すっかり秋本番ですが、「働き方改革」の話題づくめだと感じる今日この頃です。

来年4月から、有給休暇の付与義務、新様式の36協定がスタートし、大企業では時間外労働の上限規制も施行されます。

これらは業種や企業規模を問わず、労務管理ひいては経営に直結するため、経営者や実務担当者の方々の関心はとても高いです。

先日は地元で「働き方改革セミナー」の第一弾を開催しましたが、終了後もとても深い実務のご質問をたくさんいただきました。

これから地元三重はもちろん、名古屋、大阪、東京でも(主催者は異なりますが)同様のセミナーに登壇する予定です。

ちょっとした登壇ラッシュとなりますが、気持ちを引き締めて頑張りたいと思います。




ところで、「働き方改革」といえば、労基法や安衛法の改正とあいまって、もうひとつの柱は「同一労働同一賃金」です。

こちらは大企業も施行が1年遅れて2020年、中小企業はさらに1年後の2021年となるため、正直なところ「少し先か」という印象をもっている人が多いように思います。

1年、2年はあっという間だと思うのですが、それはさておき、派遣法の専門家である私としては、ここで「大きな間違い」を指摘せざるにはおれません。

そう、「同一労働同一賃金」(厳密にいえばこの表現は違うのですが、便宜上日常的にはこう表現しています)のうち、派遣法については、大企業、中小企業の区別なく、一律、「2020年4月」から施行されるのです。

このことをご存じない、もしくはお忘れの方がとても多いです。

もとより、派遣会社や派遣労働者を受け入れている企業で、このような勘違いがあったら実務的にもとても困ると思います。

最近は、私もいろいろなところで、このことをしっかりお伝えしています。




ところが・・・

「同一労働同一賃金」のうち、パートタイマーよりも、契約社員よりも、(中小企業では)先にスタートすることが決まっているはずの派遣労働者については、法律は通ったもののまだ細かなルール(省令やガイドライン)が、ほとんど決まっていないのです。

そもそも、なぜ派遣労働者の同一同一だけ、大企業、中小企業の区別なくスタートするのかといえば、派遣元に雇用されながら、派遣先で働くという就業の特殊性ゆえ。

派遣元が大企業だけど派遣先は中小企業のこともあれば、派遣元が中小企業で派遣先が大企業ということも多い。したがって、何をもって同一同一とするのかということが、設定しにくいのですね。。。

ということで、労働政策審議会の「同一労働同一賃金部会」で、先月からようやく議論が本格化しています。

10月2日に開催された部会では、核心部分である派遣労働者の「賃金」についての参考資料が、厚生労働省から示されました。


 





 

 

派遣労働者の「同一労働同一賃金」は、雇用されている派遣元と比べるのか? 就業している派遣先と比べるのか?

これは本当に難しいテーマです。

今回の改正派遣法は、「原則としては派遣先と比べるけれども、例外を認める」となっています。

原則ですから、何もしなければ派遣先と比較することになります。

では、例外の場合はどうなのか? 派遣先でないのなら、「派遣元」と比べるのか?

誤解されている人がとても多いのですが、例外の場合は派遣元と比べるのではなく、「一般労働者の平均的な賃金」と比べます。

そう、「一般労働者の平均的な賃金」とは、派遣先でも、派遣元でもなく、世間一般のいわゆる正社員の平均的な賃金のことです。

これが、ズバリいくらかは、だれにも分かりません。

そこで、厚生労働省が認めて省令で決める金額となるわけですが、それを実質的に決めるのが審議会ということで、今まさに熱い議論がされているわけです。




ちなみに、派遣先と比べる原則を「派遣先との均等・均衡方式」、一般の労働者と比べる例外のことを「労使協定方式」と呼んだりしますが、この2つは「選択制」だとされています。

が、実際には後者を選ぶケースが圧倒的に多いだろうといわれています。

それもそのはず。「派遣先との均等・均衡方式」では、派遣先が自社の賃金の情報などを派遣元に教えることが前提とされるからです。

普通に考えたら、派遣元が取引先である派遣先に「御社の賃金情報を教えて」とはいいにくいし、派遣先が業者さんである派遣元に伝えるのはちょっと・・・というケースが多いと思われますね。

しかも、「労使協定方式」を選ぶと、改正派遣法で決まっているかなり事細かなルールをすべて守らなければなりません。

その内容についても、いま審議会で詰めの議論がされているわけです。




いま方向性として議論されているのは、協定方式の場合に派遣労働者に支給すべき、「一般労働者の平均的な賃金」とは、賃金構造基本統計調査とか職業安定業務統計といった国の実施している統計資料から導かれるということ。

こうした統計数値に職種や勤続年数、地域といった実態を反映させて、「平均な賃金」を決めるという流れです。

ここで決められた賃金水準を、協定方式を選ぶかぎりは、必ず満たさなければならない。

その意味では、実質的に、「派遣労働者版の“最低賃金”」といった意味合いに近くなります。

しかも、ここには、賞与とか退職金の数値も反映される方向で議論されているため、(具体的にどうなるかはまだ不明ですが)この賃金水準はある程度のレベルになることが予想されます。

審議会での議論次第とはいえ、大まかな方向性自体は大きく変わることは考えられないため、今からこうした流れをつかんで実務対応を考えておく必要がありますね。

最近、かなりお問い合わせをいただいていますが、11月23日のセミナーでは、こうした部分の最新情報もお伝えできると思います。

ともあれ、部会の動向に注目ですね。またブログでも触れていきたいと思いますニコ