fumingによるきらびやかなカラオケは、ジェットウォン作品にはなくてはならない要素である。トラック、ではなくあくまでカラオケ、と呼ばせていただく。
「いっさい狙わず、ただやるべきことをまじめにやりました。」とfuming。都会的でありながら色あせた風合いも併せ持つ、稀有なセンスである。
要所で聴くコーラスはすべて彼によるものだが、洗練されたハーモニーと躍動感がおじさんなのにとてもキュートだ。
4渡り鳥
誰だったかミュージシャンのインタビューで、作曲はだいたいバスルームで、鼻歌をうたってるとふと思いついたものさ。という一節があって、「なんじゃい。」と一蹴したが、この曲はそんな一曲だ。
鼻歌で作ったはずなのに、最終的に歌いちぎって散るジェットさん。季節が巡ったらまた戻っておいで。
さてここで一点、問題が発生している。ジャケット、歌詞カードと音源の曲順が異なっているのだ。
前作、港町神戸でも同じ間違いがあり、今回こそはそうゆうことのない様に念入りに確認したはずなのだが、こうなるともはや持病だ。
すべて私のせいです。すいませんでした。
さて音源にのっとって、
5.サボラミ
南米の名曲、sabor a miのカバー。
イメージはずばり、宝塚とYAZAWAである。
制作段階の音源を聴いて、ギタリスト富永寛之の「あのー安いラブホテルのBGMみたいな安いリバーブをウクレレにかけてみて。」というオーダーに何も言わず結果を出すfuming。
見谷聡一によるマラカスがカラオケにカリブ海の息吹きを吹き込む。いや、瀬戸内海かもしれない。
6.恋する冬の惑星
クリスマスソングである。
男女の設定をひとりで歌う、という「ルミナリエ神戸」と同じ手法。モノマネ王座の人みたい体を縦半分にセパレートしての男女歌い分けである。
ひとりでそんなことをやってて虚しくならないのか?と問われたら即座に「否」と答えるだろう。
こんなことをひたすら飽きずに盛り上がり(微熱で)続けることができるのがジェットの類い稀な才能のひとつだ。
先述の「きらびやかなカラオケ」と「洗練と躍動のハーモニー」の真骨頂がこの曲のカラオケで確認できる。
7.我が麗しき音楽
たしか4.5年前、神戸の音楽と酒のイベント、「我が麗しき音楽」のテーマソングを依頼されて作った一曲。
ブルームーンカルテットにオルガンの小林創が加わった編成で、子安のガンボスタジオで録音したものである。
ローラースケートを履いてカットオフGジャンを羽織りバンダナを巻いて、さあ!張り切ってどうぞ!
語りかけるタンボリン見谷聡一とfuming



