福島原発事故-世界の常識は「すでに発がんの危険」「安全な被ばくなどあり得ない」 | すくらむ
2011-03-19 11:23:43

福島原発事故-世界の常識は「すでに発がんの危険」「安全な被ばくなどあり得ない」

テーマ:原発問題

 ※「連合通信・隔日版」(2011年3月19日付No.8439)からの転載です。昨日のエントリー「福島原発設計者の告白『大津波は想定せず設計』『私自身も原発を設計したので極悪人だ』」 のつづきです。(★「連合通信」の購読申し込みはこちらへ


〈緊急連載〉福島原発で何が起きているのか(下)

「安全な被ばくなどあり得ない」

元放射線医学総合研究所主任研究官 崎山比早子氏


 東京電力福島第一原発の事故現場では、原子炉爆発や使用済み核燃料による放射能の大量漏れを防ごうと、懸命な作業が続く。だが、周辺地域や首都圏ではすでに通常を大きく上回る放射能が検出されている。マスコミは「健康に影響はない」としきりに伝えるが、元放射線医学総合研究所主任研究官の崎山比早子氏は疑問を投げかけている。(※原稿中のミリシーベルトは1時間当たりの量を示します)


 ●すでに発がんの危険


 報道では「100ミリシーベルト以下ならば心配ない」としているが、それは白血球の急激な減少や脱毛などの急性障害が生じ始めるレベルを指す。


 実は1ミリシーベルトを浴びると、数年から10数年後に1万人中1人が「晩発障害」、つまりがんになることは明らかになっている。このリスクは2ミリならば2人、10ミリならば10人と、放射線量の上昇に正比例して高まる。これは、放射線の専門家による「国際放射線防護委員会(ICRP)」の見解で、世界では常識であることをぜひ知ってほしい。


 放射線が人体にどのような影響を与えるのかを説明したい。1ミリシーベルトを浴びると、細胞の核に1本の放射線が貫かれる。細胞の化学結合は、放射線のエネルギーよりもはるかに弱いので細胞は壊される。それを体が修復しようとした際にミスが生じて、がん細胞が発生するのだ。


 ●報道のあり方に疑問大


 今、福島第一原発の作業員が現場にとどまれる放射線量の上限は、100から250ミリシーベルトに引き上げられている。安全面というよりも事故拡大防止のための苦肉の策と考えるべきだ。現場の人たちは命を懸けている。そのことも理解せずに「安全だ」とテレビでしゃべる自称専門家がいる。


 さらに報道では、胸のX線検診などの放射線医療と比べて「人体に影響がない」とも伝えている。確かに、放射線医療の被ばくは問題も抱えているが、X線検診で浴びる時間は一瞬だ。時系列をごちゃ混ぜにして安全を強調するやり方はおかしい。


 ●放射線量の素早い周知を


 放射能のうち、放射性ヨウ素は甲状腺に蓄積されて、がんや機能障害を引き起こすことが知られている。防ぐにはヨウ素剤の服用を勧めるが、全面的な効用があるのは被ばくする24時間前で、時が過ぎるほどに落ちる。だから、政府や自治体、東京電力は今よりも素早く放射能の測定結果を住民に伝える必要がある。


 ただ、一般住民でヨウ素剤を持っている人はほとんどいないはず。海藻が効くという話も広がっているがほとんど意味はなく、ヨウ素剤もほかの放射性物質には効かない。被ばくを恐れて、多くの外国人が日本から出国しているが、私は正しい行動だと思う。


 ●「原発はもういらない」


 今回の事故で原発は安全ではないことがはっきりした。福島第一原発には1~6号機にそれぞれ69~96トンの核燃料が置かれており、この中にはさまざまな放射性物質を含む使用済み燃料も含まれている。万が一すべて放出されれば、日本どころか地球全体が危機に陥る。しかも、人類は使用済み燃料を最終的に処理する手段を持っていない。原発はもうなくさなければならない。


 ▼〈用語解説〉


 ▽シーベルト
 人体の被ばく程度を表す単位。放射線防護研究の権威だった物理学者の名から取っている。1シーベルトの1,000分の1はミリシーベルトで、さらに1,000分の1がマイクロシーベルト。放射線は自然に存在し、人体は日常から年間2.4ミリシーベルトを浴びているが、福島第一原発から漏れる放射能は自然量を上乗せたもの。放射線量を表す「グレイ」はシーベルトとほぼ同じ量だ。


 ▽放射線医学総合研究所
 独立行政法人で放医研が略称。放射線と人の健康に関する研究機関だ。放射線の影響や防護、緊急被ばく医療の研究で国内最先端の情報を持つ。本部は千葉市内にあり、2010年度の予算は約145億円。職員数は783人(10年4月現在)。



 大量の放射能漏れが起きたら…
 原子力資料情報室がシミュレーション
  250キロ圏も早期避難


 NPO法人の原子力資料情報室は3月15日、原子力発電所で大量の放射能漏れ事故が起きた際の影響を示す試算を出した。それによると、事故を起した原発の付近で1時間当たり1シーベルト(1,000ミリシーベルト)が検出されれば、250キロ圏も早期に全員が避難する必要がある。福島第一原発と東京は、直線距離で約200キロ離れている。


 試算では毎秒3メートルの風が一定方向で吹くと想定。50キロ圏では事故発生から数時間以内、100キロ圏でも6時間以内に250ミリシーベルトの放射線を全身に浴びる。18時間後には200キロ圏に達して100ミリシーベルトが全身に降りかかる。いずれの量も白血球の減少や脱毛などの急性障害が出るレベルだ。


 大量の放射能は、24時間以内には250キロ圏に届き、全身に30ミリシーベルトを浴びる。居続けると、甲状腺の被ばく量は1シーベルトになるという。


 ●「最善は離れること」


 政府は現在、放射能漏れを起こしている福島第一原発の周辺20キロ圏内を全員退避とし、20~30キロ圏内は屋内待機を指示している。


 今回の事故が試算の想定規模に達するかは不明だが、原子力資料情報室は「放射能の影響を避けるには原発からできるだけ遠くに離れることがベスト。避難の必要を的確に予測するには、現在の政府や東京電力の情報提供は不十分で、必要な情報を正確かつ速く提供すべき」と指摘している。

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