推しの子

 

【評価】92点
ストーリー:★★★★
キャラ:★★★★★
作画:★★★★★
おすすめ:★★★★★

判定:神アニメ

 

【まぁ、この辺まではそりゃあ面白いわ

原作既読なんで評価に困るけど内容云々より、演出等アニメーションとしての出来に最高レベルを付けたく神アニメ判定する。

祝!動画工房完全復活ッ!である。

一時は優秀なアニメーターが大勢引き抜かれたとの噂が囁かれ、さらには「幼馴染が絶対負けないナンチャラ」とかいう超クソアニメをやったときは終わったと思ったものだが、本気の実力を以てすればまだまだ新進気鋭の会社に負けてないね、動画工房さん。

無論、集英社マネーの影響も大きかったろうけど期待を遥かに上回る文句の付けようがないアニメ化だったのではないか。

 

ちなみに『推しの子』という原作そのものについては「文句の付けようがない~」程には評価はしていない。

前にアプリで無料一気読みした際は、たしかに今回アニメでやった部分辺りまでは超面白かったが、この後少し経ってからは徐々に微妙になり、やや過大評価なのではと思い始めたところでのアニメ化発表。なんで、もし初回の出来が悪かったらアニメはスルーする予定でいたけれど、結果的には原作倍増しで面白い神アニメに。最後まで完走してしまった。

最終回と同時に続編制作も発表されたが、そうは言っても内容のピークはここまで。クオリティを維持したままの2期を作ろうともこれ以上は評価が上がらないと思う。

俺がレビュー書くのも今回だけで2期以降は書くつもりなし。見るけどね。

 

序章とも言える「アイ編(=プロローグ)」を初回90分拡大スペシャルで放送したのは英断。

そこから「有馬(ドラマ)編」「あかね(リアリティショー)編」「新生B小町(アイドル)編」と続くプロットは、1クールアニメとして完璧。

俺、アニメが初見だったら、多分もっと評価点上にしてたと思う(笑)

アニメ化において重要なのは、もちろん作画も大切だけど一番は演出かもしれない。

本作はお話をピークにもっていく際、どうすれば視聴者に一番分かりやすく伝わるか、どうすれば一番感情的に伝わるかが緻密に計算し尽くされている。

特にエンディングに入るときイントロを流しつつ、原作の名シーンをドーンとやって視聴者を「うおお!」ってさせるのが最高だった。←語彙力なくてスマンけど視た人は全員思ったはず。

ラストシーンのイントロ盛り上げ手法は、他アニメ作品においてもしばしば見受けられるけど、ほとんど全部の回で完璧にやり切ったアニメは本作が初じゃない?

毎回よく盛り上げ所を最後の最後に持っていけるよなぁと感心するばかり。

 

ヒロインも全員良き。

ドラマ編では重曹ちゃんこと有馬かなが最高に愛おしいし、かと思ったら恋愛リアリティショー編では黒川あかねというダークホースが登場してしまうし、それでも有馬は有馬で追い上げるし、MEMちょも可愛いし、たまらん。

そんな中で影が薄いのがダブル主人公の一角、ルビーということになるか…。

ダブル主人公の体をしてると言っても基本的に本作は実質アクアが単独主人公。

同じ転生者とはいえ、もともと人生経験が拙い病気の子供だったルビーは、転生の恩恵をあまり受けておらず物語の狂言回しをするには、やや力不足な役どころである。

彼女が真のヒロインになるのはまだまだ先のことで(ぶっちゃけ原作最新話なんだがw)その頃はストーリーが微妙になってはきているんだけど、このアニメ制作陣の手に掛かれば今の原作のグダグダ展開すら神作品に昇華させられるのではないかという期待感はある。

 

というわけで、構成、演出、音楽、キャスティング、さらにはマーケティングに至るまで、何ひとつ間違えずに総てやり切ったアニメ化だったように思う。

ただ、何度も言うかもだが今の原作がね…。

赤坂先生は前作『かぐや様は告らせたい』も同様であったが、物語が佳境に入る際のシリアスがシリアス過ぎるせいでキャラクターの魅力が無くなり、それまでのエンタメ性を台無しにしてしまう癖があるような気がする。

はたして今後のシナリオも今回同様の神アニメに仕上げることが出来るのか2期も見物である。

ま、先の話はさておいて、重要なのはここまでのアニメがパーフェクトの出来映えだったこと。

老若男女全方位にオススメ出来る完成度の高い作品で、年度はおろか令和初頭時代を代表する作品のひとつがここに誕生した。