ベイブレード 第一期だった
『月間コロコロコミック』
は愛読書で
応募者全員プレゼントなんてのにも
応募したもんだ
2年生の時だったか
暗い顔をして帰ってきた
わけを聞くと
近所の上級生に
お気に入りのベイブレードを交換された
と
5年生のお兄ちゃんだ
「お母さんが言ってあげようか?」
と提案した
うつむいて
しばらく考えて
「自分で言いに行く」
と
うん
まあまあ 親がシャシャっちゃね
独立心が
とはいえ
ヘニョヘニョの2年生と
5年生のお兄ちゃんでは
格が違う
「今から行ってくる」
決意の表情で出かけた
後ろから こっそり付いて行った
橋を渡って左に曲がった
電柱のかげから見守った
その子の家に近づき
その子の家に近づき
名前を呼んだ
2階の窓から
顔を出して
その子が余裕でこたえた
(「コイツ~!」)
やり取りが聞こえたようで
その子のお母さんが
息子に用件を聞いてくれた
お母さんが
その子に降りて来い
と言ってくれた
お兄ちゃんは
ごめんな
と言って息子の愛機を
返してくれた
私は足音を立てないように
急いで走って家に戻った
ほどなく
息子が晴れ晴れとした顔で
帰ってきた
顛末を聞いて
喜びを分かち合った
息子が大人に一歩 近づいた日だった