映画、賛歌。 :映画「THE MAGIC HOUR」 | ココイチ版!
2008-06-23

映画、賛歌。 :映画「THE MAGIC HOUR」

テーマ:映画

映画が好きだ。「映画が好き」といってもその良さは一言では語れない。いい作品も、そうでないものもある。好きなものも嫌いなものもある。色々な種類の作品がある。ストーリーに唸るもの、特殊効果に瞠目するもの。役者の演技が印象深いもの。それぞれに特徴があり、それぞれに良さがある。


映画「THE MAGIC HOUR」を観た。


「映画」ってすごい、と素直に思った。

 

観た後の気持ちをうまく表現できない。ストーリーを楽しんだ単純な気持ちと同時に、異なるなんだか深い印象も同時に残ったからだ。その印象とは、「そもそも映画のよさとは?」いう問いかけであった。考え抜いた挙句出てきたその問いへの答は、「映画ってすごい」という、あまりにも幼稚な感想なのが残念である。

 

この話を作った人も、演じている人たちも、その世界を創っている人たちもすごい。目に見えないところに隠れているたくさんの人たちの能力が終結した時、それは「現実」が持つリアリティを凌駕する。「現実」をあざ笑うかのように巧みに仕掛けられた「偽物」の職人芸のクオリティの高さは、見事だ。

 

上映時間、2時間16分。この長い映画のフィルムの中に焼き付けられているものは、ストーリーで描かれる人間関係のしがらみだけではない。無論、ストーリーは面白い。登場人物たちも皆愛すべきキャラクターで素晴らしい。素晴らしい台詞も覚えきれないほどたくさんあった。しかし物語にばかり目を取られてしまっては勿体無いと思った。これは「映画」という存在に対する愛情の結晶のようなものだからだ。

   

『映画が好き。映画館が好き。映画館の椅子や映写機、スクリーンが好き。フィルムや音の濁りが好き。監督が好き。贔屓の監督が好む演出方法が好き。好きな映画に出ていた目立たない役者が好き。撮影所の雰囲気が好き。セットや小道具や衣装、メイクが好き。照明や音響が好き。職人芸的な演出効果が好き。』

 

あげればキリがないほど、作り手の「好き」という愛情に溢れ、魅力が詰まっている。

   

これは、「映画賛歌」の作品ではないだろうか。素人(素人役の俳優)がカメラやライトを持って走るシーンがある一方で、別の場面ではプロ(プロ役の俳優・中には本当のプロもいるらしい)が最高の仕掛けを魅せる。「映画ってのはこんなにすごいもんなんだぞ」と、今まで知らなかったことをたくさん教えてくれる。

 


ストーリーばかりに気を取られていたら勿体無い。これは落ちぶれた人間の再生ドラマでもない。励ましのメッセージを込めた、うそ寒いヒューマンドラマでもない。ただ笑うためだけのコメディ映画でもない。面白くてやがて悲しき的なメロドラマでもない。ファンタジーでもなければ、サスペンスでもない。

 

「俺はスクリーンが好きなんだ!」

 

主人公・村田(佐藤浩市)が叫ぶその台詞が、この映画の主題なのではないか。映画という文化を愛した人々が集まって、力を合わせて創った作品。「映画ってこんなにすごくて、こんなに素晴らしいんだぞ!」 そういう想いが焼き付けられているような気がして、ならない。

 

「DVDになるからレンタルで観よう」「テレビで放送されたら見よう」・・・そんな風に思いがちだけれども、この作品はそんな気持ちにならなかった。スクリーンに映る、俳優の大きな表情。その後ろに映る、気にも留まらないような小さな仕掛け。それらはすべて、愛情に包まれている。

  

「映画」を舐めちゃいけない。

 

映画って、すごい。

あらためて、思った。


+++


「THE MAGIC HOUR」 →公式サイト

                    
※この公式サイトは裏エピソードもあって楽しめますが、ちょっと情報過多かも。と個人的には思います。なので映画をごらんになる前の方はご注意ください。


脚本・監督:三谷幸喜

出演:佐藤浩市、妻夫木聡、深津絵里、綾瀬はるか、西田敏行、小日向文世、寺島進、戸田恵子、伊吹吾郎、浅野和之、市村萬次郎、柳澤愼一、香川照之、甲本雅裕、近藤芳正、梶原善、阿南健治、榎木兵衛、堀部圭亮、山本幸史、市川亀治郎、中井喜一、鈴木京香、谷原章介、寺脇康文、天海祐希、唐沢寿明

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