お金の持つエントロピーは、お金がする仕事量を絶対的金銭価値で割った値としてあらわされることを、私は、定義した。式で表せば、次のようになる。

        ⊿Seco=⊿Wm / G [ J / G ]

 と表すことができる。

 ここで、お金のする仕事Wmとは、お金が増えることであろう。

 その仕事は、増殖の運動エネルギーで計算が可能である。

 つまり、Wm =1 / 2mv2 として計算できる。

 ここで、1年間で、お金が2倍に増える場合のお金のする仕事を求めると、次のようになる。

 Wm = 1/2mv2  

 = 1/2×2[kg] ・2・2/ 1[m2/年2]

 = 4[J・Y2](Y=1/31,536,000)

 ここで、Yは、年を秒に換算する係数と考えてほしい。

 そして、この場合について、ゼロ0時間から、1年間までのお金のする仕事量の変化を考えて、経済力学的エントロピーの定義式に代入すると次のようになる。

  ⊿Seco=(4- 0 )/G =4 / G [J・Y2/G]

    ∴⊿Seco =4 / G [J・Y2/G]

 ※ここで、ゼロ(0)時間の場合の仕事量は次のように求めた。

 時間がゼロ0の場合については、仕事量もゼロ0とした。何故なら、金利をお金の増える速度とするならば金利は定まっているためゼロ0ではない。しかし、お金を預けて増やす場合については、お金を預けるまでは金利は適用されない。つまり、お金を預けた時間がゼロ0の状態では、金利については適用されない。つまり、この時のお金の増える速度も、ゼロであると考えられるため、この時のお金の仕事量についても、ゼロ0であると理解できると思う。

 何故、このような説明が必要かと言えば、時間がゼロの場合、ゼロ0除算となるため、計算結果としては、実際には得られないためである。この場合については、理論上における計算結果についての説明が必要になる。

 この値が、お金のする仕事についての、経済力学的エントロピーの値ということになる。

 経済力学的エントロピーの定義式に、お金が一年間で二倍に増える場合の、お金のする仕事量の変化を代入して求めた値は次のようになった。

          ⊿Seco=4/ G [J・Y2/G]

 この値が、一年間で、お金が2倍に増える仕事における、経済力学的エントロピーの値となる。

 この計算結果が意味するものはいったい何なのだろうか?

 それを考えるためには、例えば、一年間で3倍、4倍と増える場合についても考えてみなければ、この問いの答えはわからないと思う。そこで、3倍、4倍の場合についても計算をしてみたい。

◎一年間で3倍に増える場合について

⊿Seco=⊿Wm/G=1/2(3×3・3/1・1)/G-0/G

     =13.5/G [J・Y2/G]

◎一年間で4倍に増える場合について

⊿Seco=⊿Wm/G=1/2(4×4・4/1・1)/G-0/G

     =32/G [J・Y2/G]

 これらの計算結果からわかることは、金利によって、お金の増える速度は変わるということ、そして、そのお金のする仕事量は、金利によって指数倍数的に増えるということであろう。

 この結果が意味するものについて考える前に、ここで、経済力学的エントロピーがマイナスの値をとる場合について考えてみたいと思う。

 つまり、-⊿Secoの値をとる場合について、考えを巡らせてみたい。

 熱力学では、マイナスのエントロピーをとる場合について約束事がある。

それは、系から系の外部への熱量の放出があった時、または、系の外部から系の内部へのエネルギーの流入があった場合について、マイナスで表すという決まりである。

 そこで、マクロ経済を考えた場合の、経済力学的エントロピーについても、ひとつの経済地域を系と考える場合については、その経済地域にお金のエネルギー損失があった場合、つまり、その経済地域の内部要因による金利の低下や、その経済地域に出回るお金自体が自然に減少した場合、または、その経済地域へのエネルギー流入があった場合、つまり、外的要因による金利の上昇や、その経済地域に出回るお金自体を人工的に増やした場合については、経済力学的エントロピーをマイナスで表すという、決まりを作ることにする。

 このように、経済力学的エントロピーを定義することにする。

 ここで、経済力学的エントロピーが何を表わしているのかということに言及すれば、お金の流れ、つまり、経済に関する、自然の摂理を表していると言い換えることができる。

 それは、なぜならば、熱力学的エントロピーが現わしているのは、自然の摂理であるからである。それは、エントロピーが自然現象を表しているのであるから、そう言えるのである。そのため、経済力学的エントロピーにおいても、経済に関する自然現象を表していることから、経済の摂理について表しているのだと考えることができるのである。

ここでは、経済力学的エントロピーが何を表すのかについて、まず、言及したい。

 経済力学的エントロピーは、私自身が考案したエントロピーであるが、通常のエントロピー理論が適用できるように、私は考案した。

 つまり、マイナスの熱力学的エントロピーの理論がそのまま適用できるのである。

 なぜ、そのようなことが可能になるかと言えば、熱力学も経済力学も、同じ流れるエネルギーについてを扱った学問であるからである。

 つまり、熱力学においては、熱のエネルギーの流れを扱い、経済力学においては、お金の持つエネルギーの流れ、つまり、経済のエネルギーの流れについてを扱った学問であるから、それが可能になるのだ。

