もともと、30数年間、英国びいきだった私がイギリスに失望したのは数年前のことだが、なぜか風呂というかシャワーに関わっている。
成蹊大学で、指定されたテクストから選び、仕方なく面白くもない本を使ったのだが、大学生活のことが書いてある。
そこに、シャワーは電気、水道代がかかる、とくに、power shower はバスタブに湯を張るよりかかる、としみったれた事が書いてある。
パワーシャワーとは何なのか。日本のシャワーはきっとすべてパワーシャワーだろう。
英国の大学寮に4週間だけ住んだことがあるが、シャワーなんて言えるものではなく、ぬるい湯がポタポタと垂れてくるだけでまったく、湯の勢いはなかった。
それはともかく、イギリスのすべてが貧乏くさいことこの上ないのである。
その後、数年前、日本から高校生が修学旅行か何かで、英国の大学へ滞在して帰国したあと、水道代だか電気代だかを、追加で支払え、と言ってきたというニュースがあった。
日本人は風呂に入りすぎる、などと言ってきたらしい。英国もここまで落ちぶれたのか、と長嘆息し、在外研究で英国へ行く気は一気に失せた。
もはや、ヨーロッパはこの状態と五十歩百歩だと思う。アジアの時代である。欧州はもう遺産、観光で食っていくしかない。
イタリアの遺産は世界一で素晴らしいが、イギリスにあんな遺産はない。
ケンブリッジの大学博物館も、すでに30年前、二階は午後、一階は午前などと分けて公開していた。スタッフの人件費が足りないからである。悲惨なものだ。