「冬の蔵王」と裏書きのある色紙です。おそらく父の知り合いの画家の方のでしょうか、裏書きに富田さんという名前が見えます。 

「冬の」とありますが、早春の香りもある蔵王連山のように感じます。
 正面の連山、左から三宝荒神山(1,703メートル)熊野岳(1,840メートル)、県境の刈田岳(1,758メートル)を表しているのでしょうか。その前山として、山形市から眺める龍山など、いくつかの山々を見ることができます。もう少しで雪解けが始まり、春の足音が聞こえてくるようです。

 前山の一つ、山形市の千歳山ではキブシの枝が雪を跳ね上げて、たくさんの花芽をつけた新しい枝が、「もうすぐ花を咲かせるぞ!」と叫んでいるようです。マンサクの枝も豆粒のような花芽をつけて負けずに叫びます。「もうすぐ春だ。」