坂本龍馬や高杉晋作の宿が二十数年ぶりに復活(琴平町) | 自然、戦跡、ときどき龍馬

坂本龍馬や高杉晋作の宿が二十数年ぶりに復活(琴平町)

<坂本龍馬や高杉晋作が宿泊した宿が8月復活>

以前、坂本龍馬と高杉晋作が滞在した呑象楼が去年辺りから公開されていたことを述べたが、今年8月、龍馬が文久2年2月、晋作が慶応元年5月に宿泊した旅籠・芳橘楼(ほうきつろう)後身の敷島館が二十数年ぶりに「ことひら温泉 御宿 敷島館」として復活する。

 

芳橘楼や敷島館については、過去、拙著や当ブログでも触れたが、芳橘楼は元々寛永年間(1624~44)、金毘羅表参道(香川県琴平町琴平)沿いに余島屋という旅籠として建設されたが、文化12年(1815)、頼山陽が訪れた際、「芳橘楼」と命名した。

その後、明治中期、建て直され、敷島館と改称した。そのため、ネット等では「明治年間創業」と誤った記述が見られる場合がある。更に昭和前期にも改築されている。

 

また、ネットでは「2002年廃業」と記載しているものもあるが、運営を廃止したのは’90年代と思われる。その後、取り壊され、跡地はナカノヤ駐車場になっていたが、何割かの建材は保管されており、今回、その建材を使用して建築された。

龍馬が訪れた際のことは過去、何度も解説したが、龍馬は文久元年10月、丸亀に剣術修行に出向き、その後、長州や関西を往来し、志士と交流したり、各藩や幕府の情勢を探り、翌年2月上旬、丸亀に戻り、土佐へ帰る帰路、金毘羅に立ち寄った。

 

その時期、龍馬が長州から讃岐に戻ったことは、山口県防府市三田尻の豪商、岡本三右衛門の書簡に記されている。金毘羅の芳橘楼に宿泊していたことは琴平町史にも記載されている。

 

晋作が金毘羅を訪れた経緯も過去、何度も述べたが、慶応元年、晋作は下関港周辺の土地を長州支藩・長府藩から奪って(正確には他の土地と交換)、自らが所属する親藩・萩藩の領地とし、開港する「下関替地開港論」を唱えたせいで、長府藩の報国隊から命を狙われるようになり、4月下旬、四国へと逃れた。

二週間ほど松山の道後温泉に滞在後、丸亀に行き、そこから南下して金毘羅に向かい、勤王侠客・日柳燕石を頼った。晋作は金毘羅門前町で、燕石の知人宅等を転々としたが、晋作は幕府のお尋ね者だったこともあり、各潜伏先には何度も高松藩の捕吏が踏み込んでいる。しかし隠し部屋等があり(下の写真は松里庵)、全て逃れることができた。

そして閏5月3日、また捕吏が、晋作が潜伏していそうな燕石と関係のある地を片っ端から捜索した際、燕石は龍馬に活動資金援助者の紹介状を渡した美馬君田と共に、捕吏の目を欺くため、芳橘楼に擬装の宴席を設け、同志に依頼し、晋作を伊予・川之江へと逃した。

その際、晋作が越えた金毘羅参詣道・伊予土佐道の西口峠(牛屋口)に巨大な龍馬像が建立されている。しかし何度も述べたように、龍馬はこの道を辿っていない。

 

地元では、龍馬は丸亀の矢野道場に行く途次、ここを通って金毘羅門前町へ行き、芳橘楼に宿泊したものと思い込んでいるが、丸亀へ行くのに参詣道・伊予土佐道は遠回りになる。

伊予街道の方が丸亀へ行くには近道となるので、長州や関西で情勢を探った後、丸亀に戻り、帰路、金毘羅へ寄る方が自然。それに龍馬は君田(上の写真は居宅跡)から渡された紹介状を持って金毘羅から美馬の鎌村熊太邸へ行ったという伝承もある。

以前も伝承地の一覧を紹介したように、金毘羅には龍馬と晋作の伝承地が点在している。取り分け、晋作のものが多い。晋作が比較的長く潜伏した勤王家、長谷川佐太郎邸の「新吉田屋」(上の写真)は酒蔵だったことから、晋作もよくこの酒を飲んだと言われている。

 

佐太郎が新吉田屋を部下の丸尾に譲渡して以降、屋号は「丸尾本店」となり、今日に至っているが、晋作ファンはここで晋作も飲んだ酒を購入するといいだろう。場合によっては、晋作が潜伏生活を送っていた茶室「梧陽堂」跡(下の写真)を見学させてくれるかも知れない。

敷島館はリーマンショックさえなければ、’00年代に再建されていたはずだが、その頃は、遍路宿として再建する計画だった。しかし今回、再建されたのは、遍路の手が届かない高級旅館。運営者は全国展開している共立リゾートである。芳橘楼は金毘羅随一の旅籠だっただけに、旧敷島館の建材を使用した高級旅館の方が面影はあるのだが。

因みに拙著でも解説しているように、金毘羅門前町から牛屋口の龍馬像は、徒歩で回遊することができる。君田の新旧の居宅跡や晋作の潜伏先の一つ、松里庵、燕石が呑象楼を手放して以降の居宅跡、敷島館から金毘羅表参道を上り、一之坂から牛屋口へ上った後、復路は道路を東から北へ下り、君田の墓所を経て、鞘橋前へと下るコースである。

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