あしたのジョー心理学概論~矢吹 丈 その心の病~ PART34 | 心を和らげる相談室 HEART

心を和らげる相談室 HEART

暗く、独り孤独に病と闘っている方、明日は一緒に光の射しこむ明るい場所へ行きましょう ”ゆっくり、焦らず、精一杯に” 本来の自分を一緒に取り戻しましょう。 一歩、踏み出す勇気を持ってください。

あしたのジョー心理学概論~矢吹 丈 その心の病~ PART34

 

「金を得るため」のボクシング

 

ジョーがドヤ街に登場した直後、

段平との喧嘩、ヤクザとの乱闘などパンチ行動が15回観察される。

しかし、

ボクシング行動は一度もない。

この時期はベース記録であり、

今後の行動変容のスタートラインとなる

オペラント水準は0である。

 

 

オペラント水準とは、

自然な状態での目的行動の出現頻度

 

 

ここでのオペラント水準はベース記録時に観察される目的行動の回数で、

その後の行動変化の手法の効果を検討する基準になる数値である。

 

初めてボクシング行動が見られるのは、

ヤクザと暴力事件を起こし、

段平とともに留置所に入れられた後からである。

 

留置所内で、段平がボクシングの経験談を話すが、

ここで段平とジョーの間に、どんな契約が交わされたかは不明である。

その後の展開から推測すると、

契約は、ジョーがボクシングの練習をすれば、

生活(食住、及び金銭)を保証するという内容だったのではないかと思われる。

この時期、ジョーの目的は「金」だった。

 

ボクシング行動は、パチンコ、景品の販売、詐欺などの行動と同様に、

金を稼ぐための手段のひとつにすぎない。

それらの行動は、すべて金銭の取得という正の強化子によって

維持されている。

 

特にボクシング行動は、正の強化子の提示を一定時間ごとに行う

定間隔強化スケジュールでコントロールされている。

しかも、先行刺激として段平という特定の刺激が提示されているときに、

ボクシング行動をすると正の強化子が提示されるという

弁別学習スケジュールである。

 

 

弁別学習とは、

二つ以上の刺激の弁別が要求されるような課題を学習することをいう。

 

ジョーのボクシング行動は段平の提示時だけに見られ、

この弁別学習は完成されていた。

段平にとっては、ジョーのボクシング行動自体が正の強化子である。

このため、この時期、

「段平がジョーに対して、お金という正の強化子で

   ボクシング行動をコントロールしている」 というよりも、

むしろ、

「ジョーがボクシング行動という正の強化子により、

  段平の金銭支払い行動をコントロールしていた」

 と、見るべきだと考える。

 

それは、ジョーの以下のセリフに表れている。

「たったの百円ぽっちで

  無駄遣いもへったくれもねえもんだ。

  この際、契約取り消すかな」

 

 

そのために、段平(弁別刺激)の提示時には

ボクシング行動が起こる確率が高くなり、

段平(弁別刺激)の提示がない時は、

他のお金を得るための金銭取得行動の生じる確率が高くなる。

更に、詐欺(養護施設の子供たちを守るため)などの

金銭取得行動がオペラント条件づけされるにつれて

ボクシング以外の行動が起こる確率が高まり、

ボクシング行動は起きにくくなり、

最終的には、オペラント水準にまで低下する。

 

この時点で、消去抵抗としてのボクシング行動は全くみられない。

 

 

消去抵抗とは、

消去スケジュール期に入ってからも観察される目的行動の数で表され、

条件づけの強さを測る基準値とされる。

 

 

読者さまへ

 

恐らくは、聴いた事のない文言が多く退屈なブログだなぁ~

と、考えている方も見えると思います。

それは、十分承知しております。

もう少し上手く噛み砕いて説明出来れば良いのですが、

これ以上噛み砕きようがないのです。

今しばらく、御辛抱ください。

 

今後のブログの布石としてお考え頂けると幸いです。

 

 

 

 

では、今日はここで失礼します。

ありがとうございました。

そして、今後も宜しくお願い致します。

 

 

 

 

 

 

 

 

心を和らげる相談室 HEART    代表    杉野 茂広