 例えば、経済力学的エントロピーがマイナスの値をとる場合については、熱力学においては、マイナスのエントロピーが表しているのは、化学的反応においては、ありえない反応、つまり、矛盾を表しており、物理的反応においては、吸引力を生み出し、そして、それと同時に、熱エネルギーを系の外部に放出、つまり、系においては、熱エネルギーを失うことを表しているため、この熱力学のエントロピーの理論を、経済学的に当てはめればよいことになる。

 この場合、自然に起こる反応は物理的反応であり、人為的な反応は化学的反応と言えるであろう。何故ならば、化学的な反応が起こるためには、活性化エネルギーが関与するため、エネルギーの供給を必要とするためである。

 つまり、経済学的に、このようなエントロピー理論を当てはめて、経済力学的エントロピーは考えることができるのである。

 例えば、デフレという経済的反応が、通常の経済活動において、つまり、自然に起きた場合については、この反応は実際に起きている反応であるから、物理的反応におけるエントロピー理論が適用できることになり、エントロピーの値がマイナスになるのであれば、その状態に対する吸引力が働き、それと同時に、金利の低下が起きうることを示しているという具合に表すことが可能なのである。

 つまり、経済力学的エントロピーも、熱力学的エントロピーと同様な考え方ができるというわけである。

 もう一方で、デフレ経済に、マイナス金利と異次元緩和という経済的矛盾を持ち込んで、デフレが解消するのか?ということについて言及すれば、マイナスのエントロピーを考えた場合、矛盾を表すのは化学的反応の場合であるから、デフレ経済に、矛盾を人為的に持ち込んだ場合、マイナスのエントロピーが表すものは、実際には、起き得ないことを無理やり起こそうとしても起きるはずがないこと、つまり、矛盾を表すため、デフレ経済自体が、経済の悪化を表しているとすれば、悪化した状態に、さらに故障させる原因を持ち込むことになるため、つまり、デフレ経済へのマイナス金利と異次元緩和の導入は、更にデフレ経済を悪化させる要因になりうるということが理解できるのである。

 そして、日銀が現在行い続けているマイナス金利と異次元緩和の経済的な効果について説明すると、マイナス金利という状態は、経済の流れからすると、矛盾した状態であり、異次元緩和というのは、マイナスの経済力学的エントロピーで表される行為になる。

 そのため、マイナス金利も、異次元緩和も、両者ともに、マイナスのエントロピーで表されることになる。

 しかし、同時並行して行っていても、この経済的効果は、決して掛け算にはならない。この場合は、足し算になるのである。つまり、マイナス+マイナス=マイナスとなり、結果として、マイナスのエントロピー現象として現れることになる。

 つまり、この場合のマイナスの経済力学的エントロピー現象の効果は、現在起きている、デフレに関して、それを引き付ける吸引力が生まれており、それと同時に金利の低下も招くことになる上に、経済システムの故障を引き起こした状態であるということになるわけである。

 なぜ、経済システムの故障と言えるかといえば、機械的、または、システム的な見地からは、矛盾した状態というのは、機械やシステムが動かない状態、つまり、故障した状態を表すためである。

 この、エントロピー理論から得られた結果からも、マイナス金利と異次元緩和を同時に行い続けていたとしても、全くデフレ状態からの回復は見込めないことになる。

 つまり、現在の日銀が行い続けているマイナス金利政策と異次元緩和策という金融政策は、デフレから脱却するためには全く機能しておらず、デフレを引き付ける要因になっているために、全くその逆で、デフレを長引かせる要因にもなっているということが理解できるのである。

 そして、マイナスのエントロピーは、経済的反応においても、電磁気学的にも、コンピューターシステム上においても、故障した状態を表す。つまり、その故障した状態を直すまで、現在、日銀が望んでいる、2%のインフレ目標としている経済的効果は、決して得られることはない。という結果になると言えるのだ。

 そして、現在、日銀が行い続けている、マイナス金利と異次元緩和という政策は、日本経済の流れを堰き止め、経済、つまり、お金の流れを完全に停滞させ、その上、日本の実態経済自体の故障の原因にもなっているということが、皆さんにも、きちんと理解できることと思う。

 また、日銀は、現在、禁じ手を使って、異次元緩和と称して、莫大な金額のお金を、株式に注ぎ込んでおり、その結果、富の集中化が起こり、経済的格差を助長する結果を招いているが、この結果が、日本の実態経済にもたらす効果は、日本の実態経済に関して、さらにひどい故障状態を引き起こす原因になるものと判断できる。

 このような富の集中化が起こった場合、日本の実態経済自体が、経ち行かなくなる恐れさえある行為を、日銀は、平然と行なっていることになるのだ!

 今すぐに、日銀の間違った金融政策を辞めさせない限り、日本経済は非常に莫大なダメージを受けることは、必死の状態なのだ!

 今すぐに、日銀の黒田総裁に対して、きちんとこの責任を取らせ、この際、新しい総裁を招き入れ、日本経済の再生のために全力を挙げてもらうことが、必要不可欠であろうと、私は、考える次第なのである。

 また、この責任は、日銀の黒田総裁だけにあるのではなく、アベノミクスという間違った経済政策を推し進めてきた、安倍元首相をはじめとした、与党議員全員による、日本国家を転覆状態に陥れようとしたことによる、共謀罪が適用できる事案であろう。

 自ら作り上げた、違憲な法律により、裁かれることになるのは、如何なものなのであろうか?

 日本国民全員で、この事態の成り行きを、きちんと、見届ける必要があるものと、私は、考える次第である。