映画 「阪急電車」 感想 | 何事も楽しく、過ごしたい。

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今頃? と言われそうだが、実際に見たのはDVD化されてからなので、
こんな時期に見たということである。

内容は、小説とほぼ同様で大きくストーリーを変えているわけでもないので、
その辺りは安心して見られた。
原作と全然違っていて、それがよくなっていたらいいのだが、
逆にひどくなっている脚本もあったりするので、
そこはいちばん安心だった。
ちなみに脚本は、「ちゅらさん」などの岡田惠和氏だった。こりゃ失礼。

主役は、中谷美紀。結婚式に白いドレスで「討ち入り」に行く翔子役。
一番印象的なのは、「討入り」を済ませた後、
電車の中で時江に話しかけられた時のシーン。
強ばった表情が徐々に崩れていき涙が頬をつたう。
この演技が、素晴らしい。
そして、ひとり仲間はずれにされた同じ翔子という名の女の子を
美人は損するけど、がんばりなさいと語りかけるシーンもいい。
中谷さんの女性らしさと男性っぽいサバサバしたところが
上手く役と合っていたと思う。

宮本信子さん演じる時江。
宮本さんだと優しいおばあさんになり過ぎるかも、
小説のイメージと違うかなと思っていたらそこはさすがに宮本信子。
翔子への優しさ、孫へのきびしさ、迷惑オバサン軍団への痛烈な説教と、
実に違和感なく幅広い演技をみせてくれた。

カレシがDV男で、別れを決意する女子大生美砂役は、戸田恵梨香。
最近いろいろな役をしているのでどうかとみたが、
耐える女的な面と強い女の面を持っている感じがして、シックリきていました。

美帆ちゃんと圭一の爽やかカップルは、谷村美月と勝地涼。
二人とも純な感じがすごく役にあっていた。
圭一がかなりパンクなのにびっくりだったが、
見てるうちに気にならなくなっていた。
谷村さん、田舎から出てきた女子大生の雰囲気がぴったり。
この2人は、そもそもおとぎ話の住人のようなキャラだけに、
アニメを使った演出などがあって、そこだけ異質な感じがするが、
これはもちろん確信犯でしょう。

女子高生のえっちゃんは、有村架純。
たしかドラマ「SPEC」に出演していたと思う。

今回は、普通の女子高生役。自然な演技でいい感じでした。

えっちゃんの年上のカレシは、玉山鉄二。
「絹」が読めないアホな社会人ってどうよ、と思っていたが、
実は温かくて懐の大きい感じがえっちゃんのカレシ役にピッタリでした。
ラブホまで行って女子高生がシャワー浴びて出てきたら、と考えると......、である。
そして、映画だけの設定が、時江の亡くなった犬にトラウマのあるご主人の若い頃が、
えっちゃんのカレシにそっくりということ。
そのカレシから犬好きだった家族が犬を飼えなかったのは申し訳ないということばを聞いて
時江が犬を飼い始めるという阪急電車らしいエピソードの追加になったのでは。

そして、時江の孫役の芦田愛菜ちゃん。原作にピッタリのイメージ。
DV彼氏に怒鳴られて驚き泣くシーンは、本当に自然。
おばちゃん軍団にこんこんと説教する時江にあんぐりと目を丸くする表情も見事。

翔子に引き出物を持って帰ってくださいとお願いするホテルマンが大杉漣の特別出演、
美砂の幼なじみでカツヤに引導を渡すマユミ役に相武紗季が友情出演も豪華。

翔子がドレスから着替えるために洋服を買ったスーパーの店員が、
りえむらちゃんこと関西テレビの村西利恵アナウンサーだった。

さて、原作との最大の違いがひとつ。
映画では、征志とユキが登場しないのだ。
こちらは、auのリスモ特別ドラマで別枠となっている。
配役は、永井大と白石美帆。

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二人ともすこし年上のイメージだったが、
観るとそうでもなく、白石さん演じるユキが結構かわいいのだ。
役になりきるってこういうことなのねと感心してしまった。
しかし、このふたりは関西弁ではなく、ふつうに標準語でした。
関西出身でないと、難しいからねえ。

迷惑オバサン軍団たちをやっつける場面、
原作では時江にふたりが援護射撃をするのだが、ふたりがいないため、
代役?で美帆と圭一が登場していた。
でも、美帆と圭一のキャラでは時江の援護射撃をできるはずもなく、
時江ひとりの説教となってしまった。
征志とユキのセリフが好きだったので、そのシーンがなくて残念。

ユキ:「人間は得ですよね。犬よりうるさくても犬みたいにケージに入れられなくて済むんですもの」
征志:「券売機でモラルは売ってへんからなあー」

映画でも特別出演で出てほしかったが、
いきなり映画に出てきても、唐突すぎて無理か。


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↑砂の「生」の字は、映画にも登場しました。


最後に見終わって、原作と同じくホッコリする映画でした。
キャッチコピーの「終着駅は、きっと笑顔。」に偽りはありません。