだ!しかし、元来 こむぎ好きのせがれは、いつにない寝起きのよさで興奮モード全開だ!』

こむぎ畑 お: 『むすめも早朝からたたき起こされ、踏み潰さんばかりのハイテンションで、早く抱っこしたい!と盛り上がっている。当のこむぎはといえば、落ち付いた様子で2匹の赤ちゃんを世話している。おやじの触診では3匹は確認したから(夢では4~5匹だったんだよねぇ。だけど、なぜか色は黒と黄色)少なくともあと1匹はいるはずなんだけど。そう思っていた矢先、ずっと張り付いて見ていたせがれの 「お尻から黒いの出てきたよ」 の声が!カーテンを開けていないのでまだよく見えないながらも確かに出てきている。・・・出た!黒光りのツヤツヤした羊膜が印象的だった。羊膜を噛み切り顔を中心に手荒なくらい舐め回している。キュー!産声があがるとへその緒を噛み切る。なかなか噛み切れないと手で赤ちゃんを押さえつけながら かなり皮膚ギリギリの所で切断している。改めて、本能ってすげー!と思わざるにいられない。』 2匹目から50分後の 6:40 3匹目の誕生です。


こむぎ畑 お: 『ここで、カミさんと子供たちはせがれの記念行事のため外出。おやじは、こんな状況なのでお留守番となってしまった。』


こ: 『ホント、すみません。無我夢中で・・・』


お: 『ま、しょーがないよ。・・・おやじ予測の3匹は生まれたので  せがれの布団からこむぎ一家は移動。・・・改良までされたのに、ここまで日の目を見ることなくポツンと誰もいない部屋に残された例の ”お産箱” がやっと登場する・・・コタツと毛布は即効撤去。』


こ: 『何も申すことはございません・・・』



こむぎ畑 スエくん: 『生まれましたか?』


お: 『あっ!寝ちゃった・・・うん、生まれたよ 3匹』



スエくん: 『えっ?! 4匹いますよ。』



お: 『ええっ? ほんとだ!おやじが居眠りしているうちに、なんとこむぎは 4匹目を例のお産箱で生んでいた。スエくんが発見したときは既に4匹は、きれいに並んでオッパイに吸い付いていた。 8:00~9:00(空白の1時間)4匹目の誕生です。誰もいなくなり、こむぎ一家も落ち着いていたので 疲れたおやじは、お産箱の赤ちゃんたちを見ているうちに眠ってしまったようだ』

スエくん: 『 ”ねずみ” みたいッスね。こむぎも ちっちゃいのによく頑張りましたね』


お: 『ホントだよね。?ん?会話中に、ふと不安になり こむぎのおなかをさすってみると、なんかおなかの中に硬くて小さな丸っこいものを感じる。これは、もしや!』


こむぎ畑 スエくん: 『こむぎ、なんか変ですよ』


こ: 『クーーーーッ・・・ッポッ!クーーーッ・・・ッポッ!』


お: 『おおおお!この仕草は まさに今回のお産で発見した こむぎの ”いきみ” 的行動! はじめは、酸欠でこのまま倒れたらどうしよう?と、いろんなことが頭の中を ”グオー” って駆け巡った、まさに命をかけていることを感じる瞬間!・・・でも、その声(音)とマヌケに近い恍惚の表情のような顔が笑っちゃいそうになる。こむぎが、そんな必死の中 おやじはビデオカメラを回し続ける。』





こむぎ畑 スエくん: 『出てきましたよ』


お: 『おお!テレビで見かけるまさに ”出産シ-ン”! 勢いあまってか、オナラ?のようなものが出ちゃったアクシデントはありましたが、無事に産声があがり、9:40 スエくんと男2人で立ち会いのもと、 5匹目の誕生です。サプライズだらけで、てんてこ舞いでしたが ”川上犬こむぎの出産” は、何とか無事に済みました。』


そんな、せがれの小学校卒業式の日の朝でした。



 


いやあ、本当に無事に生まれてよかった。しかも、5匹も。自分の時もそうでしたが、はじめは 男がいい!女がいい!なんて思っていましたがいざその時が来るとどっちでもいいから無事に生まれてきてくれー!って思ったのを思い出しました。

 

応援していただいた皆さん、本当にありがとうございました。


そして、ご出産を控えた妊婦さんたちのご無事なご出産を、こむぎ一家含め、サワ・ルージュスタッフ一同 『安産祈願』 を祈念させていただきます。