鳩尾と上腹部はよく混同されやすいところです。
一概には言い切れませんが、傾向として上腹部全体の緊張より鳩尾の緊張の方が体質として重症度は高いです。
双方の緊張には息という一点からみて違いがあります。
息苦しさという点でみますが、鳩尾の緊張は得たいの知れない息苦しさが常にあります。不安や恐怖感を伴う息苦しさもあることが多いです。やる気がないわけではないが動けないこともある人にはあります。この場合は精神的に弱い、意志が弱いということではなく、単にこれが原因になっている可能性があります。重度になると胸骨の裏の方や喉にまで得たいの知れない違和感や苦しさが出ます。
上腹部の緊張は息苦しい時と息苦しくない時が比較的分かれやすく、焦燥感やイライラ等を伴うことが比較的多いです。
そもそも地続きのように見える鳩尾と上腹部ですが、その緊張に至るプロセスには明確な違いがあります。
鳩尾の緊張は会陰に起因することが多いと考えています。誤解を恐れずに言えば、肛門が開きすぎ(下垂)であり、その期間が一定期間以上続くと現れることが多いです。鳩尾の緊張は慢性的な下垂に起因する現象と捉えることが多いです。確かに呼吸法でも抜けますが根本的には下垂に対してのアプローチができていないと堂々巡りになることが多いです。
上腹部の緊張は脊椎の硬直や下腹部の脆弱化などが挙げられます。この場合は、下腹部を締め、脊椎(とりわけ胸椎)や胸郭の動きを引き出すことによって改善していきます。
また、鳩尾の緊張と上腹部の緊張が同時に起こるパターンもあります。
身体の構造として見れば、会陰の状態は単に肛門を締めるように生活すればいいというものではありません。*肛門を締め続けて生活するというのは私は推奨しません。肛門にもニュートラルな状態があるのでそこに自然にいられるように調整をかけていくことが理想です。ここは機会があれば改めて話します。
股関節の内旋変位(実際の動きや形体変化に至らない変位も含める)や膝関節、足部の変位によって肛門を開いてしまうことを誘導してしまいますので、この部分の身体調整によって下垂誘導がかからない身体に改善していくことが必要になってきます。
ちなみに誰もが知っている腸腰筋の弱化もこうした下垂の影響を受けている場合も多くありますので単純に腸腰筋は大事という理解だけではちょっと物足りないかもしれません。まり、腸腰筋の弱化に至る流れがわかっていると、逆に言えば、腸腰筋への刺激の仕方や鍛え方も変わります。
私の場合、これを手技等で改善するという提示ではなく、自己身体調整法として日々伝えています。
呼吸・整体ではトータルコンディショニング(TC)というものが下垂からくる身体の影響を改善するものです。TCは下垂からの影響へのアプローチのためだけのプログラムではありませんが一つの意味です。
ちなみに、リンクを貼っておきましたがTCウィークは理論解説はありませんが実践の場として本当によいです。土曜日にも私の特別講座はやっていますが、企画に参加されている方で体質不良が強い方はリアルでチェックしてもらう機会もつくった方がよいです。【今月は来週月曜日から開催でまだ申込できます。)
スクールではこの辺を授業で解説しますので身体の仕組みをより深く理解することができます。こういうことを理解し、アプローチ方法を身につけたければスクールに来たらいいと思います。
下垂だけではなく、横隔膜と丹田の関係性、脊椎を調整する実際、足のつくり方や手のつくり方、脇をつくるということの意味などなどあります。ここでも少しずつ話していきます。
呼吸・整体は感覚重視ではありますが、感覚はこうした身体論とセットで語ることを大切にしているので無形と有形を合わせた学びになります。