こんにちは!
不思議なことってたくさんありますね。
今日はきのうの不思議体験をお届けします。
「サイン」
それはなんてことない、ごくごくありふれた普通の日のことでした。
オレは、所用を済ませ、電車で自宅に向かっていました。
車内は比較的、空いている感じです。
最初に言っておきます。これはたぶん野球の話です。
もちろん、ノンフィクションの。
すべては、彼と目が合ってしまったことからはじまりました。
ふとなにかを感じたのかもしれません。5メートルほどに先にいる男性と目が合いました。
年の頃は、40歳前後でしょうか。
ちょっと変わった感じの空気を放っているのがすぐにわかるほど、その男性はどこか落ち着きがありませんでした。
頭には、不思議なキャップをかぶっています。
なんか変わった人だなぁ…
そして目が合ってまもなくした、次の瞬間でした。
その男性が、オレに向かってサインを出してきたのです。
野球の監督がバッターに送る、あのサインです。
しかもそれを、電車の中で、よりによってオレに、です。
一体どういうことだ…!?
いくら考えても、わかるはずがありません。
わかっているのは、今オレは野球をやってないということくらいです。
仮にやっていたとしても、たぶんチームがちがいます。
でもその男性は、いや、もはやこのときのオレにとっては、監督です。
監督は、再び同じサインを出してくるのです。
とりあえず2、3回うなずくオレ。意味不明です。
サインはひたすらオレに送られてきます。
もうここまでまっすぐな瞳でサインを出されると、決して電車内で野球はやっていませんが、監督の指示通りに動くしかありません。
それがたぶんベースボールです。
送りバント…?
もうよくわかりませんが、そんな感じで受け止めてみました。
でも、でした。
オレは、バットを持っていません。それどころか、やっぱり野球をやっていません。
でも、それももはや愚問でした。
バットなんかなくったって、野球はできるだろ!
そんな監督の理不尽さえまかり通るくらい、オレたちの甲子園は険しいところなのかもしれません。
この場合の甲子園がどこかは、もちろん不明です。
監督、オレは電車で誰を送ればよいのですか?
監督の表情は次第に曇っていきました。
それはそうです。選手が監督の指示に従わないんです。
でもオレは、本当に野球などやっていないのです。
野球顔に生まれてしまったのでしょうか?
もはや、考えることの大半が意味不明です。
そしてオレは、時間の経過とともに、意味もなくどんどん追い込まれていきました。
そしてカウントツースリーくらいのときでした。
電車がオレの最寄り駅に着いたのです。
監督はオレが降りたいドアに立っています。
オレは三振した選手のように、監督の横を頭を下げ通りすぎ下車しました。
でも監督は、そんなオレを責めることなく、黙ってベンチ裏に見送ってくれました。
スポーツマンシップにのっとっています。
すいません監督。一回もバット振れなくて…ホントすいません…
ゲームセットを告げるかのようなサイレンがホームに響きました。
そして「プシュー」という音とともに、オレの短い甲子園は終わりました。
校歌は、歌えませんでした。
おしまい。
ではありません。物語はこれで終わりではなかったのです。
車内を見たオレは、あることに気づいたのです。
さっきまでオレが座っていた席に、女の子が座ったのです。
そして監督は、あろうことかその女の子にも、あのサインを送ったのです。
もう男女の壁を越えた甲子園です。
そうなんです。
まだ試合は終わってなんかなかったんです。
監督は、必死にサインを送っています。その監督の気持ちと反比例するかのようにひいていく女の子。
無理もありません。
何度も言いますが、彼女もまた、野球などやっていません。
バットらしきものも、持っていません。
女の子は、監督を気持ちわるがり、避けるように席を移りました。
そのときでした。
手をたたいたのです。
監督が嬉しそうに、女の子に向かって手を叩いたのです。
え!?なんで!?
オレはとんでもない勘違いをしていたことに気がつきました。
そうです。あのサインは、
「盗塁」
のサインだったのです。
オレたちは、バッターではなく、ランナーだったのです。
たぶん。
電車は、出発しました。
彼女は、セカンドベースという座席に移動しました。
今ストーブにあたりながら、きのうのことを思い出しています。
オレも監督の期待に応えたかった。あのとき、セカンドベースにスライディングしたかった。
そんな、野球にすべてを捧げた、青春の1ページの話でした。
ていうか…
おっちゃん誰やねーーーんっ!!
どこのチームとどうやって戦っとんねーーーんっ!!
NO MORE BASEBALL!PLEASE!
というわけで、ホントにあった不思議なお話を、弱冠脚色してお届けしました。
でもホントにサインを送ってくれました、監督。
これはショートフィルムにできそうですね。
今年もこんな感じで、日常のドラマをショートフィルムにして、映画祭にチャレンジしていこうかなって思います。
そうそう。今日も朝から不思議な光景を目にしました。
写真がそれです。
男子トイレの便器の上の棚的な場所に
レーズン
メニーレーズン
なんでやねーーーんっ!
おいしそうだけどもー
確かに
おいしそうだけどもー
いっただっきまーーっす♪とかならないよーーっ!
どんなに腹ぺこでもー
ね。
ホント不思議なことが溢れてますね。
でわでわみなさんも、今日も1日素敵なファンタジー感じてください♪