大阪イチやさしいNLP教室のNLPトレーナーの藤木ミホです。
カウンセリングでは、クライアントが疑問詞を口にすることがよくあります。
その中で最も多いのが、「なぜ？」です。
このクライアントの「なぜ？」には、答えがないものが多いのです。
たとえば、
・なぜ、彼はあんな事故にあったのでしょうか？
・なぜ、あの子は死なねばならなかったのでしょうか？
・なぜ、私は繰り返しこんな目に遭わねばならないのでしょうか？
などです。
科学的な立場や医学的な立場からみると、正しい答えがあるかもしれません。
また、スピリチュアル的な立場から、宇宙の法則や引き寄せの法則などを通して、答えることはできるかもしれません。
ただ、心理カウンセリングの場に来られるクライアントは、科学的、医学的な正解、スピリチュアル視点の回答では、ほぼ納得されません。
そのことから、ほとんどのカウンセリング講座では、答えの出ない「WHY」の問いかけに「答える」のではなく「応える」にはどうしたいいかを教えていると思います。
私の開催するカウンセリング講座には、NLPの資格を取ったけれど、カウンセリグが上手くいかないと問い合わせてくださる方がおられます。
クライアントが「なぜ？」を繰り返すばかりで困るという相談です。
NLPとは、米国発祥の心理プログラムです。
このNLPには、「WHYからHOWへ」という考え方があります。
意味を簡単にお伝えすると、「なぜ？」という問いかけから、「どうやって？」に切り替えてみるということです。
たとえば、成績が伸びない学生が「なぜ、自分の成績は悪いままなんだろう？」と考えていたとします。
これに対してNLPでは、「WHYという疑問詞で考えていても、成績はそのままですよ。」と考えます。
そしてNLPでは、HOWを使う考え方をします。
つまり、NLPでは、「どうやったら成績は伸びるのだろう？」と考えるのです。
このようなことから、NLPを手法として用いるカウンセラーは、「WHYからHOWへの考え方」でクライアントに対応します。
その対応に、合理的なクライアントは、「なるほど」「その通りだ」と思われるでしょう。
ところが、人生で大きな問題を抱えているクライアントには、この「WHYからHOWへ」という考え方が適さないことが多々あるのです。
たとえば、幼い我が子を難病で亡くしたばかりのお母さんに、
「なぜあの子は死んだのかという考えをやめて、亡くなったお子さんのためにも、どのようにお母さんの人生を充実させるかを考えましょう」
とカウンセラーが提案したらどうなるでしょう。
おそらくクライアントであるお母さんは、そんな切り替えがすぐにできることはないでしょう。
そしてクライアントであるお母さんは、繰り返し「なぜ？」とおっしゃいます。
このような時には、NLPの「WHYからHOWへの考え方」が通用しないのです。
よって、NLPの資格を取得したけれど上手くいかないと、カウンセラーが困ることになるのです。
人生で大きな出来事に遭遇し、大きな打撃を受けたクライアントの内面は、「なぜ？」という疑問詞でいっぱいになります。
その場合、カウンセリングでは、「なぜ？」に答えるのではなく、応えるという対応になります。
要するに、答えのない質問にどう応えるかということです。
そして、応え続けるうちに、クライアント自身が、「なぜ？」の答えをふと手にするということが起こります。
クライアント自身が納得する感覚とともにです。
これを「気づき」とも言います。
カウンセラーも、クライアントの周りの人間も、クライアントが「納得する答え」を提示することはできません。
しかし、カウンセリングを通して、カウンセラーが応え続けるうちに、クライアントが悟りのような答えを得ていかれるのです。
クライアントがこの地点まで来られた時、「WHYからHOWへ」の考え方も受けいれていかれます。
必要な時間をかけて「WHY」に取り組んだ結果、これからどう生きるかという「HOW」へ移行できるのです。
カウンセラーは、苦悩をともなう「WHY」の渦中から、クライアントに早く抜けてもらいたいと思い、過剰な働きかけを行おうとすることがあります。
しかし、十分に「WHY」に取り組むことで、自然とクライアントは「HOW」へと向かえるのです。
カウンセリングでは、クライアントがじっくりと「WHY」に取り組める場を提供することもよくあるのです。
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