早いもので、今日から春のお彼岸である。


早起きして、仏壇のお供え物を作り、

住職さんのお迎えの準備を整える。


昨日のうちに、お墓参り用の生花を旦那に頼み準備してもらった。


朝食の時に、


今日は親父の墓参りに行くからな。


と、旦那が義理母に言うとびっくりしたような顔をしている。


うちにはお墓ないでしょ?

どこ行くのよ。


と義理母。


おいおい!ちゃんとお墓作って、この前納骨しただろうが!


もう忘れたのかよ!


と旦那。


え?お墓なんてあるの?


不思議そうな顔をしている。


義理父が亡くなった事はさすがに忘れないが


お墓に埋葬した事は、まるッと忘れてしまった。


ちゃんとお墓があるんだから、お参りに行くんだよ。

彼岸なんだから…


ちょいイラつく旦那。


このところ、抜け落ちる記憶が増えて来ている。


今まで普通に出来た事も、しばらく考えないと出来なくなる事が増えた。


義理父が亡くなって、急に認知症が進行したようにも思える。


前の義両親、元の旦那、私の両親、そして顔も見たことの無いご先祖様達。


あちらこちらにあるお墓をめぐり、最後は義理父のお墓。


他のお墓と同じように、淡々と手を合わせる義理母。


ここはお義父さんのお墓だよ。


と言うと、初めて見たような顔でびっくりしている。


知らなかったわ〜


と義理母。


つい2週間程前に、一緒に納骨したろうが!


と旦那と顔を見合わせた。


義理父が亡くなった時、一緒に逝きたかった。と泣いていた義理母。


義理父のお墓に向かって…


もう少しだけそこで1人で待っててね。

まだ生きていたいんだわ。


と呟いたのを、私は聞き逃さなかったぞ。