ワニの神といえば、ソベク神です。ソベク神は、水と豊穣に関連した神です。ソベクは祠堂に腰掛けたワニ、または角のある太陽円盤と羽でできた飾り物を身につけたワニ頭の男性のどちらかの姿で描かれました。
ワニの信仰地はエジプト中に何箇所もありました。主な最初の頃の信仰地は、第一王朝(紀元前3000- 2890年頃)から知られているメディネト・エル=ファイユームでした。ファイユームは、西方砂漠の低地にあるファイユーム湖を中心とした肥沃な地でした。この地名は、ギリシア語でクロコディロポリス(ワニの町)と知られています。ソベク神は、エジプトのファイユーム地方に移住したギリシア人やローマ人にとっても主要な神でした。
後の時代になると、コム・オンボにソベク神の主要な神殿が建てられました。メディネト・エル=ファイユームとコム・オンボには、ワニがいる聖なる池があった可能性があります。
他にも、ハトホル女神の信仰地で有名なデンデラにおいて、先王朝時代(紀元前5300-3000年頃)にワニが信仰されていた可能性があったようです。
参考にした主な文献
ジョージ・ハート著、近藤二郎監訳、鈴木八司訳『古代の神と王の小辞典2 エジプトの神々』學藝書林、2011年。
マンフレート・ルルカー著、山下主一郎訳『エジプト神話シンボル事典』大修館書店、1996年。
Wilkinson, T. (2005). The Thames & Hudson Dictionary of Ancient Egypt. London: Thames
& Hudson.
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