コツコツとつづけてきた自分史を、ついに書き終えたときの達成感はひとしおです。大きく背伸びをして、原稿を見て、感慨にふける。
そのときは、すぐにでも製本して、書籍のカタチにしたくなるでしょう。「表紙をどうしようか」と考えはじめるかもしれません。
ところが翌日、自分史を読み返してみると、ここにもあそこにも修正箇所がある。また、文章もなんだかおかしいし、さらには「自分の歴史とは、これですべてなのだろうか」と不安になる。
「もっと書くべきことがあるのではないだろうか。なにか大切なことを忘れてはいないだろうか」
その不安を感じられる方が多いようです。
そこで、自分史を書き終えたら、時間を置いて、推敲(すいこう)することをおすすめします。
推敲とは、自分の書いた文章を読みなおして、間違っているところ、おかしなところ、違和感のあるところを修正していくことです。
こんな体験はないでしょうか。
深夜、快調に文章を書き進めて、「これはうまく書けているぞ」と思うのですが、翌朝読み返してみたら、恥ずかしくて読めたものではない文章になっている。
この感覚が、推敲に通じています。
つまり、書き上がった自分史から、距離をとってみるんですね。
たとえば、一週間であったり、一ヶ月であったり、長ければ半年であったり。時間を置いて、なるべく客観的な視点をもって、もう一度自分史を読み返してみる。
そうすることで、誤字脱字はもちろんですが、文章の流れであったり、表現のおかしなところが浮かび上がってきます。
また、時間を置いているあいだに、「ああ、あれも書こう。これも書こう」と思い出すことがあるかもしれません。
「やっぱり、あの部分はもっと詳しく書きたいな。あそこはもっとさらりと流すぐらいでいいかな」と思うこともあるかもしれません。
読みなおす推敲を面倒くさいと感じられる方もいらっしゃいますが、小説家も推敲をします。推敲をしない小説家はいません。
それほど、一冊の書籍をつくるうえで、推敲は必要なことなのです。
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