少し前ですが、作家の童門冬二さんがお亡くなりになったと発表されました。
歴史好きだった少年時代、童門さんの本をむさぼるように読み、心躍らせていたのがなんだか昨日のようにも思います。
『織田信長に学ぶ』『武田信玄の人間学』『名将に学ぶ人間学』 『戦国武将に学ぶリーダーの条件』といった偉大な武将の生涯から経営論やリーダシップ論を説く氏のスタイルが大好きでした。
脱サラ経営者だった父と、いっとき険悪な関係にあったとき、「歴史なんか学んでも、経営の役には立たない」といわれて、毎度むしゃくしゃしていたのも今となっては思い出です。
今では父とも仲良くワインを酌み交わす間柄ですが、そもそも歴史と経営なんて根っこは同じなんだということを理屈ぬきに諭してくださった童門さんの数々の作品には、感謝しかありません。
社労士になって末席で実務本を書かせていただくようになって、編集者さんから童門さんのお名前が出たときの喜び。「童門先生は~」という響きが、やはり別格の敬意に満ちていて、同じ世界観に浸れた瞬間が嬉しかったです。
作家としてのスタイルはちょっと違いましたが、堺屋太一さんと童門さんは、私の中では心から尊敬する大先生。歴史を学ぶことの意味、経営に生かす智慧を身をもって教えてくださいました。
いつの日か、歴史上の偉人からの学びを伝える本を書きたい。この夢は、あの頃から変わりません。実務家として、いずれの日にか実現できたなら、こんな幸せなことはありません。
昨年1月13日にお亡くなりになってから、没後一年で公表されたのは、ご本人の意思だったそうです。歴史ファンとしては、つねに偉大な武将の世界におられた「童門さんらしさ」だと感じずにはいられません。
また、書斎の奥のほうにあるたくさんの童門さんの本と久しぶりに向き合って、静かな夜を過ごしたいと思います。
つい先日、森永卓郎さんがお亡くなりになりました。
がんを公表されて闘病生活の中で、毎日のようにメディアで発信され、何冊もの著書を手がけられていたご活躍に、ひそかに毎晩のように注目していました。
やはり、人間が死と向き合いながら成し遂げるものごとには、とてつもない価値があるのだと思います。
まさに亡くなる前日までお声を届けられた姿に、言葉にできない勇気を与えていただきました。
人間の生きざまは、あくまで死生観であり、生死感ではないということの意味を、理屈ぬきにしっかりと教えられます。
命がけでメッセージを残して完全燃焼された森永さんに、主義主張やメッセージというものを超越して、心から畏敬を念を感じます。
私は私で、できることやるべきことを悔いなく取り組めるように、しっかり励んでいきたいと思います。
そして、名古屋大学名誉教授の三鬼清一郎先生がお亡くなりになりました。
先生は来年の大河ドラマのテーマでもある豊臣氏研究で、当代随一の第一人者でいらっしゃいました。
かつて院生の頃、先生が創設された織豊期研究会で可愛がっていただき、私の修士論文のテーマもまさに豊臣政権の権力機構の研究でした。
さまざまな勉強会にもオブザーバー参加を許されましたが、当時一緒に学ばせていただいた同世代の方々が何人も研究者として活躍されていることを思うと、あらためて先生の偉大さに敬服します。
私は趣味でたまに勉強する好事家にすぎませんが、学ばせていただいたことが間違いなく人生を豊かにしていると心から感謝しています。
思えばこの頃から本を書くのが夢でした。いつの日かご恩返しの意味で、歴史の本を書きたいと真剣に思います。
本当にありがとうございました。
心からご冥福をお祈り申し上げます。