私はようやく子供を授かったけれど、

帝王切開になり、それでも危険なお産で、死にかけました。

 

母の「意識があるなら会わせてください」という叫び声が何度も聞こえ、

あー死ぬんだな、赤ちゃん抱けずに終わるんだ、と思いました。

 

一命を取り留めたものの、ずっと通院や寝たり起きたりの生活で、

出産後に復帰するはずだったビジネスは全て閉鎖し、

パパは、会社を譲渡し、息子の沐浴やミルクやオムツ替えなど、

「子育てに専念」してくれるようになりました。

 

パパのやりたかった仕事を、叶えたかった夢を、

私は閉じてしまった、そんな自責の念はずっと今でも持ち続けています。

 

9:11同時多発テロの時、なぜハワイにいたのか。

ハワイで動き出していたビジネスも止めてしまったことを、

あとになってから知りました。

 

ゆめみる宝石

そして、私は、青山のオフィス物件を単独で動き、契約しました。

赤坂のローンもあり、審査が通るわけないと半ば安心していたパパでしたが、

購入できたので、パパびっくり。

 

ある時、大手不動産会社の支店が「入居審査がOKです」と言った

入居希望の会社の書類を調べたパパは、難色を示しました。

 

「ここは、危ないと自分は思う」

 

それでも、不動産会社の「大丈夫です」の推しで入居した会社。

とんでもない反社会的組織でした。

 

家賃は滞り、牙を出して来た悪党。

最初は、オーナーの私に電話をかけて来ましたが、

冷静に話し、その後、パパに連絡を取るように誘導しました。

脅迫が続き、強気で出ていた大手不動産会社は逃げた。

警察も全く相談にも乗らず、動かず。

 

パパだけが対応をしてくれていた3ヶ月間、パパのアドバイスで、

3歳の息子を連れて、身を隠して転々と動いていたこともありました。

 

「パパに会いたい。お家へ帰りたい」と泣いていた息子が、

その間に覚えた言葉は、「がまん、がまん、がまん」と、つぶやき耐えること。

 

ゆめみる宝石

4ヶ月後に、「私も役に立つと思うよ」と帰りました。

息子には保育園の送り迎え時、「ママが行け!って言ったら、

死に物狂いで走って管理人室へ行きなさい。

男の子だから強いはずよ」と言い聞かせました。

 

隣室で一人暮らしだけれど、

会社を経営していた度胸の据わったおばあちゃんには、

息子のことを頼みました。

 

マンションでは、エントランスで管理人が来客を通さないように。

抵抗する場合は、すぐに警察に通報準備。

 

実家の母に、事情を話したら、

「大丈夫よ、私はそんな人たちの脅しには慣れているから、任せなさい」と。

 

パパが、ずっと頑張ってくれた、あの3ヶ月間。

パパは一人で部屋で寝て、対応してくれていたのです。

 

パパが、最後の言葉を命を込めて、怒鳴ったこと。

それで、相手は終わった。

パパじゃなかったら、どんなことになっていたか。

 

息子は覚えているかもしれない。

よくはわからないけれど、ものすごく大変なことが起きていること。

そして、父親が自分たちを守ろうとしていたこと。

あの子は、「危険を察知するのが早い感性」を持つように育ちました。

 

私は、残りの人生を考えた時、ハワイのお部屋を買いたいと思う気持ちが

強く湧き上がったわけ。

 

パパが、「大好きでもう一度住みたかったハワイへ」

 

けれど、「なぜ日本の物件でなく、ハワイなんだ」

と言う質問に答えない私は、パパと大ゲンカをし、

私は携帯の電源を1週間切った。

 

そして、2022年、3月、ハワイ不動産を黙って契約しました。

 

 

        2022年8月、建設中の様子を見に行き、撮影。