2017年大晦日。今年も皆様に大変お世話になりました。


さて、この1年で、東京、神奈川、大阪、京都、愛媛、群馬、秋田、福岡、長野、沖縄、静岡、宮城、栃木、高知、香川、サンフランシスコ、ロサンゼルス、サンディエゴと巡って、講演させて頂いたり、学ばせて頂いたり、その土地ならではの空気に影響を受けたり、たくさんの方との出会いがありました。

 

 

2016年12月に著書「私らしさのつくりかた」を出版して、2017年は本を通してできたご縁もたくさんありました。
1年前なのが嘘のよう!もっと前のように感じます。

 

 

子ども達が未来を「希望」を持って生きるために、何ができるだろう?


先日、同世代のリーダーや経営者で集まっていた時に、

「変化の大きなこれからの時代に、子どもたちや私たちが必要な‘希望’とは何か?」

というディスカッションになりました。

 

これからのリーダーは、
司令や命令を出せることがリーダーでもないし、
人を率いていくことだけがリーダーの仕事でもない。
 

 

変化も大きく、課題も山積みな今の時代だからこそ、

みんなが考えもつかなかったような本質的な「希望」を見せて、みんなが「そうだよね!それのために自分も頑張りたい!」と思えるような未来を描き、皆と一緒に実現する力が、これからのリーダーに求められるのではないかな?と思います。
 

では、これからの時代を生きる子どもたちが、
どうやったら幸せな未来を描くことができるのでしょうか?


「大きくなったら何になりたい?」という問いは、
これからの未来を生きる子どもたちにとってはあまり役立たないかもしれません。
 

コンピューターの技術革新がすさまじい勢いで進む現代においては、
今まで人間にしかできないと思われていた仕事が、ロボットなどの機械に代わられてしまう可能性もあります。


そもそも仕事や業界の需要がなくなって、過去にはあったけれど未来にはなくなってしまう仕事になることもあります。


今では想像つかない全く新しい仕事が未来の当たり前になっていることも。


一方で、より「人間らしさとは何か」「人間でなければいけないこととは何か」という問いは、これからしばらくの間、日本だけでなく世界においても、より強くなっていくのではないかと思っています。


先日の同世代のリーダーたちとのディスカッションで話していた、
これからの子どもたちにとって“未来を描く力”を養うために、正しい問いを立てるなら、


「どんな人でありたいか?」
「自分は何が幸せなのか?」
「どう生きたいのか?」



ということを、小さい頃だけでなく、

年齢関わらず、人生100年世代の間中、

自分が自分自身に対して問い続けていくこと、それが未来を描く一つの力になるのかもしれません。


子どもに「どんな人でありたいの?」と問いかけてみても難しいのでは?と思うかもしれません。


私自身は小さいころ、「将来、何になりたい?」と聞かれたら、小さい頃は「ケーキ屋さん」、少し大きくなってからは「バレリーナ」と答えていました。


その一方で、誰に問われたわけでもないけれど、
幼稚園くらいの頃から高校生までずっと「人の気持ちが分かる大人になりたい」という気持ちを抱えていました。
 

これは、問われて出てくるようなものではなくて、
内発的な動機というか、自分の中から溢れ出てくるような想いで、


それが心理学の道に進む動機となり、
今の経営者としての「人や、組織や、事業の成長可能性を信じて、実現までをサポートする」という仕事に繋がっていると思います。
 


「どういう人でありたいか」そして「どういう人にはなりたくないか」。
自分自身の中でその動機を知っておくことは、子どもにはもちろん、大人にも役立ちます。

どの職業につくかということは“手段”であって、その手段の先に“何を成し遂げたいのか”ということの方が重要だからです。

 

 

「人間らしさとは何か」「人間でなければいけないこととは何か」

 

今年、アカデミックな世界で活躍している学者、科学者、芸術に命を捧げているアーティスト、世の中に新たな価値を生み出す経営者、起業家、社会起業家、文化人などの面白い友人たちとも、

貴重な時間を過ごし、たくさんの会話が生まれました。

 

その中でよくテーマに上がったのが、「人間らしさとは何か」「人間でなければいけないこととは何か」という問いについてです。
 

私なりにこの問いについて考えてみて、答えは一つではないけれど、いくつかの学びや気づきがありました。


【人間らしさとは何か①:動機(モチベーション)】 

“人間らしさ(人間でなければできないこと)”の一つは、「動機(モチベーション)」を持つこと。
 

機械やテクノロジーにはモチベーションはありません。

何かをやりたいからやるのではなく、テーマを与えられたから、もしくはそう設定されてたからやるのです。


自分自身の中から生まれてくる内発的な動機や、
何かの刺激や影響に触れて生まれる外的な動機、
これは人間でなければ持ち得ないものです。

 
【人間らしさとは何か②:コミュニケーション】

他にも“人間らしさ(人間でなければできないこと)”の中で危機感を感じているものがあります。

それは、「コミュニケーション」です。
 

例えば何かの謝罪が必要な時。人間に代わってロボットが謝ってくれたとして、私たちはどう感じるでしょうか?

