法人税減税は究極のバラマキ -大企業の国際競争力強化が経済・財政悪化と貧困化の悪循環生む | すくらむ
2010-06-29 07:03:31

法人税減税は究極のバラマキ -大企業の国際競争力強化が経済・財政悪化と貧困化の悪循環生む

テーマ:大企業・内部留保の社会的還元を

 『日経ヴェリタス』(2010年6月27日付、第120号、日本経済新聞社)の52面に、「法人税減税は究極のバラマキ」と題した記事が掲載されています。筆者は、中野剛志京都大学助教です。


 記事のリードには、「国際競争力強化のために法人税減税をすべきだという議論がある。しかし、デフレ不況下では効果が極めて乏しく、むしろ有害ですらある。法人部門の貯蓄を増やすだけで、経済全体の需要を縮小させるからだ。」と書かれています。


 この記事の中で、とりわけ“なるほどっ!”と思ったところを紹介します。(※カギカッコの中が、記事本文そのままの引用です)


 ① 「国際競争力への影響は、法人税に社会保険料を加味した『公的負担』でみるべきだ。」


 → ※企業の国際競争力の問題を考える出発点として、すくらむブログの過去エントリー「日本の大企業負担(法人税・社会保険料)は他国より軽い - 法人税減税でなく欧州並みの負担増を」 と同じ指摘がされています。


 ② 「公的負担は自動車、電機、情報サービスいずれの産業でも日本より独仏の方が重い。英米の自動車、電機産業の公的負担は日本より軽いが、国際競争力は弱い。米国の情報サービス業は競争力は強いが、その公的負担は日本より重い。(中略)つまり、日本企業の公的負担は欧米より重いとは言えず、公的負担の軽さと競争力とが一致しているとも言えない。」


 → ※この部分は“なるほどっ!”と思いました。“日本企業の公的負担は欧米より軽い”ということは、すくらむブログの過去エントリー「日本の大企業負担(法人税・社会保険料)は他国より軽い - 法人税減税でなく欧州並みの負担増を」 で指摘してきましたが、“国際競争力強化のために法人税減税で企業の公的負担を減らさないといけない”と言うけれど、現実には、日本より公的負担が軽い英米の企業が国際競争力が弱かったり、日本より公的負担が重い米国の企業が国際競争力が強かったりしているのです。公的負担を軽くしたからといって企業の国際競争力が強化されるわけではないのです。つまり、“国際競争力強化のために法人税減税をすべきだ”という主張は、現実の企業の存在によって、根本から間違っていることがすでに証明されているということなのです。


 この記事は文字だけでグラフや表は掲載されていないのですが、ここで指摘しているのは、すくらむブログの過去エントリー で紹介した財務省のホームページに掲載されている「平成22年度税制改正の大綱」の「参考資料 法人所得課税及び社会保険料の法人負担の国際比較に関する調査(平成18年3月)」のグラフのことです。以下に再掲しておきます。


すくらむ-企業負担


 ③ 「税務会計学の権威である富岡幸雄氏によれば、法人税は課税ベースの侵蝕化(徴税漏れ)が著しく、特に大企業の実際の負担率は法定税率よりはるかに低い。」


 → ※この部分も過去エントリー「日本の大企業負担(法人税・社会保険料)は他国より軽い - 法人税減税でなく欧州並みの負担増を」 で紹介した指摘と同じです。そのとき紹介している表を以下掲載しておきます。

すくらむ-実質法人税


 ④ 「02~06年の日本経済は輸出主導で景気が回復したが、雇用者報酬は上がらず、デフレを脱却できなかった。国際競争力を強化しても国民は豊かにならないのだ。(中略)そもそも日本の輸出は国内総生産(GDP)の2割にも満たない。輸出の拡大で経済全体を引っ張ろうとするより、8割以上を占める内需の拡大を重視した方が合理的だ。法人税減税はその内需を逆に縮小させる公算が大きい。なぜなら今の日本経済は、需要不足でマネーが投資に向かわない貯蓄超過(カネ余り)だからだ。しかもその過剰な貯蓄は、もっぱら法人部門にある。法人部門にカネはあっても投資先がないというのが、デフレ不況の問題の本質だ。需要のない中での法人税減税は、この法人部門の貯蓄をさらに増やすだけで国内投資を促進しない。むしろ、減税分だけ政府支出(公需)は減らざるを得ないから、経済全体の需要はより縮小する。(中略)政策効果のある使途に限定せず、予算を一律に配分する政策を『バラマキ』という。(中略)法人税減税こそ究極のバラマキだ。」


 → ※この部分の指摘の大筋は、すくらむブログで繰り返し紹介してきた以下のエントリーの指摘と同様です。“大企業の国際競争力を強化すれば国民は豊かになる”――これが、小泉構造改革、自公政権の新自由主義政策で、大企業の国際競争力強化→内需縮小・外需依存→国内生産縮小→経済(GDP)の縮小→税収の減少…という悪循環に陥って、国民は豊かになるどころか“大企業の国際競争力の強化で国民は貧困になった”のです。この悪循環の中に、さらに消費税増税・法人税減税を加えるとなると、国民の暮らしは壊滅的な打撃を受け、貧困化が幾何級数的に加速してしまいます。


 最後のセンテンスで、中野剛志京都大学助教は、この論考をこう結んでいます。


 「結局、『競争力強化による経済成長のための法人税減税』という政策論は、様々な角度から検証すると、ほとんど系統的に間違っていると言わざるを得ない。」


 ▼すくらむブログ関連過去エントリー


 ★『フィナンシャル・タイムズ』が内部留保の大幅削減こそ日本経済成長の最重要な要件と指摘


 ★富士通総研が内部留保急増で「日本の賃金は他の先進国の半分に」「最賃引上げが最大の成長戦略」と指摘


 ★経済危機打開のための緊急提言 - 内部留保を労働者と社会に還元し内需拡大を


 ★トヨタもキヤノンも内部留保を使うが雇用には使えない? -10年で2倍増の内部留保こそ“埋蔵金”


(byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)

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