『都市伝説セピア』 | 赤と黒

『都市伝説セピア』

 『都市伝説セピア』(朱川湊人)

―あらすじ―
 都市伝説を作り上げる男の狂気を描いた「フクロウ男」、親友を事故で失った少年が時間を巻き戻そうとする「昨日公園」など、人間の狂気と哀しさを描いた5篇の物語。


 どの短編も、読む程に引き込まれてしまう傑作ばかりです。著者のデビュー作とのことですが、とてもそうとは思えない完成度です。個人的には「アイスマン」の持つ、どことなく拭いきれない生暖かい狂気が印象に残りました。タイムリーなことに、7月26日にはwowowでドラマ化とのことです。残念ながら私はwowowに加入していませんが、この雰囲気を上手く映像化してほしいものです。もし漫画化するなら大越孝太郎氏で。

 また、同じ著者の『かたみ歌』や『白い部屋で月の歌を』といった作品も是非。先日の『夜市』(恒川光太郎)と近しい雰囲気を持ったオススメの作品です。どちらも甲乙付けがたいですね。

都市伝説セピア (文春文庫)/文藝春秋

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