5/15 第3回ポレゼミ レポート 1
北海道教育大学の川俣さんをお呼びしての講演、平日にも関わらず、29人の方にご参加いただきました。ありがとうございました。
川俣さんのお話、ご自身の経験からの事例、時に失敗談を交えつつ、困っている親子に真摯に向き合う様子が伝わってきました。
時間が延長となり、質疑応答、最後まで聞けなかった方、大変申し訳ありませんでした。
川俣さんにお願いして、講演の一部と、質疑応答の回答、ブログへの掲載を承諾いただきました。
よかったらお読みください。
🔶講演🔶
子どもの発達と学びを考える ~関係性・環境・多様な学びから考える発達支援とこれからの学校
川俣 智路(かわまた ともみち)さん
所属: 北海道教育大学、北海道教育委員会スクールカウンセラー
専門: 思春期の方とその家族の支援
皆が学びやすい学習環境デザイン
1. 発達は「教え込む」だけでは起こらない
赤ちゃんの言語学習の研究が紹介されました。(動画にて)中国語の映像を赤ちゃんに見せ続けても、言葉はほとんど身につかなかった一方、同じ内容でも「目の前の人」が直接関わると学習が進んだそうです。
どんな方法で教えるか、どんな教材を使うかだけではなく、誰と関わるか、安心できる関係性があるかが、発達にとても大きく影響するということでした。
2. 子どもは「やりたい」がある時に伸びる
子どもの発達は、「今の自分より少し背伸びしたい」と思った時に進みます。たとえば、おままごとで、子どもは「お母さん役」をやりたがります。大人の真似をしながら言葉や振る舞いを学んでいく。そこには、憧れや真似したい気持ちがあります。
つまり、「やらされる学び」ではなく、「なりたい」「やってみたい」が発達の原動力になるということです。
3. 「できない」の背景には環境がある
九九は覚えられないけれど、ポケモン200種類は覚えられるお子さんや、学校では問題児扱いでも、アルバイト先では生き生き働ける高校生の例が紹介。
「能力がない」のではなく、“力を発揮できる環境かどうか” が大きいということです。
学校ではうまくいかなくても、別の場所では能力を発揮できる子はたくさんいます。
4. これからの学校は「みんな同じ」ではなくなる
最近は、「学びのユニバーサルデザイン」という考え方に注目が集まっています。
例えば授業中でも、一人で学ぶ、友達と相談する、iPadを使う、紙で学ぶなど、自分に合った方法を選べる取り組みが試されています。
「みんな同じやり方をしなければならない」ではなく、“自分に合う方法で学べる環境を整える”方向に、教育が少しずつ変わり始めているのです。
5. 支援で大切なのは「また話したい」
子どもにとって「相談する」は、実はかなり勇気がいることです。
否定されたり、説教されたり、期待した反応が返ってこなかった経験があると、「相談しない方が安全」と感じてしまいます。
だから支援で大切なのは、「正しい答えを出すこと」だけでなく、「話してよかった」「また話したい」と思える関係性をつくることです。
🔷質疑応答🔷
質問に答える前に
「(子育てで)何か親がやるべきことがありますか?」とよく聞かれますが、私の答えは「やっておいて得なことはあるかもしれないが、やる“べき”ことはなにもない」です。
“すべきことだからやろう”…は、苦しくなるんじゃないかなと思いますので、起こってないことに心配しすぎないように。
皆さんからの質問を付箋に書いていただき、akeさんがグループ分けしてくれました。
🔷質問1
「子どもに発達傾向があるのでは?」と感じた時、病院受診やカウンセリング、WISC検査は受けた方が良いのでしょうか?
日常生活では何を心がければよいのか、親の関わり方について。
病院受診や検査を迷う方は多いと思います。
医療機関を探したり、外部の支援を利用するときに大切なのは、「その子に合う方法を一緒に探していくこと」です。方法が一つしかないと、失敗した時に「もうダメだ」と感じてしまうかもしれません。「別のやり方もある」「試してみて合わなければ変えればいい」と思える環境があると、いろいろなことに取り組みやすくなると思います。
親もつい落胆してしまうことがありますが、その空気は子どもに伝わります。だからこそ、「失敗=ダメ」ではなく、「合わない方法が一つ分かった」と考えていくことが大切です。
無理をさせすぎないことも重要です。人前での食事や宿泊行事など、強い不安がある場合は、「頑張って慣れる」だけではなく、環境調整を学校に相談することも大切な支援です。特別扱いではなく、「その子が安心して取り組める方法を増やすこと」が、子どもの挑戦を支える大切な土台になるのだと思います。
🔷質問2
不登校になった時、学校とのつながりは持っていた方が良いのでしょうか。
また、登校への刺激やタイミング、どんな声かけをしたら良いのか知りたいです。
ゆるく繋がっておくのも一つの方法です。選択肢は多い方が、後から動きやすくなることがあります。例えば、プリントを取りに行く、担任の先生と少し話す、学校の近くまで行ってみる …。そんな小さな関わりでも十分です。
一方で、学校での出来事によって、心に大きなダメージを受けている場合、体の傷と同じように、回復に時間が必要です。無理に動かそうとするより、「今は回復の時間なんだ」と考えて待つことも時には必要です。また、小さな外出や興味(野球を見に行く 、買い物に行く、散歩する、コンビニへ行く…)が、動けるきっかけになることがあります。
すぐに変化が見えなくても、長い目で見ると、子どもが動き出す“当たり”のタイミングはきっと来る。そんな視点で関わっていくことが大切なのかもしれません。
🔷質問3
親自身のメンタルが揺れたり、落ち込んでしまうことがあります。気持ちの切り替え方があれば知りたいです。
「親は明るく前向きでいなければ」と思ってしまうかもしれませんが、子どもがつらい状況にいる時に、親だけがいつも通り元気でいる方が、むしろ不自然なのかもしれません。一緒に気持ちが沈むことは、弱さでも失敗でもなく自然な反応で、大切なのは、“元気いっぱい”でいることではなく、何かきっかけが来た時に少し動けるくらいのエネルギーを残しておくことなのだと思います。
もちろん、食事が取れない、眠れないなど、親自身の生活が崩れてきた時は、医療や支援に頼るようにしてください。
また、親が無理していることに気づいて、「自分のせいで…」と申し訳なく感じている子も少なくありません。だからこそ、親も“頑張って元気なふりをする”より、「今はしんどい時期」と認めながら、無理をしすぎないことが大切なのかもしれません。
(レポート2に続きます)

