相棒ten 第5話 「消えた女」 感想 | 何事も楽しく、過ごしたい。

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(あらすじ)
数年前に起きた東京ビッグシティマラソン事件で知り合った守村やよい(本仮屋ユイカ)が、
右京(水谷豊)に相談があると言って突然特命係にやってきた。
やよいは現在、通信社でアシスタントをしているという。
相談というのは、仕事で待ち合わせをしていたホテルのラウンジで、
ひょんなことから一人の女性・山原京子(森口彩乃)と知り合い、彼女が忘れて帰った社員証を拾う。
ところが教えてもらった携帯電話はつながらず、社員証に書かれていた会社でも、
「そんな名前の女性はいない」と門前払いされてしまったという。
さらに、やよいに案内され、山原京子の自宅マンションを訪れた右京と尊(及川光博)は、
管理人から「そんな女性は住んでいない」といわれてしまう。
やよいは、京子がこのマンションでタクシーを降り、2階の角部屋だと言っていたのを覚えていたが、
その部屋には別の女性が住んでいた…。
「勤務先も嘘、住んでいるマンションも別人の部屋、携帯は通話不能…。
もし名前も偽名なら調べようが無いかもしれない。
一体、「山原京子」という女性は何者で、どこへ消えてしまったのか?

ゲスト:本仮屋ユイカ 脚本:戸田山雅司 監督:東伸児 (公式HPより)


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今回のゲストは、劇場版Ⅰの主要キャラの守村やよい(本仮屋ユイカ)。
映画の最後で、右京さんと亀山刑事に空港で見送られ、旅立っていったが、
どこへ行ったかわからなかったが、やはり亡くなった兄と同じところでNPOとして
働いていたようだ。そして、ジャーナリストを目指している。
というのがまずわかるドラマの冒頭。

ドラマの初めは、特命係の部屋でひとり待つ若い女性に色めき立つ、暇課長と尊。
そこに現れる右京さん。鬱回つづきからやっと相棒らしいコミカルなシーンだ。

しかし、今回もレギュラー回ではもったいない回だった。

もちろん話そのものはソツなくできててたし、ミクロな犯罪→マクロな組織の影→でも、真相はミクロな動機
という構造も『相棒』っぽくて安定感があったし、ゲストの本仮屋さんの好演も光っていたが……
ぶっちゃけ、通常枠で流すのがもったいない。
もう少し守村やよいとビッグシティマラソン事件の話をさせるなどのサービスシーンを入れたりすれば、
SP枠でも通用する話になったと思うのに、実にもったいないと感じたのは贅沢か。
逆に一時間枠にしたことで詰め込み過ぎの感があったのは残念。
第2話の渡哲也のゲスト回も通常枠で、もったいない感があったのに。


さて、今回の一番いいシーンが、

「この世界には自分たちに不都合な真実を握りつぶすために平気で手を汚す人たちがいるんだって……
それでも、諦めずにたち向かえば、たとえ、消えかけた真実でも絶対に明らかにすることができるんだって……
私はそれを杉下さんと亀山さんから教わったんです」
と心情を尊くんに明かすシーン。尊くん、これをどう聞いたのか。

『劇場版Ⅰ』を見ておくと心にズシリとくる台詞。
政治家からもマスコミからも世間からも兄の死を自業自得と斬り捨てられたことがあるからこそ、
そして、兄の無実を証明するために文字通り生命を賭けた父と兄の親友がいたからこそ、辿り着いた決意だろうか。
尤も今回はその真実を追究したがために一人の女性の被害者なき犯罪を暴くことになってしまった皮肉。
しかし、こういう経験をしてこそ、いいジャーナリストになるのでしょう。



尊 「特命係は私立探偵じゃ・・・」
右京「わかりました」
尊 「うん、そう言うと思った」(秀逸w)

いきなり現れて、曖昧な話にもかかわらず、「すぐに調べましょう」と動いてくれた右京さん。
その右京さんを見るやよいの表情がなんともいいです。本仮屋さんの演技が光ります。


尾行してホテルまで来たやよいに
右京 「いいですか、絶対にそこを動かないように」
    とかフリにしか聞こえない(芸人の押すなよ、絶対押すなよ的なね)
右京 「動かないようにって言ったのに、動いたんですね?」
やよい「動きました、すいません」なにこのカワイイ会話

尊くんは呆れてる。説得したのに信用してもらえてなかったのかって、ふつうは思うだろう。



芹沢 「いいんスか? やけにたっぷり情報教えちゃって?」
伊丹 「あんだけ教えてやれば、当然、動かざるを得ねぇだろう?」
三浦 「ヤバイ捜査は特命任せかよ。黒いなぁ」
伊丹 「『立ってる者は特命でも使え』だ」

特命係のみならず、自分たちにも『天下り』先からの圧力がかかったイタミンは、
手札を杉下に託して事件を解決させる一方、手柄は美味しく頂く作戦に。
黒いようですが、事件解決の手柄が捜査一課のモノになるのであれば、これは賢明な判断。
特にイタミンは先季あたりから特命係を都合効率よく動かす術を心得てきた模様。
イタミンもうまく特命係を動かすようになってきたような。


守村やよい「すみません! 前のタクシーを追って貰っていいですか?」

昭和の刑事ドラマ名物・都合よく現れるタクシー。
最初に見た時は『何時の時代の話だよ!』と突っ込みそうになったが、
これも彼女をおびき出す犯人グループの作戦の一環なのかも知れないと脳内補完。
ドラマの中では明言されていないが、そう思うことに。

中堅の人材派遣会社が、多く警察OBを受け入れていて、
その実、高級娼婦(いまどきこんな言い方するのかな)の派遣を、
政治家や官僚に斡旋していたとは、妙にリアル。
少し、最初に出てきたときから怪しさ全開だったが。


あらさがし的だが、空メールに実はその動画が隠されてた!
ってのはちょっとあんまりな後付すぎじゃないか。いや普通すぐに気付くだろうと。
せめてパスワードがかかってて読めないファイルがあって、
米沢氏が解析というほうにしたほうがよかったのに。



今回は、インパクトが大きく見えて、実は結構問題点もはっきりと見える。
外務省の車なんて本当にただのミスリードで、結果的に本筋に全く絡んでない。
まあ、売春の顧客だったのでしょう。
あと一番大きいと感じたのが、後味悪くしなかった所。
最初は「私のせいでこんなことに…」ってなったから、おいおいまたこの展開か、と不安になったが…。

落ち込むやよいのフォローにまわる特命係のふたり。
(今日は二人ともとってもやさしい、やよいの過去が過去だから?)
「なんか用?」って山原京子に言われ、やよいの完全おせっかいで終わるのかと思ったが、
最後の京子の「ごめんね…」はやよいも視聴者も救われた。
しかし、もう少ししっかりしないとやよいのキャラも陣川くんのようになってしまう。
まあ、女性のレギュラーがいない珍しいドラマなので、準レギュラーになってほしいが。


初回から先週まで、ずっと後味悪くてどんよりした気分になった話が続いていたので、
久しぶりに救いようのある終わり方で締めた今回、相棒らしいコミカルさもあり、
謎を解いていく面白さもあり、これぞ「相棒」である。