「猪谷さんの靴下」を編んでみた | 手芸歴40年の職人が手芸キットを完成品にしてお届けする制作代行 宮城・岩沼

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こんにちは。

編み物制作代行・ニット雑貨クリエイターの阿部裕子です。

 

猪谷さんの靴下って何?

 

たまにTwitterで見かけていた「猪谷(いがや)さんの靴下」というタグ。

 

私は40年以上も編み物をしてきたけれど、靴下にはあまり興味がない。

たぶん片手ほどの数しか編んでおらず、Twitterが素晴らしい靴下の画像で溢れていても全く編もうという気持ちにならなかった。

 

そんな私だったが、偶然「猪谷さんの靴下」の記事を読む機会があり、一気に編みたい気持ちが湧いてきた。

 

なんでも編み図が無く独特な表現で難解らしい…?

う~ん、これはぜひ編んでみたい!

というか、解いてみたい!!

 

最初は靴下を編むより謎解きをしたいという感覚だったかも。

 

 

テキストを取り寄せてみた。

 

この靴下はもう10年以上前の「暮らしの手帖」という雑誌に掲載されたもので、再掲載の依頼が多く新たな解説を加えて再び掲載された。

 

もう今は入手するのが難しいが、幸いにも私は新品を購入できたのでラッキーだったのかもしれない。

 

図書館にもあるようだが、予約が何人も入っていたので人気の雑誌なんでしょうね。

 

まずは靴下の写真を見て、猪谷さんという方がどういう過程でこの靴下を作り上げたのか、同じページを何度も読み返していた。

 

今度は猪谷さんという人物に興味を惹かれてしまう。

いつになったら編み始める事ができるのでしょう。

 

 

猪谷さんの理想の靴下とは

 

どうしてこの靴下が誕生したか、まずはそこを知りたかった。

猪谷さんって女性かと思っていたら実は男性で、最初にとても驚いてしまった。

編み物=女性という思考がもう古い人間なのかもしれない…。

今は男性も堂々と楽しく編み物をされている。

 

猪谷さんという方は長年スキーに情熱を燃やされ、山小屋へ移住された方だと知った。

 

いろいろと工夫をしながらの暮らしの中で、市販ではサイズが合わずすぐに破れてしまう靴下を自分で編んでしまおうと思ったのがきっかけらしい。

 

スキーやジャンプで激しい動きをされても破れない靴下。

厚くて丈夫であること。

 

お姉さんに編み物を教わりながら理想の靴下作りをスタート!

 

凝り性の猪谷さんが改良を繰り返し、なんと8年もかけて完成させたのがこの「猪谷さんの靴下」なんだそう。

 

すごい情熱…。

ぜひともどんな靴下なのか見てみたい。

きっと研究されて履き心地抜群の靴下なんだろうなぁ。

 

 

謎を解きながら編んでいくと…

 

猪谷さんの靴下に編み図はない。

なんだか見たことが無い記号と表、あとは文章のみ。

この雑誌ではすごく丁寧に解説してあるが、私は一度読んだだけでは全く理解ができなかった。

まるで編み物初心者のような感覚?

 

二回読んでもあまり理解できなかったので、まず試しに文章通りに編んでみることにした。

 

この靴下は細い糸を数本どりにして編んでいく。

細い糸は編み機で使う為いくつか持っていたので、適当な糸を3本どりにして編み進めていくことにした。

針は7号を選んだ。

 

実際に編んでみると、今まで全く理解不能だった文章がすんなりと入ってくる。

これは不思議な感覚で、やはり編んでみないと分からないと気付く。

 

もしかしたら、普段から靴下を編んでいる人はすぐに理解できるのかも?しれないが…悔しいぞ。

 

かかとの部分は何度かやり直し、ようやく形にすることができた。

適当な糸だけどなかなか面白い色合い。

1本段染め糸を使用したので左右で色の出方が違う。

ちなみにゴム編みの長さを短めに変更。

 

 

本体は3本どり、「かかと」と「つま先」は4本どり。

かなりぶ厚い仕上がり。

これだけ厚みがあれば丈夫そうだ。

手触りはふかふかで履いてみるとすごく暖かい!

これは冬が来る前に編みたかったなぁ。

 

私が住む宮城はまだ寒い日があるので、お家の中で履いてみよう。

太めの針で編むのであっという間に出来上がる。

残り糸を活用し、もう2~3足編んでみたい。

夏糸で編めばこれからの季節でも楽しめそう。

 

靴下にハマる人の気持ち、少し分かったかも。

(皆さんは細い糸で素敵に編んでいますが…)

 

興味がある方は「暮らしの手帖 15号 冬」を探して読んでみて下さい。

 

 

そのうち動画にもしたいなと考えています。
これはぜひ解説したい。
 
さて、編み上がった靴下は一回水通しをして乾燥させてから履いてみましょうか。
楽しみがまたひとつ増えた。
 
 
 
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