1月の雑感 | 桃象コラム

桃象コラム

音楽(特にピアノ)、演劇鑑賞、料理、旅行、ヨガ、スポーツ観戦(フィギュアスケート、サッカーなど)を心のオアシスに、翻訳を仕事にしていつの間にか四半世紀。まだまだ修行中。

あけましておめでとうございます、というには日が経ちすぎて、松も取れたし鏡も開いてしまいましたが、小正月ということで。いずれにしろ2018年1本目ということで、あけましておめでとうございます。

 

年末、仕事を納めたと思ったらそれで油断したのか、翌日から風邪をひきました。これはまずいと、速攻でかかりつけのお医者さんに飛び込んでがっつり薬をもらって事なきを得たつもりでおりました。お医者さんの読みどおり、風邪の症状は3-4日で収まったのですが、どうにも咳が止まらない。それもただの咳じゃない、怪しい… もしや、と思い、年明け早々に再びお医者さんに行きましたら、これは喘息の発作だと。

 

まじですか。確かに私は大人になってからの喘息持ちなんですが、もともとごく軽いものだし、発作も5年ぐらい起きていなかったのでほぼ忘れていましたよ。いざという時の発作止めの薬ももらい、「おお、結弦くんが持っていたお薬とおそろいだ~」とか馬鹿なことを言ってる場合じゃない。お正月休みはじーっとおとなしくしておりました。

 

久々に喘息発作に見舞われて、あー参ったと思うと同時に、こんな思いをしながらあんなにハードな競技を続けるなんて、結弦くんはもうそれだけで金メダルものだと思います。この時期の発作は私が引き受けるから、結弦くんには発作を起こさないままシーズンを終わらせてあげてください。

 

さて、さすがにオリンピックイヤーとあって、いろいろとメディアも騒ぐし、イベントやスポンサーのキャンペーンも目白押しですね。まさに玉石混交。こういう時には、たいがいのものはスルーを決め込むのがコツだと思います。このところのさまざまなあれこれについて、少々感想をば。

 

まずは「玉」。昨夜のNNNドキュメント「絶対に勝ってやる! 羽生結弦 自分への挑戦」です。これは大変な優良番組でした。これまで未公開だった映像の中で、羽生さんがいろいろと饒舌に語っています。若手の台頭も怪我のリスクも、PCSとTSEのルール上の矛盾もすべて分かったうえで、そこそこうまくやれば安心して1位を狙えることも分かっていながら、それでも「何かを出し惜しみしながら考えて考えてやるのは性に合わない」と言い、クワド5本の構成表を見ながら満足げに微笑むその顔は、スポ魂少年そのものでした。怪我の回復が危惧されるなか、さすがに構成を見直すだろうという声をずいぶん聞きましたが、これを見て私は思いました。彼はきっと構成を変えない。これまでの怪我やそこからの回復の経験で学んだ叡智をすべてつぎ込んで平昌に乗り込むに違いない。この番組に寄せたメッセージの中で、「私が怪我をしている間に、たくさんの方がメッセージをくれました。そのたくさんの思いと、自分の中でずっと抱えてきた思いを重ねて、一生懸命、全力で、最高の『羽生結弦』になれるように努力していきます」と語っています。「怪我をしている間に…くれました」と過去形です。そう、怪我はもう終わったのです。だからもう、早い回復を願うメッセージは要らないのです。私は「最高の羽生結弦」が見たい。それがあと1か月で見られるように願っています。もう一つの「玉」は、NHKスペシャルがやってくれそうな気がしています。

 

かたや、「石」はたくさんごろごろ転がっています。ろくに取材もせずに憶測で書いた記事や、そもそもフィギュアのことを分かっていないだろう記者が書いたと思われる記事など魑魅魍魎。にわかファンは一向にかまわないけれど、にわか記者はタチが悪い。羽生ファンの多くは中高年女性で、彼を守りたいと思っている、という記事には笑わせてもらいました。実際の羽生ファンは老若男女です。試合やショーでは、多くの男性ファンも目にします。私の周りの中高年男性でスポーツ好きな人は、もれなく羽生に注目しています。また、私はまぎれもなく「中高年女性」ですが、羽生さんを守りたい対象として見たことは一度もありません。とんだステレオタイプ。これはそもそもどこぞの大学教授のコメントのようですが、メディアが表層的に扱ったネタを裏も取らずに信じ込むとこうなる、という見本のようなものだと思います。

 

これもとんだ「石」だと思うのですが、テレビ朝日のコラムで、「(スケート連盟は)羽生側と連絡を密に取り、さらに心配するファンのために可能な分だけでも回復状況を“公開”してよいと思うのだが」という文章を目にしました。

 

あほか。

 

こういう記事に限って記名じゃないので誰が書いたものか分からないのですが、羽生情報が無くて困っているのは紙面を埋められないあなたであって、ファンじゃない。情報を公開するかどうかは重要な戦略の一部であり、それを決めるのは「チーム羽生」であってスケート連盟じゃない。スポーツファンのマニア度は高いので、こんな書き方には騙されませんよ。

 

ところが同じ朝日系でも、朝日新聞デジタルが製作した「SPIN THE DREAM」は素晴らしくよくできていると思います。後藤記者が中心となって作ったのでしょうか。写真もきれいだし、音声や動画を組み込んだデジタルコンテンツとして、とてもよくできています。永久保存版にしたい。

 

これからオリンピック個人戦男子までちょうど1か月。まだまだいろいろと出てくるでしょうが、記者のみなさん、頑張っていい記事を書いてください。

 

さて、私はオリンピックまでにレコーダーを整理しないと...

 

桃象