◆ 奥山眞佐子さんによる朗読ワークショップに参加して ◆


 

こんにちは、市民レポーターのモモママです。

8月23日にこうふ亀屋座にて、甲府市出身の俳優・脚本家、奥山眞佐子先生の朗読ワークショップが開催されました。今回で9回目となるこの講座は、毎回大人気の企画とのこと。
私は昨年も受講させていただき、とても楽しい経験ができたので、今回もワクワクしながら参加させていただきました。
 

 

はじめに、先生が29年間演じ続けていらっしゃる「樋口一葉」についてと、一葉の生きた時代についてのお話がありました。女性の地位が確立されていなかった時代のお話をされる先生の熱量は、演ずる者としての強い覚悟を感じました。

お話が終わり、いよいよ朗読のワークショップが始まりました。
まずは体をリラックスさせるための体操からです。吸って・吐いての呼吸に合わせて、上半身・下半身と順に、ゆっくりとしっかりと体を動かす運動を行ないます。

次に、母音を大きくはっきり出す練習を行いました。
大きく口を開いて、両手を上に伸ばして発する「あ」
唇を横に開き、両側を釣り糸で引っ張るようにして発する「い」
唇を突き出し、前に向かって発する「う」
口角を少し上げ、自然に笑顔になれるような口の形で発する「え」
口を上下に引っ張るように発する「お」

この「あ・い・う・え・お」を、大きな声でしっかり口を開け、腹の底から発声する練習は、本当に気持ちよく、心も体もリラックスすることができました。

このあと舌を鍛える体操も行ないました。舌を鍛えると、いびきが改善されることもあるそうです。
また、カ行とラ行の舌の使い方と、マ行はしっかり口を閉じてから発音することを教えていただきました。
これでウォーミングアップは終わりです。休憩をはさんで、いよいよ朗読がはじまります。

今回の題材は、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」でした。
2つのチームに分かれて、まずは読んでみます。あらかじめ全員に番号が振り分けられており、自分の番号の箇所を一文ずつ読み繋いでいく形で行われました。この段階では、全員が初めて読むので、ただ一文を読むという方がほとんどでした。先生も何も言いません。
読み終わると、先生から宮沢賢治の生涯や生きていた時代についてお話があり、「少しだけでも良いから、自分の思ったことを言葉に込めると、感情が入ってくる」と指導が入りました。
それぞれが詩の内容を考え、2回目は自分が賢治になったつもりで想いを込めて読みました。1回目に比べて、言葉に気持ちが込められ、読み方が変わりました。

2回目が読み終わると先生から、「宮沢賢治がどう思いながらこの詩を書いたと思うか」問いかけがありました。
詩の言葉から想像してみると、過酷な現実から逃げず、人のために尽くせる人になりたいという思いなのでは、と考えたのですが、そこでまた先生から「賢治は貧しい生活をしており、体もそれほど強いわけでもなく、生前は何をしても認められなかった。この詩もまた、賢治が亡くなってから見つかり、発表されたものである。体が弱く何をやってもダメな役に立たない自分について考えたとき、雨は涙とは考えられないか、風は人の噂とは考えられないか」とお話がありました。
それを聞いて再度読んでみると、賢治の心の裏返しともとれる部分が見えてきました。欲もあり、腹も立ち、人並みのこともできない自分だけれど、慎ましく暮らし、偏見なく、人に寄り添うことはできる。なんと言われようと、そういう人になりたいという賢治の強い想いを感じました。
 

 

朗読は、作品の言葉の意味だけを追うのではなく、作者の背景を知ることで想いが言葉に乗り表現できる、難しいけれど素晴らしい世界だと思いました。

他にも、どこで強調して読むのか、語尾をはっきり発音するなど、細かな指導をいただき、いよいよ舞台上で3回目の朗読の発表をすることになりました。

みなさん最初の朗読より感情を込め、動きも加わって、とても素晴らしい朗読を発表されました。私自身も、表情や読み方、声の大きさなど、1回目からは想像もつかないほど、自由に楽しく表現できました。
 

 

最後に先生が私たちのわがままを聞いてくださり、「雨ニモマケズ」を朗読してくださいました。心を揺さぶられる素晴らしい朗読で、いつの間にか詩の世界に引き込まれ、感動して涙が出てしまいました。とても楽しく、実りのあるワークショップでした。

今年は、樋口一葉の没後130年になるそうです。そして宮沢賢治の生誕130年でもあるそうです。奥山眞佐子先生は、東京の劇場で今年も樋口一葉を演じます。
一葉について、そしてその時代の背景を深く学ばれ、長く演じてこられた先生に心から敬意を表します。
少しの時間でもご一緒できたこと、ご指導いただけたことが、本当に幸せです。来年もまたぜひ、開催して欲しいです。