国分崇 オフィシャルブログ-2011012410430000.jpg



こんにちは!

不思議なことってたくさんありますね。


今日はきのうの不思議体験をお届けします。



「サイン」


それはなんてことない、ごくごくありふれた普通の日のことでした。


オレは、所用を済ませ、電車で自宅に向かっていました。

車内は比較的、空いている感じです。


最初に言っておきます。これはたぶん野球の話です。

もちろん、ノンフィクションの。


すべては、彼と目が合ってしまったことからはじまりました。

ふとなにかを感じたのかもしれません。5メートルほどに先にいる男性と目が合いました。


年の頃は、40歳前後でしょうか。


ちょっと変わった感じの空気を放っているのがすぐにわかるほど、その男性はどこか落ち着きがありませんでした。

頭には、不思議なキャップをかぶっています。


なんか変わった人だなぁ…


そして目が合ってまもなくした、次の瞬間でした。


その男性が、オレに向かってサインを出してきたのです。


野球の監督がバッターに送る、あのサインです。


しかもそれを、電車の中で、よりによってオレに、です。



一体どういうことだ…!?


いくら考えても、わかるはずがありません。


わかっているのは、今オレは野球をやってないということくらいです。


仮にやっていたとしても、たぶんチームがちがいます。


でもその男性は、いや、もはやこのときのオレにとっては、監督です。

監督は、再び同じサインを出してくるのです。


とりあえず2、3回うなずくオレ。意味不明です。


サインはひたすらオレに送られてきます。

もうここまでまっすぐな瞳でサインを出されると、決して電車内で野球はやっていませんが、監督の指示通りに動くしかありません。

それがたぶんベースボールです。




送りバント…?




もうよくわかりませんが、そんな感じで受け止めてみました。

でも、でした。


オレは、バットを持っていません。それどころか、やっぱり野球をやっていません。

でも、それももはや愚問でした。


バットなんかなくったって、野球はできるだろ!


そんな監督の理不尽さえまかり通るくらい、オレたちの甲子園は険しいところなのかもしれません。


この場合の甲子園がどこかは、もちろん不明です。



監督、オレは電車で誰を送ればよいのですか?



監督の表情は次第に曇っていきました。

それはそうです。選手が監督の指示に従わないんです。


でもオレは、本当に野球などやっていないのです。

野球顔に生まれてしまったのでしょうか?


もはや、考えることの大半が意味不明です。



そしてオレは、時間の経過とともに、意味もなくどんどん追い込まれていきました。


そしてカウントツースリーくらいのときでした。


電車がオレの最寄り駅に着いたのです。

監督はオレが降りたいドアに立っています。


オレは三振した選手のように、監督の横を頭を下げ通りすぎ下車しました。


でも監督は、そんなオレを責めることなく、黙ってベンチ裏に見送ってくれました。


スポーツマンシップにのっとっています。


すいません監督。一回もバット振れなくて…ホントすいません…


ゲームセットを告げるかのようなサイレンがホームに響きました。


そして「プシュー」という音とともに、オレの短い甲子園は終わりました。


校歌は、歌えませんでした。


おしまい。

ではありません。物語はこれで終わりではなかったのです。


車内を見たオレは、あることに気づいたのです。


さっきまでオレが座っていた席に、女の子が座ったのです。


そして監督は、あろうことかその女の子にも、あのサインを送ったのです。


もう男女の壁を越えた甲子園です。


そうなんです。

まだ試合は終わってなんかなかったんです。



監督は、必死にサインを送っています。その監督の気持ちと反比例するかのようにひいていく女の子。


無理もありません。


何度も言いますが、彼女もまた、野球などやっていません。

バットらしきものも、持っていません。



女の子は、監督を気持ちわるがり、避けるように席を移りました。



そのときでした。



手をたたいたのです。


監督が嬉しそうに、女の子に向かって手を叩いたのです。



え!?なんで!?



オレはとんでもない勘違いをしていたことに気がつきました。


そうです。あのサインは、


「盗塁」



のサインだったのです。



オレたちは、バッターではなく、ランナーだったのです。




たぶん。





電車は、出発しました。

彼女は、セカンドベースという座席に移動しました。


今ストーブにあたりながら、きのうのことを思い出しています。


オレも監督の期待に応えたかった。あのとき、セカンドベースにスライディングしたかった。


そんな、野球にすべてを捧げた、青春の1ページの話でした。






ていうか…




おっちゃん誰やねーーーんっ!!

どこのチームとどうやって戦っとんねーーーんっ!!

NO MORE BASEBALL!PLEASE!



というわけで、ホントにあった不思議なお話を、弱冠脚色してお届けしました。


でもホントにサインを送ってくれました、監督。


これはショートフィルムにできそうですね。


今年もこんな感じで、日常のドラマをショートフィルムにして、映画祭にチャレンジしていこうかなって思います。


そうそう。今日も朝から不思議な光景を目にしました。

写真がそれです。


男子トイレの便器の上の棚的な場所に



レーズン




メニーレーズン




なんでやねーーーんっ!

おいしそうだけどもー

確かに

おいしそうだけどもー


いっただっきまーーっす♪とかならないよーーっ!
どんなに腹ぺこでもー



ね。


ホント不思議なことが溢れてますね。



でわでわみなさんも、今日も1日素敵なファンタジー感じてください♪