NHK総合で1月にやっていた「女子的生活」。普段ほとんどテレビドラマをみることはないのですが、短期の4回シリーズものということもあり、あっという間に見終えてしまいました。1月5日スタートということで、お正月休みのリズムでチャンネルを合わせたら、意外と面白くて、その後は出張などでみれなかったけど、気になってNHKオンデマンドで。。

ネット上などでもかなり話題になりましたが、主人公は男性でありながら女性になりたいという願望があって、都会でひとり女性になりきって生活するヒロイン。それだけならそれほど新鮮味のないドラマのパターンですが、ファッション会社に勤めるOLとして女性社会でお茶目にもまれる姿や、高校時代の同級生と掛け合うストーリーなどが、あまりにリアルで今の時代の魅力と矛盾を描き切っていて、ぐいぐいと自然に引き込まれていくようなストーリー展開でした。

 


 

 

 

志尊淳ふんする主人公みきは、ほぼ完全に女性になりきっていて、「見た目ではわからない」「きれいすぎ」と話題に。男性が女性の姿になるというと、ひと昔前であれば誤解とか偏見に包まれる前に、そんなことは個人の自由だから気にしないにしても、絵的に美しくないことが多かったのですが、主人公みきは姿も所作もかなり無理なく美しい女性的。そもそも志尊の顔のつくりがきれいとか、メイク技術の進歩といったこともあるけど、やっぱり今の時代性ということがあるのだと感じます。

トランスジェンダーであるみきは美しい女性になりたいけど、恋愛対象はあくまで女性であって、きれいな女の子と女の子同士として付き合いたいと願っている。だからこそ美しくなりたいし、もっともっときれいになって、絵的にも融合できるような姿を一生懸命追いかけている。毒気や嫌味たっぷりの言動の中にも、女性的な優しさや思いやりに包まれた世界観に、最初は違和感を感じつつも徐々に自然に、のめり込んでいくのがこのキャラクターの魅力ですね。

場面ごとにリズムよく展開されるハッシュタグ#の嵐も、今の若者の視点や心情をとても的確に表現されています。インスタグラムやツイッターで、たった1枚の写真やわずかな文字数の文章とともに、無造作に貼られるだけのハッシュタグ。でもそれは一見味気ないようで、とても深いメッセージ性や心でつながる意味を持っていることを、このドラマでは自然に描いていました。本当にディテール面が充実していたドラマ。

気になったので、坂本司氏の原作も読んでみました。ドラマとは違ったストーリーも入っているし、もちろんドラマ化される過程で微妙な流れは変わっているけど、心にグッとくるような「ここ一番」のセリフは驚くほど原作どうり。NHKの制作統括が、書店での1冊の本との出会いに感動し、「たくさんの人々に届けたい」と考えたのがこのドラマの原点だったと語っているように、本当に読みやすく心をとらえる小説だと思います。

 

 

 

 

原作の中の、気になる一節はこちら。

 

「ゲームで言うなら、女子の人生はイベントが多くて敵も多くて、でも味方も多い。選択肢も多くて(服だってスカートとパンツを両方選べるしね)、道もたっくさん枝分かれしてて、なんか色々多彩。

 

それに対して、男子の人生はイベント少なめ。敵と味方の多さは同じかもしれないけど、選択肢が多そうで案外少ない。道は単純で歩きやすいけど、それってゲーム的にはどうなの?っていう状態。

 

でも、だからこそ、そんなゲームさえ楽しめる男子は貴重ってことで」。

 

とても深い洞察ですね。社会学や心理学の本を読んでいるより、ある意味本質をえぐっているように思います。
 

 

 

 

 


私たち社労士も仕事上、LGBTについて理解したり勉強したりすることがあります。最初はこのドラマも、そういう切り口でとらえていると思っていました。でも、全編みて原作も読んで、このドラマはもっと深いメッセージを秘めていると感じました。

 

まもなく義務教育でプログラミングの学科が義務化されます。これはAI時代に対応するためのスキルを、先駆けて習得していくためのものです。おそらく10年後、15年後には、間違いなく小学生の女の子が、AIを駆使して腕力に勝る者からのハラスメントから自らの身を守るのはもちろん、従来は身体的体力的に無理があった腕力を使う作業をAIを用いて行うことができるようになります。

そして、私たち社労士もおおいに関わる「働き方改革」。おそらく今年が実質元年となると思いますが、それなりの時間がかかる流れとはいえ、10年後、15年後には確実に「働き方」をめぐる男性と女性との間の格差がなくなっていくと思います。そのことが良いとか悪いということでなく、現実の姿として世の中がドラスティックに変わる。つまりは、「男性だから・・・」「女性だから・・・」という時代ではなくなるのです。

そんな観点からこのドラマをみると、なんか15年先の私たちからのメッセージだと思えてなりません。価値観や評価は人それぞれとしても、間違いなく女性がどんどん変貌していく時代。ひとり男性はこのままでいいのだろうか?なにも女子化したり女子的になることはないにせよ、自然となんらかの変化や順応が必要ではないのか?そんな問題提起が奥底に見え隠れしていると感じたのは、私だけでしょうか?

 

いずれにしても、今の時代、そしてこれからの時代を読み解くヒント満載かもしれませんね。