企業にパワハラ防止を義務付けたパワハラ防止法が成立しました。

 

6月29日の参院本会議で可決され、翌日の新聞紙上を賑わせたので、目にした人も多いでしょう。

大企業には来春から施行される予定ですが、労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法、女性活躍推進法などが束ね法案となっていたため、やや分かりにくいと思います。

内容としては、「女性活躍の推進」と「ハラスメント対策の強化」の2つの柱に分かれます。
 


 

1 女性活躍の推進


・一般事業主行動計画の策定対象を常用労働者301 人以上から 101 人以上に拡大

 

・情報公表義務の対象を101 人以上に拡大(勧告に従わなかった場合は企業名公表)

・プラチナえるぼし(仮称)の創設

 

 

 

2 ハラスメント対策の強化

・パワーハラスメント防止対策の法制化

 

・パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置義務(相談体制の整備等)を新設

 

・セクシュアルハラスメント等の防止対策の強化

 

 

 

 

 

 

 

 

実務的には一般事業主行動計画なども大切ですが、この法律の一番の目玉は何といってもパワハラ防止対策の法制化です。

罰則の適用は見送られたため、今の段階では理念法の色彩が強いですが、新しい時代へと一歩を踏み出したことは間違いありません。
 


労働施策推進法30条の2では、「パワハラ」は次のように定義されています。

 

「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」

 

 

このような定義が明確にされたことの意味は大きく、これからは間違いなくパワハラ対策が今まで以上に各企業で必須の義務となっていくでしょう。

厳しい愛情とか、教育的指導といった“昭和の感覚”は完全に通用しない時代になりますビックリマーク




 

働き方改革関連法、パワハラ防止法と労働法の大きな改正が続きますが、これは日本における“働き方”のみならず“生き方”(ライフスタイル)が、急速に転換する時代に直面していることを意味します。


 

働き方改革とは?

①労働時間の上限規制の強化(早く帰宅させる)

②有給休暇の取得義務化(休みを与える)


③同一労働同一賃金(非正規の待遇改善)

 

→なるべく働く時間を減らして、正社員並みの待遇を

 

 

セクハラ・パワハラ防止とは?

・女性も男性も対等に働きやすい職場を

・職場の権力の濫用から働く人を守る

 

→男性中心、正社員中心からの脱却?

 

 

 

 

ごくごくラフな議論ですが、このような構図であることは間違いありません。

私たちは社労士だから分かりますが、法律が変わるとまずその法律の規制ばかりが気になります。

大きな法律だと特にそうですが、新しいルールを学び対応することだけで手いっぱいになってしまいます。

これは現場もそうですが、けっこう社労士も同じです。


でも、働き方改革とかパワハラ防止法は国の全体の政策の中で行われているものなので、個々の法律(条文)だけを見ていてもとらえられない部分があります。

ひとことでいえば、社会の構造が変わろうとしているということです。

 

これは何十年か先から振り返ってみると、劇的な変化なのだと思います。

 

 

 


長くなるので中世以前は書きませんが、

江戸時代・・・武士の世の中
 ↓

明治~戦前・・・官僚と軍人の世の中

 ↓

戦後~平成・・・サラリーマンの世の中

 ↓

平成後期~令和・・・?


めちゃくちゃ乱暴な議論ですが、良くも悪くも全体としてとらえれば、ある種の“男性社会”だったということです。

そして、これからの日本の見取り図を考えるならば、もうその社会は詰まるところまで来ています。

単純にフェミニズムといった視点を超えて、この流れは見える人には見えている、分かる人は分かっていると思います。

でも、なぜか、働き方改革と紐付けて考える人はほとんど少ない。

社労士でも、です。



 


なぜか労働法というと、制度とか罰則とか助成金とか(笑)ばかりに目がいくのですね。

でも、上のような社会変動、大きな仕組みの変化だととらえると、個々の制度のつながりや意図がとても自然に入ってきます。

これから本格化する令和以降の新しい時代に向けて。

 

変化自体は平成の中頃から出てきていますが、一つひとつが具体化していく時代をしっかり見守っていきたいものです。。