どうみる?財政赤字(13)-法人税の増税が必要(山家悠紀夫さんに聞く) | くろすろーど

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 《※連載「どうみる?日本の財政赤字(山家悠紀夫さんに聞く)」の「(1)孫子の代まで借金漬け?」 「(2)国の財政と家計は性格が違う?」 「(3)日本がギリシャのようになる?」 「(4)国民を黙らせる「呪文」?」 「(5)公務員人件費が高いから財政赤字が増えた?」 「(6)社会保障費が財政赤字の原因?」 「(7)赤字の原因は大型公共事業?」 「(8)法人税減税・高額所得者減税が赤字を拡大?」 「(9)賃上げが赤字減らす?」 「(10)最賃アップと派遣法改正が必要?」 「(11)強きを助け弱きをくじく税の転換?」 「(12)「日本の法人税は高くない」と経団連幹部が証言」 のつづきです。》


 ――法人税減税をしないと、企業の国際競争力が弱まってしまうと日本経団連などは主張していますが?


 ◆法人税を減税しても国際競争力にプラスにならない


 山家 「法人税減税はすべきでない」、「法人税は減税でなく増税すべき」などと言うと、国際競争力が弱まるという話が必ず出てきます。しかし、別に世界で一番高い法人負担にしようなどと言っているわけではありません。せめてヨーロッパ並みに大企業は負担すべきだと言っているわけで、ヨーロッパと同じ条件にしようというだけですから、それで国際競争力が弱まるとか、国際競争に負けるというのは理解できない話です。


 日本は資源のない国で原材料を買わなければいけない。そのためにはちゃんと輸出できなければいけない。だから国際競争に負けると言われると、それは大変なことのように思ってしまう人も多いのですが、じつは日本の国際競争力は強すぎるぐらい強いのです。もう20年近く、ずっと経常収支は世界一の黒字を計上しています。ヨーロッパ並みの公的負担にしたとしても日本企業には十二分にゆとりがあり、国際競争力にはほとんど影響がありません。


 また、法人税減税をしても国際競争力にプラスにはなりません。法人税を下げると大企業が研究開発や設備投資などができるようになるんだと言う人がいますが、今でもそれは十分できているのです。


         ▼企業の利益が増えても法人税負担は軽くなるばかり
          【国税庁「税務統計から見た法人企業の実態」】

くろすろーど-軽くなる法人税





くろすろーど-内部留保


 上のグラフのように、企業の法人税負担は軽くなるばかりです。そして、上の表のように、現行の法人税を払っても内部留保が莫大にあります。設備投資するところがないから、資金運用にまわっているわけで、法人税を減税しても内部留保が増えるだけで、国際競争力にプラスになるわけではありません。上の表を見ると、資本金10億円以上の大企業の内部留保は、世界経済危機の中でも、2008年度の241兆8,742億円から2009年度の257兆7,183億円へ15兆8,441億円(6.5%)も増やしているのです。2008年度から2009年度の1年間で積み上がった大企業の内部留保15兆8,441億円は、年収500万円の労働者316万人分の給与にあたります。大企業の内部留保のほんの一部を活用するだけで雇用を増やし、内需を拡大することができるのです。


           ▼この10年、企業だけが富を蓄積してきた
             【保有正味資産の推移(単位:兆円)】


くろすろーど-⑤


 上のグラフのように家計や国全体は資産を減少させているのに、企業だけは富を蓄積しているのですから、十分余裕がある大企業に減税してもなんの効果もありません。大企業の法人税は減税ではなくてむしろ増税すべきです。


 ◆企業の手元資金は過去最高の65兆円、国の予算超える


 『日本経済新聞』(2010年7月5日付夕刊)は、1面トップで、企業の手元資金が過去最高水準の65兆円に達したことを報道し、「企業部門の資金は、政府の一般歳出(2010年度予算は53兆円)に匹敵する規模。政府財政が悪化するなかで、日本経済の活性化の観点からも、企業の資金をどう国内向け投資に誘導するかが政策課題となりそうだ」と報道しています。

くろすろーど-りそな


 また、りそな総合研究所は、6月23日に「法人税率の引き下げは成長戦略と呼べるのか?~国際競争力が高まっても、国内雇用が増えるとは限らない~」と題した調査結果を発表し、「(法人税減税を)成長戦略として位置づけることには、少々違和感を感じざるを得ない。というのも、直近の景気拡張期(02~07年)では企業が過去最高の好決算を続けながらも、特に製造業では雇用環境の改善にはほとんどつながらなかったからである(上のグラフ参照)。この02~07年の企業行動は、法人税率引き下げのケーススタディとして参考になろう」、「法人税率引き下げは成長戦略とは呼びにくいと考えられるのである」と指摘しています。


(つづく)


(聞き手・編集=国公労連・行革対策部 井上伸)

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