人間が謝ってくれた時と同じように感じることができるでしょうか?

 
コミュニケーションは便利になったが、 表層的な感じがして孤独を感じる」「最近の若者は恋愛をしない」など、コミュニケーションにおいて、
リアルな実体験よりも、デジタルやバーチャルな刺激で満足してしまうがどこかで孤独感を感じている若者が増えています。
 

テクノロジーはコミュニケーションを便利にしてくれた側面と、そうではない側面がある。


人間が人間らしく生きていく中で、

たとえ傷つけられても(多くの人は「傷つけられたくない」という思いから、リアルなコミュニケーションと疎遠になっていくそう)、人間関係がうまく行かなくても、

リアルな実体験の中での「コミュニケーション(質×量)」が大切だと思います。
 

【人間らしさとは何か③:幸せを感じること】

“人間らしさ(人間でなければできないこと)”のもう一つは「幸せを感じること」。
 
 “人間”というよりも、“命あるもの”が幸せを感じること、と言い換えた方が正しいかもしれません。



では、価値観が多様化し、全世界を取り巻く待った無しの環境問題や、
日本においても人口減少、高齢化、経済の低成長などさまざまな課題を取り巻く今の時代において、“幸せ”とはどういうもののことを指すのでしょうか?
 



よく知られているお話ではありますが、

「世界一幸せな国」と言われているブータンでは『国民総幸福量(GNH)』という独自の考え方を国家の指標として打ち出し,世界中から熱い視線を集めています。
 

この『国民総幸福量(GNH)』という概念を提唱したのは、なんと1972年。


ブータン王国の第4代国王ジグミ・シンゲ・ワンチュクが「国民総幸福量(GNH)は国民総生産(GNP)よりも重要である」として建国の理念に掲げました。
 
この『国民総幸福量(GNH)』という考え方には「4つの柱」と「9つの指標」があります。


【4つの柱】
1.持続可能な社会経済開発 -Promotion of sustainable development-
2.環境保護 -Conservation of the natural environment-
3.伝統文化の振興 -Preservation and promotion of culturalvalues
4.優れた統治力 -Establishment of good governance-
 

【9つの指標】
1.心理的幸福 -Psychological Wellbeing -
2.時間の使い方とバランス -Time Use and Balance-
3.文化の多様性 -Cultural Diversity and Resilience-
4.地域の活力 -Community Vitality-
5.環境の多様性 -Ecological Diversity and Resilience -
6.良い統治 -Good Governance-
7.健康 -Health-
8.教育 -Education-
9.生活水準 -Living Standard-
 

国家の指標として掲げられたこの「幸せ」についての考え方は、ブータンだけでなく、今を生きる一人ひとりの「幸せ」「幸福観」に通じるところがあると思うのです。
 


一人ひとりが「何を幸せと思うか」は違うはず。

ですが「幸せ」というのは「○○があるから幸せ」というシンプルなものではなく、
 

きちんと生活をしていける生活水準を満たしていて、
どんな変化があってもそれを継続していけると思える自信と力があり、
教育を受けることで未来を描く力、多様な人や社会を理解する力、そして自立する力を養い、
自分も家族も周りの人たちが健康で、
多様な文化からインスピレーションや学びを得たり、異なる文化を尊敬したり、
多様な生物や自然の中からも自然の叡智を知り、活かすことができて、
人生の季節ごとに、自分にとって最適な時間と力の使い方をしながら、バランスを取ることで、
心から幸福を感じることができる。
 

幸福の土台となる要素はいくつもの複合的な要素があって初めて成り立つものだと思うのですが、

実際に生活していく中でのプロセスはとてもシンプルなものになるのではないでしょうか。

 
ある政治家が「朝、希望を持って目覚め、昼は懸命に働き、夜は感謝と共に眠る。」とおっしゃっていたように、
生活する中での「幸せ」はとてもシンプルなプロセスの中にあります。
 

「人間らしさとは何か」という問いはこれから5年、10年、いやもっと長い間、

問い続けられていく問いなのかもしれません。



OMOYA Inc.の理念でもある

「それぞれが多様な想いや価値観を持ちながら、自らの原点を理解し、想いに対して誠実に歩める世の中へ。」

という想いは、


それぞれが「自分でよかった」「人間でよかった」「この時代に生まれてきて良かった」と感じられるような、
一人ひとりの意志や希望を叶えやすくする柔軟な社会をつくっていくことに向かっているのだなと思います。
 


来年は女子未来大学構想時から思い描いていた、

時間にも場所にもとらわれないオンラインでのコミュニティ『自信を持てる私になるためのコミュニティサロン「私らしさのつくりかた」』もスタートします!
(1/8スタートですが、現在第一期サロンメンバーを募集中です!)

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大きな意味で同じような想いを持つような、同志、仲間たち、そして応援して下さる皆様と、

2018年も新しい未来を創っていければと思います。

 
来年もどうぞよろしくお願いします。