昨日は、びわ湖ホール オベラへの招待『竹取物語』を観に行ってきました。
この作品は、びわ湖ホール芸術監督の沼尻竜典さんが台本を作成し、作曲された日本語オペラです。
2015年に、びわ湖ホールで上演され、今回は、その演出を下敷きにリメイクしての再演。
僕は2,015年にも観ていますが、当時は、びわ湖ホールに通うようになりかけのころだったし、内容もかなり忘れていたので、絶対、もう一度、観たいと思っていたところ、一昨年、びわ湖ホールと東京の新国立劇場で再演予定となりました。
しかし、コロナ禍で公演中止となり、今回、びわ湖ホールのみでセミステージ方式での上演となりました。
キャスト
かぐや姫(1/23):砂川涼子
翁:迎肇聡
媼:森季子
帝:松森治
石作皇子:谷口耕平
庫持皇子:市川敏雅
阿倍御主人:平欣史
大伴御行:晴雅彦
石上麻呂足:美代開太
大将:有本康人
月よりの使者:八木寿子
指揮:沼尻竜典(びわ湖ホール芸術監督)
原演出:栗山昌良
演出補:中村敬一
装置:増田寿子、衣裳:大塚 満、照明:原中治美、音響:小野隆浩(びわ湖ホール)、舞台監督:菅原多敢弘
管弦楽:日本センチュリー交響楽団
ゲスト・コンサートミストレス:村上祥子
合唱:びわ湖ホール声楽アンサンブル
<びわ湖ホール オペラへの招待>は、初めてオペラを観る方もオペラ通の方も、みなさまにお楽しみいただけるシリーズです。
『竹取物語』は、びわ湖ホール芸術監督の沼尻竜典が日本最古の物語を原作に自ら台本を作成し、耳なじみがよく親しみやすい音楽で綴った日本語のオペラです。2015年8月、びわ湖ホールでの国内初の舞台上演は瞬く間に完売し、第13回三菱UFJ信託音楽賞 奨励賞を受賞しました。今回はその演出を下敷きに、日本を代表する歌手を客演に迎え、びわ湖ホール声楽アンサンブルがキャストを務め、「セミ・ステージ形式」で上演します。誰もが知る名作古典をどうぞ“オペラ”でお楽しみください。
日本最初の小説と言われている「竹取物語」は、さまざまなヴァージョンで広く知られています。ただ、原作は登場人物がかなり多いので、冗長さを避けるため、かぐや姫と帝の愛を中心に構成しました。音楽は私が子どものころ慣れ親しんだキャンディーズ、山口百恵、沢田研二など、昭和の歌謡曲を意識しており、いわゆる「現代音楽」ではない、子どもから大人まで親しめるオペラを目指したつもりです。
この物語には、かぐや姫に結婚を申し込む5名の男性が出てきます。ナルシスト、お金さえあれば幸せになれると思っている人など、いつの時代にもいそうな人たちです。それらのキャラクターは、当時の権力者たちへの皮肉だと言われています。最後にかぐや姫が月に帰る場面は、いまのSF映画を先取りしていて、その先進性には驚かされます。
リラックスして楽しんでいただければ幸いです。
情報誌 湖響91号(2021年12月20日発行)より
あらすじは以下の通りですが、全5幕に区切り直してみました。
第1幕
今は昔、竹取の翁といふもの有りけり。野山にまじりて、竹を取りつつ、よろづの事につかひけり―
むかしむかし、竹を取る翁がいた。あるとき翁は光る竹のなかに小さな女の子を見つけ、媼とともに大切に育てた。
第2幕
女の子は不思議にも三か月で輝くばかりの美しい娘に成長し、「かぐや姫」と名付けられた娘の噂は方々に広がった。そして、殊のほか熱心な五人の男が屋敷に通され妻に迎えたいと申し出る。姫はそれぞれに難題を課し、それを夫婦になる条件とした。
第3幕
が、誰一人叶えることはできなかった。
休憩
第4幕
遂には帝までもが心惹かれ、妃にすべくかぐや姫に近づくが、その要求も受け入れられない。帝はせめてもとして歌のやり取りを望み、姫はこれを約束する。
第5幕
帝と心を通わせて三年が経とうとした頃、かぐや姫は月を見ては悲しげな顔をするようになった。かぐや姫は、自分が月の都の者であり、次の十五夜に月から迎えがくることを打ち明ける。翁は、帝の軍勢にこれを阻止するよう懇願するが、月の使者の前になす術もなく、帝への手紙と不死の薬を残してかぐや姫は月へ帰ってしまう。残された帝は、不死の薬を返すべく多くの兵を引き連れて、この世で一番高い山で薬を焼き、それからこの山は富士の山と呼ばれる。
前置きの説明が長くなりましたが、とても楽しかったです。
第2幕・第3幕の、かぐや姫に求婚する5人の男性はキャラが立っていて笑えた一方、第5幕の、かぐや姫が翁と媼に感謝を述べ、帝に手紙を書いて月に帰るシーンは、観ている方も感極まってホロっとくるようなストーリー。
音楽は、沼尻さんがおっしゃている「キャンディーズ、山口百恵、沢田研二など、昭和の歌謡曲を意識した現代音楽ではない、子どもから大人まで親しめるオペラ」、正にそのもの。とても耳障りがよくて、みんなが親しめるメロディでした。
砂川さんのかぐや姫は流石の歌唱。特に第5幕、月に帰る直前のアリアは感情がタップリ入っていて心に響きました。
また、びわ湖ホール声楽アンサンブルソロ登録メンバーの翁:迎肇聡さん、媼:森季子さんも歌唱シーンも多く大熱演。喜びも悲しみもよくよく表現されていました。
かぐや姫に求婚する5人では、庫持皇子:市川敏雅さん、大伴御行:晴雅彦さんが特にコミカルで面白かったです。
新国立劇場でオペラ通の方を前に上演したら、かぐや姫以外のキャストの歌唱はもの足りないと思われるかもしれないし、音楽自体もオペラというよりミュージカル的に感じられるかもですが、エンターテーメントとして楽しめる作品であることは間違いないと僕は確信しているので、是非、東京公演を実現し、披露して頂きたいです。
びわ湖ホールオフィシャルスポンサーの叶匠寿庵が、会場限定で販売していた「竹取プリン」
会場限定という言葉に誘惑され、思わず購入しました。