じっと座っていられない。
話を最後まで聞けない。
つい前に出てしまって、あとから叱られる。
そんな姿を見て、
「この子、大丈夫かな…」と
胸がざわつくことはありませんか。
今日は、
自由安心タイプの子のグレーゾーンに見れれる傾向と、
その奥にある心の仕組みを、やさしくほどいていきます。
1.集中が続かないのは「意志が弱いから」ではない
自由安心タイプの子は、
一つのことにじっと集中し続けるのが、もともと得意ではありません。
周りの音。
人の動き。
ふと浮かんだ別の考え。
そうした小さな刺激に、
心が次々と反応してしまうのです。
大人から見ると
「注意散漫」「落ち着きがない」と映りやすいけれど、
本人はただ、世界に対してアンテナが開きっぱなしなだけ。
集中できないのではなく、
感じ取ってしまう情報が多いとも言えます。
2.「最後までやりきれない」は、興味の切り替えが早いだけ
※今回は「感覚を統合する」という療育の視点は省略をし、素質の観点でお話します。
最初は勢いよく始めたのに、
途中で別のことに気を取られてしまう。
自由安心タイプの子には、よくある姿です。
これは
「飽きっぽい」
「やり遂げる力がない」
という単純な話ではありません。
この子は、
今の自分に合わなくなったと感じる瞬間を、とても敏感に察知します。
だからこそ、
心のスイッチが切れた瞬間に、
次の方向へ体が動いてしまうのです。
3.聞き逃し・勘違いが起きやすい理由
話を聞いているはずなのに、
大事なところがすっぽり抜け落ちる。
自由安心タイプの子には、これもよく見られます。
これは、
耳が悪いわけでも、理解力が足りないわけでもありません。
関心が他のところへ流れている瞬間に、言葉が通過してしまう
ただそれだけのことが多いのです。
4.一番つらいのは「叱られること」より「否定された感覚」
自由安心タイプの子は、
指摘や注意を受けると、想像以上に心が傷つきやすいところがあります。
表面上は反発しているように見えても、
内側では
「またできなかった」
「どうせ自分は…」
と、自己否定が静かに積み重なっていることも少なくありません。
多く叱られるほど、
自己肯定感が下がりやすいのは、このためです。
5.外で頑張り、家で崩れる子
外では愛想もよく、明るくて、元気な子。
でも家に帰ると、突然荒れる。
泣く。怒る。反抗する。
甘えが爆発する。
これは、自由安心タイプのグレーゾーンの子に、とても多い姿です。
家は、
唯一「鎧を脱げる場所」。
外で必死に自分を抑えてきた分、
安心できる場所で感情が噴き出すだけなのです。
6.抑え込まれすぎたときに起きやすいリスク
自由安心タイプは、本来、
・新しいことに挑戦する力
・人を引っ張る行動力
・ひらめきの速さ
を持ったタイプです。
けれど幼少期に、
「落ち着きなさい」
「ちゃんとしなさい」
「みんなと同じように」
と抑え込まれすぎると、
その力が行き場を失ってしまいます。
特に女の子は、
おとなしくなる方向へ抑圧されやすく、
心の中で自己否定だけが強く育っていくこともあります。
7.最後に
自由安心タイプのグレーゾーンの子は、
問題があるのではありません。
もともと動きすぎるほどのエネルギーを持って生まれてきただけ。
動きすぎるバイタリティとかフットワークとか、そんな才能を活かした人生を用意されている子たちなのです。
そのエネルギーを
「困ったもの」と見るか、
「まだ整っていない力」と見るかで、
この子の未来は大きく変わります。
落ち着けないのは、
落ち着けない性質だからではなく、
落ち着く形が、まだ見つかっていないだけ。
あなたのまなざし一つで、
この子の世界は、少しずつ安心に変わっていきます。

