ブログの更新が、滞ってしまい、申し訳ありません。

4/29(水)松下洋さんとの10時間のリサイタル、ライブが終演いたしました。
まだ2日しか経っていませんが、今ではすでに遠い昔のような、正に夢のような時間でした。

この感動を、一度に記してはなんだか勿体ない気がするので、何回かに分けて更新することをお許しください。
3日前のことを思い返しながら、こうして文章に起こす。
それは、楽しかった旅行のアルバムを見返す作業と似たような感覚で、とても幸福に満ちているものですから。







この発案は、観客入りのコンサートがいよいよ厳しくなってきた、3月のとある日のこと。洋さんから突然の連絡でした。
「黒岩くん、10時間のライブをやろう」


このコンサートの発表は4月1日。
エイプリルフールと思われた方も多いことでしょう。
詳細を発表していく過程で、多くの方に「本当にやるの?」「よく引き受けたね」と言われることも、少なくありませんでした。
それもそのはず、これだけのプログラムを1人のピアニストが準備する、それも短期間ということは、並大抵のことではありません。
ましてやそれを一度のステージで演奏するというのは、体力的にも不可能に近いことでしょう。


しかし、私は即答でした。
「是非やりましょう」


私に断る要素は一つもありません。
なぜなら、洋さんがやろうというから。一緒に演奏できるから。
最初の即答は、本当にそれだけの理由です。
そもそも、私の中に選択肢はそれしかありません。
これがもしどんな内容であったとしても、私はやったのだと思います。


三密を防ぐために、準備段階からどうしていこうか。
お客さんを巻き込んで楽しむ、楽しませるためにはどうしようか。
そもそもどうやってこの膨大な曲を準備しようか。

とにかく慎重に、ありとあらゆる意味や意義なども考えながら、時に悩み、相談しながら進めていきましたが、それは言ってしまえば後付けだったかもしれません。

できるのか?とよぎれば、
黒岩くんならできる、と思われているのだから、きっと自分にはできるのだろう。
そういう思考回路です。



室内楽、アンサンブル、共演。
私にとってはかけがえのない生き甲斐のようなものであり、それは自分を強くし、時に自分の価値観さえも変えてしまうだけのパワーがあると思っています。
何をやるか、どこでやるか、どういう風にやるか。
もちろんそれらはとても大事なことですが、1番は、誰とやるか。私にとっては、それに尽きるでしょう。
信頼する共演者、大好きな共演者とであれば、どこまででも付いていくことができます。

よく洋さんは、
「黒岩くんに乗っかればいい」
なんて冗談まじりに言いますが、もし仮に本当にそうだとすれば、それは洋さんが私にそうさせているということだけです。
私自身がピアニストとして成長していけているのは、何年も前から、良い共演者ありきであり、それは今も変わらずです。

洋さんはもちろんのこと、過去を思い返しても、私が新しい音や、色や、景色を見ることができた時には、必ず素晴らしい共演者が隣にいたような気がします。
そういった意味でも、私にとっては、アンサンブル以上に喜びを感じることや、自分を高められることはないでは?とすら思います。





と、話は脱線していまいましたが、そんな突然の発案で始まった大企画。
演奏会は3月以降全てが中止。
しばらくプログラムを考えることさえもできませんでしたから、相談する過程から、胸躍るひと時でした。

演奏曲目も、吟味に吟味を重ね…
10時間ともなると長時間に思われますが、我々のやりたい曲は多く、13時間→10時間に減らす作業に、実は難航して
たほどです。

というわけで、前代未聞、前人未到の挑戦が始まります。

続きはまた明日。









29日の演奏会の模様は、以下のURLでご視聴できます。








ちなみに、道のりはまだまだ長そうですが、こちらのチャンネルでも、登録者が1000人を超えましたら、大規模な生配信ライブを計画しています。
興味のある方は是非。