リア ミッシェル 

この小柄な美少女の事を実はglee以前から知っていました。「Spring Awakening」というミュージカルでトニー賞ノミネーションされていたからで、彼女の正統派の歌い方ながらエキセントリックなパーフォマンスはかなり魅力的で衝撃でした。

こういうパフォーマーを見たいと思ってもしょっちゅう舞台をニューヨークまで観に行く事も出来ないし、諦めていたら、いきなりgleeで主役になっているではありませんか!

しかもおかしな彼女にぴったりな役、特にシーズン1では他の役者が素人同然(←とはいえ、才能、素質、技術力は完璧なキャスト達です。金とパブリック・コントロールの力で人口人形の様なタレント仕立て上げてお茶を濁している何処かの極東の田舎島国芸能界とは比べるのも失礼)
だったので彼女の独壇場でした。リア演じるレイチェル ベリーは素の彼女かと思うキャラクターでどうしても場の中で浮いてしまうのもほとんど実話じゃないかしら。

しかし、そういう彼女が歌い出した途端にすべてが許されてしまう。やはり歌の力は偉大!

この10年、ブロードウェイ ミュージカルはマイノリティーやLoser(負け組)といった陽の当たらない人々に焦点を当ててヒットを飛ばしています。
ぽっちゃりダラけの「ヘア スプレー」(トニー賞授賞式に涙を流し「デブでチビなアタシが主演女優賞よ!」と叫び感動を誘った)
ヘマばかりしている人々のアパート「アベニューQ」こちらはマペットと人間が同じ舞台で共演する奇抜な舞台、また、日本ではアナ雪の声で有名なイディーナ メンゼルの「ウィッキッド」や「ジャージボーイズ」もマイノリティーと無縁ではありません。

不思議ですが人間てのは失敗したり負けたりするから魅力的なもの。特に若者が懸命にぶつかり、七転八倒してるのは何故かキラキラしてて美しく、若者は自分を重ね、老いた者はまるで自身の「夢の続き」を見るように微笑む。

現実は嫌悪に満ちた世界でも歌と表現がそれを越えていく……実際のリア ミッシェルも空気読めないイタイ人だからこそプロデューサー ライアン マーフィーは「glee」の中心に彼女を置いた。
日本なら完全に敬遠するやり方ですが、無茶苦茶な大ヒットになってしまいました。

ご紹介する曲はgleeの中で唯一のオリジナルでレイチェルベリーとgleeの最大のテーマを歌う「Loser like me」です