今年も経団連労働法フォーラムに参加しました。
毎年この時期に開催されている、使用者側弁護士の組織である経営法曹会議の先生方による、基調報告と討議。
私も同会議の賛助会員にさせていただいていることもあって、ここ数年はずっと足を運んでいます。

経営法曹会議は、いわずと知れた日本最高峰の労働法の権威の集い。
当然ここでの議論は、全国の実務家や経営者が注目しています。
経団連会員のそうそうたる企業の人事労務担当者の方々が出席されていますが、一言一句逃すまいとメモをとったり、パソコンにやりとりを記録したりと、まさに熱気に包まれていました。

今年のテーマは、1日目=パート・有期労働法、2日目=労働者派遣法。
派遣法を専門とする私にとっては、当然2日目が大本命のテーマでした。







改正派遣法について、今日のブログでは2点触れたいと思います。


1 派遣法の同一労働同一賃金の土台は、あくまでパート・有期労働法である。

この点、私もセミナーなどでモチーフを示してきましたが、弁護士の先生方の議論を注目していて、さらに認識を深くできたと思います。

こと派遣法については、派遣先方式か? 労使協定方式か? といった選択のことばかりが話題になっています。

でも、日本の同一労働同一賃金の本質は、改正前からの労働契約法、パートタイム労働法であり、そこから導かれた裁判例です。

改正派遣法を取り巻く実務は、現実問題としては、この延長線上にしか存在しません。

すなわち、パート・有期労働法への正確な理解なくして、改正派遣法への対応はありえないということです。

この点、もっぱら派遣法の議論に終始して、その前提の土台を割愛しているケースも少なくないと思います。

派遣先方式、労使協定方式の選択の前に、そもそもの均衡待遇の法理の派遣法への当てはめが大事です。

均等待遇は、派遣労働ではよほどの例外でなければありえません。

この点も私はセミナーなどで触れてますが、なぜか真正面から議論されることがなかった点です。

ところが、今回労働法フォーラムではこの点についても確度の高い議論がありました。

さらに交通整理して、実務に落とし込んでいきたいと思います。

気になる方は、お気軽にご質問ください。

 




 

2 協定方式の違反への改善是正には一定のルールが置かれる予定。

この点はまだ正式に触れる段階ではないので、入口だけ。

いま協定方式を採用する派遣元が多いといわれていますが、法律上の要件がとても厳しいので、残念ながら違反する企業も少なくないだろうと予測されます。

この点の実務はものすごく複雑になるはずですが、いまのところ真正面から議論されてはいない段階です。

厚生労働省の内部でさまざまな詰めが行われていると思われますが、改善是正には一定のルールが置かれる見込みです。

労使協定違反→無効な労使協定→派遣契約も無効→強制的に派遣先方式→すぐに待遇情報等が得られない→派遣労働者は就業できなくなる?

このような流れになったら、日々まじめに働いている、まったく落ち度のない派遣労働者の人たちが保護されない、場合によっては職を失うことになるので、そうはさせないような最低限のフローを作る方向で詰められています。

派遣労働者が主役のはずの派遣法なのに、派遣労働者にしわ寄せがくる現実について、ほとんど実質的な目配せが行われてこなかったというのが、残念ながら現状だといえます。

この点についても、私の方では今後踏み込んだ実務の話をしていこうと思います。

いずれにしても、お盆明けから全国で来春に向けた動きが加速していきますが、いままでにない難しさをはらんでいる改正派遣法なので、ほとんどの派遣元ではそう簡単にはいかない可能性があります。

その意味では、秋からが来春への対応に向けての正念場。微力ですが私もその準備も兼ねていま東に西に駆け回っています。少しでもみなさんのお力になれたらと思います。