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「玄奘三蔵」高橋 康雄
 
小説仏教シリーズ18
「玄奘三蔵」
高橋 康雄
小説仏教シリーズ第2弾 8
ハードカバー
第三文明社
定価780円
269ページ
昭和50年6月30日 初版発行
 
2015年 平成27年 8月20日 読了
 
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【目次】
遙遠万里
正法希求
天資英明
赤馬出現
黒い嵐
高昌王の熱意
火の国
第五の虎
民衆
仏教の興亡
玉石混
戒日王
弥勒探究
仏陀成道の地
爛陀寺
究極を求めて
帰国の決意
最後の訳経
 
文献案内
 
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インドに発した仏教思潮はシルクロードを通って中国に伝えられ、日本にまで流れ着いた。このシリーズはインド・中国・日本で仏教流布に活躍した名僧・高僧等の苦悶と求道の生涯を人間のドラマとして描いたものである。
文明の破局的様相の現代に新たな人間の生き方を示すものといえよう。
(シリーズの特色)
 
唐代初期の陳留(河南省)に育ち、諸法の先徳をずねて仏教の深義を学び、苦難にめげずインド・西域に旅立った伝訳者の生涯を描く。
(出版社の案内文より)
 
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小説仏教シリーズ第18巻、「玄奘三蔵」。
 
「西遊記」のモデルとなった唐代の中国の訳経僧で、インドに旅をして仏教を学び、帰国後、空前絶後の語学力を発揮し、法の体系化への道を大きくすすめました。
 
本書は、膨大な資料を基にその生涯を追ったもので、説明的な記述が多く、伝記としてのおもしろさはあまり感じられません。
 
玄奘三蔵のセリフが少なく、心理描写もほとんどないので、法を求めて止まない心の葛藤など、まったく伝わってこないのが残念です。
 
文中にはへんなうんちくも多く、所々に入る、人を食ったような著者の意見も不快で、正直良いできとは感じない一冊でした。