負けヒロインが多すぎる!

 

 

 

【評価】97点
ストーリー:★★★★★
キャラ:★★★★★
作画:★★★★★
おすすめ:★★★★★

判定:神アニメ

 

【欠点が無さすぎる驚愕の神作

今期最後発のアニメでまったく注目してなかった本作だけど、驚きの神アニメであった。

自分の中でラブコメ作品の…いや今で見てきた全アニメの中でトップクラスに好きな作品となる。

アニメ史に刻まれるべき傑作と言っても過言でないと思う。

 

ラブコメと言っても本作は普通のラブコメのセオリーを逸脱している。

作品タイトルの通り、物語は恋に敗れた3人の女の子たちがどう立ち直るかを描いており、主人公とヒロインのこれから始まる恋とかそういうのはない。

ちょっぴり残念なヒロインたちの痛快なコメディが最高に楽しく、可愛らしい見た目とのギャップに腹を抱えて笑えるシーンが多々あるのが特徴だ。

それでもラブコメの「ラブ」部分に真摯に向き合う一面もあり、各章の締めは毎度感動させられる上質なシナリオも持っている。

 

加えてもっとも特筆すべきは、主人公の温水(通称ぬっくん)の存在だ。

彼がまた超いい奴で好感の持てる人物であり、物語の狂言回しも担っている。

既存ラブコメ作品の問題点のひとつが「主人公をどういうキャラにするか」もとい「主人公をどうやってムカつかせないようにするか」であると自分は常々感じているのだが、そういう意味では温水はラブコメ主人公における最適解と言えるだろう。

ただし他のラブコメで彼と同じキャラ設定にするのは難しい。

なぜなら己を恋愛関係に加わらない傍観者に徹してるから。

主人公を恋愛に巻き込ませないラブコメなど本作以外であり得るはずがない。

 

我々がラブコメに求めているものは確かに「恋する乙女のいじらしさ」ではあるものの、決して「主人公とヒロインのイチャコラ」が見たいわけではない。

本作は、そんなラブコメにおけるディレンマの隙間を見事に突いた至極のキャラ設定だ。

とはいえ、ヒロインたちにとって温水は「現段階では」恋愛対象ではないけれど、ただの友達以上の感情は当然抱いてるはずなので、今後ラブストーリーが展開されていく可能性はある。

それはそれで良いと思うし、ラブコメである限り最終的にはそうならないと締まらない。

3人の失恋に決着がついた今後、温水と3人のヒロインがどういう関係を築いていくのか、今後が楽しみでならない。

 

3人のヒロインは全員魅力的だったが、特に本作を確固たる神作に仕立てたキャラは八奈見杏菜だ。

仕草や声、行動の全てが可愛くそして残念(!?)という最高のヒロイン。

画面に映る度に大抵何か食べているというのも面白インすぎる。

演じた声優さんは響所属の遠野ひかるさんだが、今までバンドもDJもやらず声の仕事一本でやってきてようやく芽が開いたか。

どちらかと言えば真面目なキャラを演じてきた印象が強く、ここにきて八奈見のような楽しいキャラで才能が開花するとはね~。おめでとうございます。

 

ストーリー◎、キャラクター◎ときたら作画も当然◎だ。

キャラや背景のクオリティは勿論、本作は影や光にも相当こだわりがあり、室内のシーンでも明るいところと暗いところでライティングパターンを複数変え、実写的表現を重視したと監督も語っている。

たしかに目に見えないはずの空気感すらどこか作画で表現していたような上質な映像美であった。

その他ひとつひとつの細かい描写を見ても他作品を圧倒するような手間をかけて制作したことが伝わってくるのではないか。

てか、この「北村翔太郎」さんという監督、今作がアニメ初監督なんだ。覚えておこうかな。

 

原作はラノベで自分はあまり詳しくないが、それなりに人気はあってもそこまで話題作ではなかったのかな。

これほどアニメ映えする原作に目を付けたアニプレは見事。

今すぐにでも続きを見たいところだが原作ストックはどのくらいあるのか?

また、このとてつもない作画や考え抜かれた演出を見る限り、相当長い期間をかけて企画・制作されたことが推察される。

なので確実に2期はあるだろうけど、しばらくは待つことになるだろう…

とにかく全方位全てに欠点がない最高の作品。

このままいけば、おそらく2024年度の最優秀アニメ作品の筆頭に挙げられることを確信出来る大作だったと思う。