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韓国ビジネスおたすけブログ

韓国ビジネスに没頭する公認会計士の備忘録です。
会計や韓国ビジネス情報、人との出会いなど、ザツっと更新しています。


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韓国で子会社や合弁会社を運営していたり、

M&A等で買収対象会社をデューデリジェンスしてみたりすると、

経営者不正に出くわすことが結構あります。

 

子会社については、現地社長を韓国人に任せ、親会社が十分にモニタリングしていない場合、

合弁会社については、合弁相手の声が大きく、現地でのオペレーションを相手に任せきりにする場合、

にそれぞれ起こりやすくなります。

 

また、韓国のオーナー企業ではよく見かけるケースでもあるので、

買収前のデューデリジェンスで、この点に気をつけることが大切です。

 

経営者不正の類型は色々と考えられますが、

今回は、もっとも典型的かつ分かりやすい「仮払金」について書きたいと思います。

 

なお、あくまでも一般的なケースとして説明するもので、

ある特定のケースを取り上げているわけではありませんので、

その点、ご理解ください。

 

仮払金とは、会社からお金が出て行ったけど、出て行った時点では何のために出て行ったかよく分からないので、とりあえず現預金のマイナスの相手勘定として一時的に設定する勘定科目です。

 

出金目的が分かった時点で、費用や他の資産勘定に振り替えます。

したがって、仮払金勘定は日常的に使われる性格のものではなく、

少なくとも決算期末には他勘定に振り替えて残高が残らないようにするのが基本です。

 

そのため、決算書に「仮払金」がないからといって安心することはできず、

前払金や前払費用、雑費等のふわふわした他の勘定科目にも注意を払う必要があります。

また、総勘定元帳で期中の動きを見ることも必要です。

 

仮払金の発生経路は、主に二つです。

 

その1。

会社の現預金を経営者がそのまま持って行く場合。個人の銀行口座に振り込む場合もありますし、経営者が指定する他の会社の銀行口座に送金する場合もあります。

このケースの場合、銀行の入出金明細を見れば捕捉できます。

仕入先とは異なる会社への送金。

定期的ではない単発的な送金。

送金相手が個人名義の口座。

などを洗い出して行くと説明のつかない出金が見つかります。

 

その2。

法人カードの私的利用。

韓国では税法の規定により、法人カードを利用しない限り損金算入できないといった独特の制度があります。

そのため、法人名義のクレジットカードが頻繁に利用されます。

 

通常、役員に対しては法人カードを渡しっぱなしにしています。

役員の財布の中には個人名義のカードとともに法人カードも一緒に入っているので、

公私混同が起こりやすい環境にあります。

オーナー企業となると会社自体が自分の所有物と考えるせいか、

さらに公私の境がなくなります。

カード利用の領収証がなかったり、

領収証があっても何に使ったか不明な場合に、

経理部もしくは会計事務所は、とりあえず「仮払金」と処理します。

 

 

買収対象会社にこのような残高が残っている場合には、

会社にお金を返してもらう必要があります。

場合によっては、買収価格の調整で処理することもあるかもしれません。

 

一方、子会社や合弁会社でこのようなことが起こった場合には、

どのように対処するかを慎重に検討しなくてはいけません。

対応方法に関する一般的な定石はあまりなく、

それぞれのケースごとに選択肢を絞り込んでいくことになります。

 

なんとなく、なあなあな結論で処理する場合もあれば、

刑事告訴を行うケースもあります。

不正をおこなった当事者の反応次第で対応が変わるという側面もあります。

 

 

このような不正を防止するためには、

やはり親会社からのモニタリングを強化するということに尽きます。

最低でも月次決算の提出は必須だと考えます。

そのうえで、気になる勘定科目の増減については、きちんと質問しておくことです。

 

 

ところで、「仮払金」勘定で、不正とは関係ないケースもあります。

記帳業務をアウトソーシングしている場合です。

あくまで一般的な話ですが、

韓国の普通の会計事務所(税理士事務所)では、月次決算をしてくれません。

付加価値税の申告期限に合わせて、四半期に一回というのが通常です。

その四半期決算も付加価値税申告のために行うだけなので、

会社から入手した税金計算書等の法定証憑を会計ソフトに打ち込むだけです。

そのままでは現預金残高が合わなくなるので、

現預金残高を合わせるために、強引に仮払金もしくは仮受金勘定を使います。

 

ただ、不正がなかったとしても、

正しい会計数値が出てこないので、子会社の実態が全く分からなくなります。

一方で、このような状態になるのは、親会社によるモニタリングが弱いと言えるので、

不正を起こしやすい環境にあるとも言えます。

 

一度膿んでしまうと、正常に戻すためには、時間、費用、精神的負担が非常に重くのしかかってきます。

これから新たに韓国に進出を考えている会社は、

膿んでしまわないように、

最初からどのように現地拠点を管理していくかについて考えておくことが重要です。

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