大阪イチやさしいNLP教室のNLPトレーナーの藤木ミホです。
問題が起こった時、悩み事がある時、落ち込んだ時・・・
「そんなときだからこそ、ポジティブに考えてみましょう！」
というアドバイスをされた経験がある方は多いのと思います。
いわゆるポジティブ思考を、カウンセリングの技術だと思う方がおられるのですが、そうではありません。
ポジティブに考えてみましょうというアドバイスは、誰にでも言える言葉です。
そして、そう言われたからと言っても、実際にポジティブな感覚を感じられるわけではありませんし、ポジティブな考え方が急に出来るわけでもありません。
カウンセリングを知らない方の中には、クライアントの気持ちが落ち込んでいるなら、ポジティブに考えるようにアドバイスしたらいいと考えている方がおられます。
しかし、カウンセリングの場において「ポジティブに考えましょう」とアドバイスなんてしても、クライアントの問題は解決しません。
また、カウンセラーはポジティブ思考をクライアントにすすめることはありません。
もちろん、カウンセリングを行う中で、クライアントの気持ちが安定して、元気が湧いてくるならそれは大歓迎の状況です。
カウンセリングの場において、カウンセラーは、ポジティブに考えましょうというようなアドバイスをしません。
それは、もしもクライアントが「自分はネガティブでダメだなあ・・・」と落ち込んでいた時のことを想像してみると分かります。
カウンセラーにポジティブに考えましょうと言われる事で、クライアントは、やっぱりネガティブな私はダメなんだ・・・とさらに落ち込むことになるでしょう。
ただ、クライアントの多くが、とても気を遣う方が多いのです。
とても気を遣う方は、ポジティブに考えましょうというカウンセラーの助言に対して、せっかく助言してくれたのだからその通りにしないと悪いと感じます。
そして、必死でニコニコ明るく振舞うような事になるのです。
ここで観察力が低いカウンセラーだと、クライアントが無理してニコニコしている事に気がつきません。
むしろ、「私の助言はバッチリだった！」ぐらいに考えます。
こうして、クライアントは重い塊を心に隠し、ニコニコ仮面をかぶって、明るさや元気さを演技します。
このような流れは、クライアントの心に相当な負荷をかけます。
こんなことが続くと、クライアントは、ある日急に落ち込んで、以前よりしんどくなるのです。
それなのに、なぜカウンセラーは、クライアントに、ポジティブ思考を進めるのでしょうか？
それは、カウンセラー側が、「ポジティブが良くて、ネガティブが悪い」という思い込みを持っていることが考えられます。
そして、その思い込みをもとに、カウンセラーは、ポジティブを増やして、ネガティブを消し去ろうとします。
ポジティブを増やして、ネガティブを消し去るのは、カウンセリングの技術ではありません。
ポジティブだろうが、ネガティブだろうか、まずクライアントの状態を尊重するのがカウンセリングなのです。
そもそもカウンセリングの現場において、ポジティブとかネガティブとかの単語はあまり登場しません。
もし登場しても、「クライアントは、○○な状態をポジティブと言って、□□な状態をネガティブと定義されているのだな。」とカウンセラーは受け取るだけです。
そもそも、ポジティブとネガティブの定義なんて、人によって違いますからね。
しかし、カウンセリングの依頼の中には、「ネガティブから脱出して、ポジティブになりたい。」という依頼もあります。
そんなとき、カウンセラーは、
「ネガティブとか、ポジティブとか、そんなことはどうでもよくなるのが、いったんのカウンセリングのゴールだな。」
このように考えます。
自分の生き方が充実している時、人はネガティブとか、ポジティブとかなんてどうでもよくなるものなのです。
つまり、カウンセリングのゴールは、決して、「ポジティブな私になった！」ではないのです。
心理カウンセリングの世界では、ネガティブにもポジティブにもこだわらない状態が推奨されます。
これからカウンセラー開業を目指す方には、クライアントがこだわりを手放して、新しい境地を手に入れるための技術を磨いておいていただければと思います。
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