こひうた。 -3ページ目

こひうた。

散文注意。不定期です。無断転写も禁止しておりますm(_)m

今日はその瞳に どんな一日を映すのかしら


誰よりもあの人らしい日を過ごして欲しい

そして誰に吹くより優しい風が あの人の背中を押してくれるといい


その景色は

きっと何より綺麗


わたしもいつかその景色をこの瞳に映せるといいのだけれど…


そういったわたしの背中に向かって吹いた風は 吹き抜けるように強く駆け抜けていく


それはまるであの人のようで

わたしは置いていかれぬよう 勢いよく地面を蹴り上げた



幸せの貯金箱があります。


一日、一日と貯めた貯金箱はいつしかいっぱいになって、

仕方なしに、今度は少し大き目のものを買うことにしました。


「どれがいいかしら?」


色々な貯金箱。どれも素敵な幸せの形をしていそう。全部捨てがたい。


幸せはきっと欲張りなのです。

結局今度買ったものは、わたし一人では到底貯められないほど、大きな大きな貯金箱。


「そうだわ!

あの人と一緒に貯めたのなら、すぐに貯まるに違いない!」


忘れちゃいけなかった。

幸せは欲張りだってこと。


そして

あの人とわたしの描く幸せは必ずしも同じ形ではなかったということ。


だけどわたしはやっぱり幸せになりたい。

何よりあの人に幸せになって欲しいから、今度は二つ、幸せの貯金箱を買うことにしました。


「大きさはそうね…以前のより少し大きいくらいのものにしておくわ」


あの人の貯金箱は部屋に飾っておく事にしましょう。

そして、幸せがほんの少しいっぱいある日に、入れてみることにしよう。



わたしの胸には今、

幸せの貯金箱が二つあります。


どちらもいっぱいになるのには、まだまだ、時間がかかりそうだけれども…。



「一緒に頑張ろうって、言えばいいじゃない」

彼女はいった


「あたしの事を勝手に諦めるな」


わたしは思わず 涙がこぼれた


ああ

強くなくても構わない 一本の芯を身体に通していたい

くじけそうになっても構わないから 折れない芯を抱いていたい


あなたは

頷いてくれるかしら あの青年のように


「頑張ろう」って

今度は


言ってくれるかしら

あなたを想って絵を描くように

あなたを想って歌を唄うように

あなたを想ってこの人生を終えられればいい


何気なく

自然に



欲しいのは千の態度より一つの言葉。

欲しいのは千の言葉より一つの態度。


どんな約束が、あたしは欲しかったのだろう。


あなたに恋をしてからずっと、あたしがあなたの瞳に映ることなんてないと思っていた。


どれだけ好きでもこの声は届かない。

それでも声を張り上げるしかあたしにはできなくて、息切れしようとも、叫び続けるしか方法を知らない。

あなたの幸せを誰より願っているつもりでも、

それがほかの誰かと作ってしまうのかと思うと、あたしのこころは何より見苦しくなってしまう。

好き、なんて

本当はそんなかわいらしい言葉で飾れるような気持ちじゃないのかもしれない。


それが突然、

あなたにこの声が届いていて、あなたがあたしを見ていてくれてると知ってしまったものだから、

あたしきっと、舞い上がってしまったのね。


無条件に二人で幸せになれるのだと思いこんでしまった。


欲しかったのは

「おれたちならだいじょうぶ」って言葉。根拠なんてそこになくても構わなかった。


あなたはきっと違ったのでしょう。とてもとても強くて、なにより優しい人だから。


あなたに引かれた手

あたしのために泣いてくれた日

追いかけてきてくれたその姿


それだけでもじゅうぶんだけれど、

たった一言「好き」って言葉が欲しかった。


あたしはきっと、その言葉を欲するのに、伝える方法を間違ってしまったのね。

あなたを傷つけてしまった。



どんな気持ちであなたはあの言葉をいったのだろう。

どうしてあたしはあんなひどいことを言わせてしまったのだろう。


なにより諦めろなんて言われて、どうして頷いた。


ああ

あの時に戻れるのなら、

飛び蹴りをかまして頭突きして、エルボードロップでしめたい。


確かに、どれだけあの人に依存していたのか思い知らされるいい機会だった。

あの人のために生きているだというのではなく、

あたしの歩いていく人生の上にあなたがいて欲しいのだと思えれば。

あなたを好きな気持ちはぜんぶだというのではなく、

もはやあたしの一部なのだと言えたなら、きっと少しは何かが変わっていたはず。


まだ遅くはないかしら?


あたし物わかりいいふりしてるけど、本当はすごくわがままなの。

諦めるとか、諦めないとか、そういうことは自分で決めたい。


ずっと、

あたしの恋は人と違うのだと思っていた。

終わってしまう時は、あたしが自分で終止符を打たねばならないのだろうと。


だけど本当は特別な恋なんかじゃない、ありふれたものだったのね。


終止符が見えるのなら、きっと希望だってあるはず。

あたしとあなたが幸せになれる未来があるはず。


結局

どれか一つが足りなくても、何もかもが満たされても、不安になるのがあたしなの。

だからあたしは、この中でただ一つはっきりしている気持ちだけ信じていくことにした。

「あなたが好き」


まだあたしの声は届いていますか?


あれから一度も会えないけれど、

あなたがそばにいてくれている気がします。


他の人から見たら、きっとバカみたいって思われるかも知れないけれど、それがあたしの恋です。

道化にみえようがなんだろうが、

あたしはこの世界で、あなたと一緒に生きて行きます。


約束なんていらないよ。

ここにあなたがいてくれるのなら。


ねえ、笑っちゃうくらい、わがままでしょう?



少女えす