監督 : ジャック・ベッケル
  製作 : フランス

  作年 : 1960年
  出演 : ジャン・ケロディ / マーク・ミシェル / フィリップ・ルロワ

 

 

マンホールの蓋を開けると路上には寝ぼけ眼のパリの朝が浮かんでいます。手を伸ばすまでもありません、こうして胸一杯に吸い込む静かな空気にも自由が満ちています。あとはマンホールを抜け出して幻のようなその自由を掻き抱くところまで駆け出すだけです... いやそれはいまはお預けです。ここから先は今晩ゆっくり仲間と味わうことにして、さあマンホールの蓋を閉じて引き返すことにしましょう、そろそろ朝の点呼が始まる時刻です。地下水道を抜けて鉄階段を上がると地下室を繋ぐ石の通路、それから墓所のような冷たいがらんどうを横切ってあとは自分たちが開けた穴から部屋へ這い上がります。仲間を見渡すと一同を率いるロランは何か懸垂をするときのような謹直な漲りを漂わせながら穏やかな物腰そして眼差しですべてを掴み取ろうとする不思議な深みがひとを惹きつけます。一方マニュは不安と苛立ちを何とか掌のなかに押し込めているような危なっかしさがあってそれが強い忍耐ともなり抑えがたい怒りともなってロランとふたりして一同を引っ張る可燃性の見えざる火です。そしてややお調子者の口ぶりで仲間全体を大きく掻き回してはそれぞれが小さな自分の穴に籠りがちになるのをひとつの仲間へと練り上げているのがボスランであり屈強な体を部屋の大きさに縮こまらせているジョーは怠け者で(何か二枚目のときの、ヴィクター・マクラグレンのような)にやついた落ち着きを持っていて何をするにしてもまずは女の話からという剛の者です。とにかく気のいい男たちですが、まあ何をしたものやらそれぞれ裁判のなりゆきでは死刑も恐れる重罪のご面々。4m四方の未決囚房で顔を寄せては話すはロランが持ち出した脱獄計画です。しかし道具と言ってもひと欠の鏡に指の長さほどの金鋸一本あとは鉄製ベッドの腕木というんですから気の遠くなる話です。しかも就寝のあとも巡視は定時ごとにあり人数を確認され挙句に抜き打ちの踏み込みもあるとなってはまったく絶望的です。ただひとつ好機なのは隣の収容棟の改築工事が始まって日中もつんざくばかりの槌音が所内を響き渡っています。いまならば誰にも気がつかれずに床のセメントを叩き割って...  そんななか新入りの青年が入房してきます。聞けば不倫を知った妻から計画殺人で訴えられて身から出た錆とは言え自分の若さ(と不倫相手)を思えば彼も一日も早い自由に気が気ではない様子。思い切って彼を最後の仲間に引き入れるといよいよ白昼に脱獄の、最初の鉄槌が振り下ろされます。  

 

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